こんな方におすすめ
- 千葉御三家の特徴について知りたい
- 千葉御三家の入試問題の傾向や卒業後の進路について知りたい
中学受験を通して偏差値が高く有名な学校へ進学することで、子どもの将来にとって大きな影響を与えるため、第一志望校に有名校を考える方も多いでしょう。
有名校の中で代表的なのが「御三家」と言われる学校です。
東京の男子御三家「開成」「麻布」「武蔵」を聞いたことがある方も多いでしょう。
千葉県にも御三家と呼ばれる学校があるのをご存知でしょうか。
今回は、千葉の御三家「渋幕」「市川」「東邦」の校風や入試問題の傾向について、詳しく紹介します。
中学受験における千葉御三家は「渋幕」「市川」「東邦」
千葉の御三家と言えば「渋幕（渋谷教育学園幕張中学校）」「市川（市川学園市川中学校）」「東邦（東邦大学付属東邦中学校）」であり、千葉県の中でも人気や実力が非常に高い学校です。
東京の御三家では「開成」「麻布」「武蔵」が男子校であり「桜蔭」「女子学院」「雙葉」が女子校となっています。
しかし、千葉県の御三家はいずれも共学であり、競争率が高くなりやすいです。
また、千葉御三家である「渋幕」「市川」「東邦」は、入試日が重ならないため、併願して受験がしやすくなっています。
それでは「渋幕」「市川」「東邦」それぞれの特徴について紹介していきます。
千葉御三家「渋幕」の特徴
まずは、渋幕（渋谷教育学園幕張中学校）についての特徴を紹介します。
基本情報
渋幕における基本情報は以下の通りです。
| 住所 | 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉1-3 |
| アクセス | JR京葉線：海浜幕張駅より徒歩10分 JR総武線：幕張駅より徒歩16分 京成線：幕張駅より徒歩14分 |
| 電話番号 | 043-271-1221 |
| FAX | 043-271-7221 |
| 偏差値 | 男子（70）女子（72） |
| 受験の募集人数 | 第1次：215名 第2次：45名 |
| 公式HP | https://www.shibumaku.jp |
渋幕は千葉県だけでなく全国でも屈指の有名校であり、東大への合格者数が全国トップ10に入っています。
また、渋幕の姉妹校として都内に構えている「渋谷教育学園渋谷」も高い知名度や実績があることから、信頼度が高い学校と言えるでしょう。
校風
渋幕の教育目標は「自調自考の力を伸ばす」であり、生徒が自ら調べ、考えられるようにする指導です。
そのため、渋幕では文化祭や体育祭、宿泊研修などといったイベントを生徒自身が作り上げます。
中学部の部活動参加率はおよそ8割ほどであり、勉強面だけでなく、スポーツ分野での指導も欠かすことはありません。
また、渋幕では「国際人としての資質を養う」をモットーに掲げていることもあり、校長である田村聡明氏は海外の最高峰である大学への進学を推進しています。
グローバル教育や英語教育の導入に加え、帰国子女の受け入れやアメリカ、シンガポール、イギリス、ベトナムなどへのホームステイに対しても積極的です。
このような取り組みから、渋幕はこれまでにオックスフォード大学、ハーバード大学、プリンストン大学、トロント大学、イェール大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス、ロンドン大学といった、世界でも有名な大学へ多数の合格者を輩出しています。
学費
渋幕でかかる主な学費は以下の通りです。
| 項目 | 金額 |
| 入学納入金 | 280,000円 |
| 施設拡充費 | 70,000円 |
| 後援会入会金 | 3,000円 |
| 教材費（年間） | 60,000円 |
| 毎月の納入金 | 授業料 35,000円 施設費 15,000円 維持費 2,500円 後援会費 3,000円 生徒会費 1,000円 預り金 5,000円 |
入試問題の傾向
渋幕の入試問題では、国語と算数は50分で100点満点ですが、理科と社会は45分で75点満点というのが特徴であり、いずれも高い「応用力」と「思考力」が求められます。
各教科の主な特徴は以下の通りです。
- 国語：大問2題構成であり、約6,000～8,000文字ほどの長文読解が出題される。文字数が多いことから、日頃から読書や過去問を解き、スピーディーかつ正確に文章を読み解くスキルを身に付けておくと良い。
- 算数：大問5題構成であり、計算問題や平面図形、立体図形、数の性質、場合の数などの問題が頻繁に出題される。得意・不得意によって解答に時間がかかってしまうことがあるため、過去問を反復して早く解けそうな問題を見極め優先して解いていく習慣を身に付けておくと良い。
- 理科：大問4題構成であり、難易度は標準レベル。実験や観察データ、長文問題などが出題され、ただ暗記するだけでなく、自ら考えて答えを導き出すスキルが必要とされる。
- 社会：大問3題構成であり、そのうち1題は複数の分野からなる総合問題となっている。記述問題も複数含まれており、問題数が多いことから試験時間の配分が重要。過去問を反復して行い、試験時間を身体で覚えておくと良い。
卒業後の進路
渋幕における主な進路実績は以下の通りです。※（）内は現役合格人数
| 東京大学：74人（54人） | 一橋大学：10人（9人） | 東京工業大学：9人（7人） |
| 筑波大学：15人（10人） | 千葉大学：32人（21人） | 京都大学：7人（6人） |
| 早稲田大学：220人（157人） | 慶応義塾大学：153人（104人） | 上智大学：59人（39人） |
| 東京理科大学：126人（72人） | 明治大学：95人（61人） | 立教大学：26人（15人） |
| 青山学院大学：21人（12人） | 法政大学：43人（11人） | 中央大学：36人（9人） |
| （医学部・医学科） 東京医科歯科大学：2人 | （医学部・医学科） 千葉大学：8人 | （医学部・医学科） 順天堂大学：13人 |
（参照：主な大学への合格状況 （2022年4月25日現在） ）
千葉御三家「市川」の特徴
続いては市川（市川学園市川中学校）についての紹介です。
基本情報
市川における基本情報は以下の通りです。
| 住所 | 〒272-0816 千葉県市川市本北方2-38-1 |
| アクセス | 京成「鬼越駅」より徒歩20分 JR・都営地下鉄新宿線「本八幡駅」よりバス11分 （JR北口②番のりばバスはいずれも可） JR「市川大野駅」より姫宮団地経由本八幡駅行きバス11分 JR「西船橋駅」より直行バス20分（登下校時のみ運行） ※いずれものバスも「市川学園」か「市川学園正門前」で下車 |
| 電話番号 | 047-339-2681 |
| FAX | 047-337-6288 |
| 偏差値 | 男子（64）女子（63） |
| 受験の募集人数 | 第1次：男子180名、女子100名 第2次：男女40名 |
| 公式HP | https://www.ichigaku.ac.jp |
校風
市川の教育方針は「個性の尊重」と「自主自立」であり、生徒一人ひとりの個性を育て、生徒自身が自分を教育していく喜びに出会えるように導くことを目標としています。
そこで掲げられる3つの柱が「独自無双の人間観」「よく見れば精神」「第三教育」です。
「独自無双の人間観」は、人それぞれの個性や持ち味などの異なる可能性に対しての基盤となる価値観を指します。
「よく見れば精神」は、よく見れば雑草にも独自の美しさや個性があるように、生徒1人ひとりをじっくりと見ることで、潜在する個性を引き出すことを目的とした教師たちの使命のことです。
「第三教育は」、生徒自身による教育のことを指します。
市川では、家庭による教育を第1教育、学校からの教育が第2教育としており、第3教育は生徒自身が自分の個性を伸ばし、生涯学んで養っていく力のことです。
市川では、上記のように生徒が学校生活を通して将来活躍できるように、自分自身で個性を伸ばせるような力を身に付ける指導を行っています。
学費
市川でかかる主な学費は以下の通りです。
| 項目 | 金額 |
| 入学納入金 | 330,000円 |
| 施設負担金 | 30,000円 |
| 毎月の納入金 | 授業料 35,000円 施設整備・運営費 15,000円 生徒会費 600円 後援会費 1,200円 |
入試問題の傾向
市川では、4教科いずれも100点満点ですが、国語と算数は50分、理科と社会は40分となっています。
他の多くの中学校と異なり理科と社会の配点が高めなので、理科・社会を重点的に勉強し、得点を伸ばすことも対策の一つになるでしょう。
各教科の主な特徴は以下の通りです。
- 国語：大問4題構成となっており、知識問題が多く出題される傾向がある。出題形式がさまざまなため、過去問で基礎知識を身に付け、出題の傾向慣れも必要。
- 算数：大問5題構成となっており、問題量が多い傾向があるため、計算のスピードや正確性が求められる。また、旅人算や数の性質に関する問題が多く出題されやすいため、重点的に対策しておくと良い。
- 理科：大問4題構成となっており、さまざまな分野からバランスよく出題される。難易度はそこまで高くはないが、物理や化学の計算問題が多く出題されやすい。そのため、基礎知識に加え、応用力も求められる。
- 社会：大問3題構成となっており、地理・歴史の問題が多く出題される傾向がある。会話文などの独自形式や記述問題も出題されるため、知識を身に付けた上で、自身の言葉にまとめる練習が必要。
卒業後の進路
市川における主な進路実績は以下の通りです。※（）内は現役合格人数
| 東京大学：15人（9人） | 一橋大学：9人（6人） | 東京工業大学：17人（13人） |
| 筑波大学：17人（13人） | 千葉大学：35人（25人） | 京都大学：7人（7人） |
| 早稲田大学：140人（112人） | 慶応義塾大学：105人（86人） | 上智大学：89人（74人） |
| 東京理科大学：233人（166人） | 明治大学：188人（136人） | 立教大学：64人（51人） |
| 青山学院大学：36人（26人） | 法政大学：82人（56人） | 中央大学：62人（51人） |
| （医学部・医学科） 東京医科歯科大学：4人 | （医学部・医学科） 千葉大学：6人 | （医学部・医学科） 順天堂大学：2人 |
千葉御三家「東邦」の特徴
最後は東邦（東邦大学付属東邦中学校）について紹介します。
基本情報
東邦における基本情報は以下の通りです。
| 住所 | 〒275-8511 千葉県習志野市泉町2-1-37 |
| アクセス | JR総武線：津田沼駅下車（東京駅地下ホームから快速電車で約30分） 京成バス：東邦大付属東邦中学・高等学校前より徒歩2分 |
| 電話番号 | 047-472-8191 |
| 偏差値 | 男子（60）女子（63） |
| 受験の募集人数 | 第1次：240名 第2次：20名 |
| 公式HP | https://www.tohojh.toho-u.ac.jp |
校風
東邦は「自然・生命・人間の尊重」を理念に掲げており、偏差値にとらわれない進路指導を行っています。
東邦大学の附属校ということもあり、医学部、歯学部、薬学部への合格実績が圧倒的に多く、2022年度の実績は180名ほどです。
そのため、東大や筑波大学などの有名・難関校への合格実績は御三家の中では劣りますが、理系や医療系の学部を目指すのであれば東邦がおすすめでしょう。
また、東邦の独自プログラムである「自分探し学習 EXPLORING STUDY」では、生徒一人ひとりが中学校・高校の6年間で自身の可能性を開拓に向かって、学校生活を主体的に送ることを目的としています。
学費
東邦でかかる主な学費は以下の通りです。
| 項目 | 金額 |
| 入学納入金 | 340,000円 |
| 毎月の納入金 | 授業料 34,000円 施設維持費 7,000円 習志会費 3,000円 校舎等建設期成会費 9,000円 校外学習積立金 6,000円 |
入試問題の傾向
東邦の入試は、前期が4教科いずれも45分で100点満点ですが、後期は国語と算数が45分の100点満点、理科と社会は30分で50点満点です。
難易度はそこまで高くなく、記述問題は比較的少なめになっています。
各教科の主な特徴は以下の通りです。
- 国語：大問2題構成となっており、物語文や小説文から1題、論説文や説明文から1題となっている。選択や抜き出しでの解答がほとんどであり、記述形式の解答は少ない。長文問題の難易度が高く、高い読解力が求められるが、知識問題の難易度は低いため、確実に点数を稼げるようにしておくと良い。
- 算数：大問7題構成となっており、図形に関する問題が多く出題されるので、面積や体積、相似比などの事前対策が必要。また、近年では場合の数や数の性質などの問題も出題頻度が増えているため、幅広く基礎知識を身に付けておく必要がある。
- 理科：大問が7題または8題構成となっており、化学や物理、生物、地学など幅広い分野から出題される。計算問題も多数出題されるので、ケアエスミスをしないように心がけが必要。加えて実験や観察に関する出題も多いため、過去問や似たような問題を反復して解き、問題慣れしておくと良い。
- 社会：大問3題構成となっており、各分野からバランス良く出題される。図や表の資料問題が頻出で、解答形式は選択問題がほとんど。他の教科に比べて合格者の平均点が高いので、ケアレスミスで点を落とさないようにしたい。
卒業後の進路
東邦における主な進路実績は以下の通りです。※（）内は現役合格人数
| 東京大学：5人（2人） | 一橋大学：2人（2人） | 東京工業大学：11人（8人） |
| 筑波大学：7人（6人） | 千葉大学：18人（13人） | 北海道大学：6人（4人） |
| 早稲田大学：53人（39人） | 慶応義塾大学：43人（33人） | 上智大学：42人（32人） |
| 東京理科大学：131人（90人） | 明治大学：105人（74人） | 立教大学：47人（30人） |
| 青山学院大学：39人（33人） | 法政大学：60人（48人） | 中央大学：46人（37人） |
（参照：東邦中学校・高等学校公式サイト「進路実績」 ）
中学受験では子どもの性格に合った学校を選ぼう
今回は、中学受験における千葉御三家と呼ばれる「渋幕」「市川」「東邦」について、それぞれの校風や卒業後の進路、入試問題の傾向を解説しました。
3校とも入学難易度は高いですが、それに見合った質の高い教育が受けられます。
各校にそれぞれの教育方針があり、目指すべき人材も違います。
お子さんとの相性をしっかりと考えた上で、志望校を決めることをおすすめします。