こんな方におすすめ
- 小学生からお金の大切さを学ばせたい
- 小学生の金融教育の現状について知りたい
- 家庭でできる金融教育について知りたい
小学生からお金の大切さや重要性を理解させたり、金融の仕組みを学ばせたりすることは非常に重要なことです。
一般的にお金に関する教育のことを「金融教育」と言いますが、金融教育とはお金の使い方や手に入れる方法を学ぶだけの教育ではありません。
「お金」を理解し、社会と繋がりながら自立して豊かに生きていくために金融教育はあります。
今回は、小学生からの金融教育の重要性や現状などをご紹介します。
同時に、家庭でできる金融教育についてもご紹介するので、家庭でもお金の大切さを身につけさせましょう。
金融教育に重要な小学生のお小遣いについてはこちらの記事で解説しています。
小学生のお小遣いは金銭管理の教育のチャンス!お金の使い方を学ばせよう!|まなびWeb
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金融教育の定義と目的
「金融」とは一般的に「金銭の融通」「お金を合理的に回していく」という意味ですが、金融教育という言葉はあまり聞き馴染みがありません。
まずは金融教育とはなにか、定義とその目的は何かをご紹介します。
金融教育の定義とは
金融教育の支援を行っている金融広報中央委員会は、金融教育を以下のように定義しています。
金融教育は、生きる力を育む教育です。
金融教育は、「お金や金融の様々なはたらきを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育」です。
どんな教科にも取り入れることができます。
引用:金融広報中央委員会HPより
つまり、金融教育は、生きるうえで欠かせないお金や金融の知識を身につけたうえで、生活や社会のために行動できるようにする教育であるということです。
金融教育の目的とは
金融広報中央委員会では金融教育の目的を2つ掲げています。
- 「自立する力」の育成
- 「社会とかかわる力」の育成
「自立する力」の意味は「お金を手に入れる方法」や「収支のバランスのとり方」などです。
現代の子どもは、キャッシュレス決済や通販の発達で「お金やものの価値を実感しにくくなっているのではないか」と懸念されています。
働くことの意義や楽しさを知り、現在だけでなく未来のことまで考えて豊かにバランスよく生きていく方法を考えられるようにするのが金融教育の目的の1つです。
2つ目の「社会とかかわる力」とは「個人のお金の使い方・稼ぎ方」だけでなく、経済や社会の仕組みを学ぶことを通して社会の一員であることの自覚を促します。
たとえば投資や募金、税金などを理解することなどです。
社会をより良くするためにはどうしたらいいのか、自分はどのように社会と関わっていくのかを考えます。
募金などのボランティア活動を通じて社会とのかかわりを感じることができます。
小学生におすすめのボランティア活動についてはこちらの記事で解説しています。
小学生におすすめのボランティア10選!探し方や注意点もご紹介!
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日本における金融教育の現状
日本における金融教育の現状についてまとめました。
2005年の「金融教育元年」以降、学校では金融教育を推進しています。
金融広報中央委員会では、平成 17 年度を『金融教育元年』と位置付け、金融教育フェスティバルや金融教育公開授業等の様々なプロジェクトに取り組んでいる。
2022年からは高校の家庭科で資産形成を扱うことになり、話題になりました。
小学校では道徳、生活、社会、家庭科などの教科にまたがって金融教育が行われています。
金融教育の4分野
金融広報中央委員会の「金融教育プログラム学校における金融教育の年齢層別目標」では金融教育を4つの分野に分類しています。
金融教育における4つの分野とは、以下の通りです。
- 生活設計・家計管理に関する分野
- 金融や経済の仕組みに関する分野
- 消費生活・金融トラブル防止に関する分野
- キャリア教育に関する分野
それぞれの分野の概要は、以下の通りです。
生活設計・家計管理に関する分野 | 資産管理と意思決定、貯蓄の意義と資産運用、生活設計、事故・災害・病気などへの備えについて |
金融や経済の仕組みに関する分野 | お金や金融の働き、経済把握、経済変動と経済政策、経済社会の諸課題について |
消費生活・金融トラブル防止に関する分野 | 自立した消費者、金融トラブル・多重債務について |
キャリア教育に関する分野 | 働く意義と職業選択、生きる意味と活力、社会への感謝と貢献について |
これらの分野を年齢に応じて学んでいきます。
小学校では身の回りのお金を中心に学び、経済変動や経済社会の諸課題などは中学校や高校から学びます。
日本の金融教育は海外に比べて「投資」に関する分野が弱いと言われています。
小学校の金融教育の例
例えば「生活設計・家計管理に関する分野」における「資産管理と意思決定」で目指していることは「使える資源には限りがあることを理解する」です。
これを達成するために、小学校では年齢に応じた教育を行っています。
例えば、小学校低学年は、道徳や生活の授業で以下のことを学びます。
- ものやお金の価値を知り、大切にすること
- 欲しいものを全て手に入れることはできないと知ること
お小遣いをもらい始める年齢なので、実生活の中でも「お金のやりくり」を学ぶ機会が多くなります。
小学校中学年は、社会科の授業で、ものやお金には限りがあることやお金の大切さを学びます。
たとえば「暮らしを支える水について調べてみよう」という単元で、ダムや浄水施設、物流システムなど、水が自分の手元に届くまでの過程をたどり、有限のお金でどうやって生活に欠かせない水を確保するのかを見ていきます。
小学校高学年では、家庭科の授業で、ものやお金には限りがあることを理解し、よりよい使い方を考えることを学びます。
商品を吟味して自分で買い物をし、調理実習を行う授業もあります。
世界における金融教育の現状
世界における金融教育の現状を見てみると、日本と比べて金融教育に力をいれていることがわかります。
海外では、子どものうちから個人資産の管理方法や、リスク管理についてなど、より深い金融教育が行われます。
金融教育の深さは、金融資産構成にも影響を与えており、日本銀行調査統計局の2020年度「家計の金融資産構成」によれば、日本の現金・預金比率が54.2%なのに対して、ユーロエリア(欧州)では34.9%、米国では13.7%とかなり低くなっています。
日本では、安全資産とされている現金・預金の比率が50%以上と多い反面、欧米は株式投資や投資信託などのリスク性商品に投資する割合が日本と比べて高くなってるのが特徴です。
イギリス
イギリスは、世界でもトップクラスで金融教育に力を入れており、日本と比べると幼少期から金融リテラシーが高くなっています。
小学校低学年から「お金の管理の仕方」「批判的な思考のできる消費者になる」「リスク管理と感情」「金融の人々が生活で果たす役割」を段階的に学んでいきます。
「お小遣いの使い道」「友達が貸したお金を返してくれない」などをテーマにした討論(ディベート)を通じて「お金に関する考える力」を高めていくのが特徴です。
アメリカ
アメリカにおいては「パーソナル・ファイナンス(個人資産)教育」が盛んです。
「支出と貯蓄」「信用と責務」「雇用と収入」「投資」「リスク管理と保険」「金融上の意思決定」などを重視しています。
保有しているお金を現金・預金する場合と、株式や投資信託などで運用する場合とでどちらが有利か、どんなリスクがあるか、自分なりの考えを持ってお金を動かせる十分な知識を学んでいきます。
自分なりの金融戦略をどうするか、どんな情報を集めればいいかを判断する情報リテラシーについての学習も含まれてきます。
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投資にはリスクがあり、投機に走るのは一種のギャンブルになるという危機管理意識も大切です。
リスクと利益を学ぶため、アメリカなどの英語圏には金融を学ぶ無料教材も用意されており、子どもたちはゲームを通じて個人のお金の管理を学ぶ機会が多いそうです。
フランス
NPO(非営利団体)を中心に銀行口座や投資に関する教育を実施しています。
「銀行口座とお金の基本」「信用と負債」「保証とリスク」などを中心とし、最近では暗号資産(仮想通貨)に関する教育も盛んです。
お小遣いは家庭でできる金融教育
小学生の金融教育と言えば「お小遣い」が代表的なものです。
金融教育に重要な小学生のお小遣いについてはこちらの記事で解説しています。
小学生のお小遣いは金銭管理の教育のチャンス!お金の使い方を学ばせよう!|まなびWeb
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お小遣いは、限られた予算の中で、もっとも効率的で納得感のあるお金の使い方を学ぶことができます。
金融教育の第一歩として、ただ単純にお小遣いを渡すだけでなく教育的な意味も踏まえることが大切です。
お小遣いを使った金融教育としては、以下のような教育方法が挙げられます。
- お小遣いの使い道に親は口を出さない
- お小遣いが足りなくても自己責任として関与しない
- お小遣い帳をつけさせる
お小遣いの範囲の中でやりくすることの難しさや、失敗や後悔、満足や達成感を繰り返して、子ども自らお金との向き合い方を学んでいきます。
家庭で学べる金融教育サイト
お小遣いよりも発展させた金融教育を行う場合は、子どもの金融教育に特化したサイトを使うこともおすすめです。
低学年向けのものから、高額年向けのもの、または株式投資のシミュレーションまで学べる範囲は幅広く用意されています。
「ファイナンスらんど」|全学年向け
日本の財政や税金について学べるアニメとゲームが揃っています。
財務省がコンテンツを提供しているので、情報は非常に正確です。
税金は何故払う必要があるのか、何に使われているのかなどが分かりやすく紹介されています。
どの学年でも楽しく学べるのでおすすめです。
「うんこお金ドリル」|低学年向け
子どもに大人気の「うんこドリル」と金融庁がコラボした、金融教育のためのサイトです。
うんこ先生と一緒に楽しくお金の基本を学べます。
例えば「5,000円のものが欲しいけど手持ちが500円しかない場合はどうするか?」という問いに対して4つの選択肢から答えを選ぶような構成になっています。
答えと同時に解説も文章でわかりやすく書かれているため、楽しみながらお金について学ぶことができます。
「ニチギン・キッズ」|高学年向け
「お金ってなに?」「お金のながれ」「お金のかち」をフルカラーの漫画で学べます。
サイト上でPDFファイルをダウンロードし、パソコン上で閲覧することもできますし、紙に印刷して保管しておくことも可能です。
マンガはイラストと文章がちょうどいいバランスで構成されているので、飽きずに勉強することができます。
ただし、低学年や中学年にはやや難しい内容となっているので、高学年におすすめです。
「おうちで、にちぎん(オンライン本店見学)」|中・高学年向け
オンラインで重要文化財である日銀の本館を見学できます。
日本銀行の歴史や仕事などを知ることができます。
銀行の仕組みを理解することでお金の流れを理解できるので、発展的な内容を学習する際にはおすすめのサイトです。
VRで楽しく社会科見学の気分を味わいましょう。
また、同サイト内に「お金の話あれこれ」というコンテンツもあります。
お札の偽造防止技術、日本で最初の貨幣、お札の肖像画の人物について、ボツになった日本銀行券など、お金にまつわる様々なことを解説してくれるページなので、そちらも参考にしてみてください。
大人が読んでも勉強になるページです。
まとめ|小学生の金融教育は身近なところから始めよう
金融教育とは「お金の使い方、稼ぎ方」にとどまらず、お金を理解し、社会と繋がりながら自立し、豊に生きていくための教育です。
「子どもがお金の話なんていやらしい」という時代は終わりました。
お金を正しく稼いで、正しく使えるようにするために小学生からお金に関する教育をするとよいでしょう。
小学校の金融教育は、中学や高校と異なり、身近なものを題材に取り扱っていきます。
家庭でも、お小遣いや金融教育ができるサイトなどを通して金融教育を促していきましょう。