こんな方におすすめ
- 公立中学と私立中学のどっちに通わせるか迷っている
- 公立中学と私立中学の違いとは?教えてほしい
小学5年、6年生頃になると、どの中学校に通うかを考えることになります。
文部科学省の「令和元年度学校基本調査」によると、全国の中学生のうち、私立中学に通う割合は7.4%でした。
つまり、一般的には大半の子どもが地元の公立中学校へ通っているのです。
しかし、それぞれの特徴や違いを知ったうえで判断することでより子どもに合った環境を選べます。
そこで今回は、公立中学と私立中学の違いやそれぞれのメリットとデメリットと、中学校を選ぶ際のポイントをご紹介します。
公立中学を選ぶか私立中学を選ぶか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
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公立中学と私立中学への進学率とは
中学校は、大きく分けて公立中学校と私立中学校の2つに分けられます。
文部科学省の「令和元年度学校基本調査」によると、全国の中学生のうち、私立中学に通う割合は7.4%でした。
都道府県 | 全体(人) | 私立(人) | 私立に通う割合(%) |
全国 | 3,218,137 | 239,106 | 7.4 |
東京 | 300,377 | 75,003 | 25.0 |
京都 | 65,551 | 8,783 | 13.4 |
ただし、都道府県によって割合は大きく変化します。
全国で最も私立中学に通う割合が高い東京都で25.0%、次いで高知県が18.1%という結果になりました。
そのため、住んでいる地域によって周りの「当たり前」が多少異なる場合はあります。
また、「多くの人が公立中学を選んでいるから私の子どももそうしよう」という選び方は最適とは言えません。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解したうえで、自分の子どもに合った方を選びましょう。
メモ
中学校を選ぶ際には子どもの意見もしっかりと聞いて尊重してください。
子どもが「友達と離れたくない!」と強く希望しているのに将来のために有利だから、と無理に中学受験をすることを選ぶと、不信感が募ったり、受験勉強に力が入らなかったりする場合があります。
たとえはじめは親が選んだ中学受験でも、最終的には子どもも「行きたい」と思うまで、じっくりと家族で話し合って進学先を決めてください。
公立中学校のメリット・デメリットとは
それでは、まずは公立中学校のメリットとデメリットを紹介します。
【メリット①】経済的負担が小さい
公立中学校の最大のメリットは、「経済的負担が少ない」ことです。
義務教育のため、授業料や教材費などはかからず、基本的に無償で提供されます。
また、それだけでなく、通学にかかる費用や私立中学受験にかかる費用などでも差が出ます。
文部科学省が行った「平成30年度子どもの学費調査」によると、私立中学校にかかる1年間の教育費が1,406,433円(約140万円)なのに対して公立中学校は488,397円(約49万円)と、約3分の1の費用で通うことができます。
【メリット②】通学しやすい
公立中学校は、住んでいる地域によって原則指定されるので、徒歩や自転車で通うことができる場合がほとんどです。
そのため、通学に時間がかからなかったり、公共交通機関を使う必要もない場合が多いです。
満員電車での通学となるとストレスもかかるので、電車に乗る必要がないのは大きなメリットです。
【メリット③】小学校からの友達が多くいる
先述の通り、大半の小学生が公立に進学する傾向があるので、小学校の友達の多くが地元の公立中学に進学する可能性は極めて高いです。
ただでさえ中学校は小学校と大きく異なり、環境の変化に戸惑う子も少なくありません。
まったく知らない環境の中で、6年間を過ごした友達がいるだけで心強いものです。
人間関係は子どもの成長にとって非常に重要なので、大切なメリットです。
【デメリット①】高校受験がある
中高一貫や大学付属の私立中学に進学した場合、高校受験や大学受験はありません。
高校受験をするには、塾に通ったり、受験料がかかったりとそれなりのお金がかかります。
また、高校は義務教育ではないので、最悪の場合進学できない可能性もあります。
そういったリスクを考えるとデメリットと言えます。
【デメリット②】荒れている場合がある
地域によっては、一番近くの公立中学が荒れている場合があります。
義務教育がゆえに「誰でも入れる」ので、粗暴な子や危険な子も入ってくる可能性があるのです。
私立中学の受験をする家庭の中には、「地元の公立中学には通わせたくないから」という消極的な理由で受験する家庭もあるほどです。
評判だけではわからないので、普段の校外からの様子を把握したり、体育祭や文化祭に足を運んだりすることも効果的です。
【デメリット③】教師の異動が激しい
公立中学校は教師の異動が激しく、せっかくいい先生に巡り合っても、1年で異動してしまうことも珍しくありません。
3年生に持ち上がる時に異動になってしまうこともあるので、受験前の評価が変わってしまい困ってしまうケースも見られます。
都道府県や市区町村ごとの公務員である公立の教師だからこそのデメリットと言えます。
【デメリット④】成績の違いで悩む可能性がある
公立中学は受験の必要が無く、どのような学力の子でも入学できます。
そのため、成績が著しく低い子や著しく高い子は、周りとの学力の差に悩んでしまう可能性があります。
私立中学であれば、ある程度同程度の学力の子が入学するので、それほど大きな学力差は生じません。
誰でも入れるがゆえのデメリットと言えます。
私立中学校のメリット・デメリットとは
私立中学校のメリットとデメリットは、以下の通りです。
【メリット①】子どもに合った教育方針の学校を選ぶことができる
公立中学校は文部科学省の方針に従っているので、どこの中学校も原則同じ方針に基づいています。
私立中学校は学校によって方針が異なり、それぞれの学校独自の教育方針を持っています。
「生徒の個性を大切にする学校」や「スポーツに力を入れている学校」など様々なので、子どもに最適な学校を見つけやすいです。
とくに発達障害などの個性の強い子どもの場合は、障害を個性として評価してくれる私立中学校を選ぶと子どもに負担なく通うことができます。
【メリット②】大学への進学が有利な学校がある
私立の中高一貫校は、数学や英語などの受験教科の授業時間数が公立中学よりも多く、教材もレベルの高いものを採用しているので、ハイレベルな大学への進学率が高いところが多いです。
また、学校によっては推薦枠を多く持っているなど、有利な面もあります。
また、中高一貫校の場合は、6年間を通した教育がなされるので、授業のスピード感も速いです。
中学校の段階で高校数学を取り扱ったり、高校2年生で高校3年間の内容を終えたりすることも珍しくないため、受験期に過去問や演習を早く取り掛かれます。
【メリット③】大学まで受験がない学校もある
大学附属の中学校に進学すると、全員ではありませんが大学まで進学できます。
例えば、早稲田と慶応の附属中学の内部進学率は90%以上なので、ここに入ればよほどついていけない場合以外は、もう受験をせずに大学を卒業できます。
留学や課外活動など、自分のための有意義な時間を費やすことができるため、メリットと言えます。
【メリット④】教師の異動が少ない
公立と異なり教師の異動が少ないので、信頼関係を築きやすいく、一貫した指導を受けられます。
また、実績のある教師や引き抜きなどによる実力のある教師が多いのもポイントです。
【メリット⑤】施設が充実している
私立中学校は、公立中学校に比べて図書館やPC教室、音楽室、体育館、食堂などの施設がハイグレードです。
税金から予算が組まれる公立とは異なり、資金が潤沢にある私立中学が多いので、比較的設備は整っています。
有名シェフが調理するカフェテリアがあるところもあります。
【デメリット①】経済的負担が大きい
公立中学校のメリットで紹介したように、私立中学校の教育費は公立の約3倍。
その上、交通費がかかることが多いので、実際にはもっと教育費がかかります。
修学旅行などで海外に行く学校も少なくないため、余計にかかります。
【デメリット②】友達がいない
小学校からの友達がほとんど進学する公立中学校と違って、私立中学校は一緒の小学校から進学する人数が少ないです。
場合によっては自分1人、ということもあるので、始めのうちはストレスを感じる場合があります。
中学校の選び方
それぞれのメリットとデメリットを理解したうえで、中学校を選ぶ際のポイントを紹介します。
学費を払えるか?
学費が払えなければ、中学校に通うことができません。
公立の学費が払えない場合は住んでいる市町村に申請すると学費の補助がでますが、私立中学校に通えるほどの補助はでません。
まずは、学費を3年間払えるかどうかを確認しましょう。
子どもに合った学校か?
進学先の公立中学校が荒れていたり、小学校で友達関係にトラブルがあったりする場合は子どもが通っても良い環境ではないので、私立中学校の受験を考える親が増えています。
また、個性の強い子どもや引っ込み思案で周囲になじみにくい子どもも私立中学校が向いています。
反面、友達が多く友達と一緒に学びたい、と思っている子どもは公立中学校が適しています。
子どもの性格や学校の校風を考慮して子どもに合った中学校を選びましょう。
通学時間を考えて選ぶ
私立中学校を選ぶ場合は、通学時間をよく確認することも大切です。
片道に何時間もかかったり、乗り換えが多かったりすると子どもの負担が大きくなってしまいます。
大雨や積雪、地震などの災害時の不安もあるので、通学時間は1時間以内を目安に選ぶことをおすすめします。
まとめ
中学校には公立中学校と私立中学校があり、それぞれに特徴があります。
どっちが良い、とは一概に言えないので、子どもの性格や状態、進学先の学校の状態などをよく確認して、子どもに合った学校を選びましょう。
学費を払えるか、遠方の通学になった時に災害時や体調不良時のサポートが可能かどうかも判断の基準に入れてください。