こんな方におすすめ
- 読書感想文の書き方がわからない
- 読書感想文で読解力をつけたい
小学校の読書感想文の宿題に、「面白かった」以外に何を書いていいのかが分からない、あるいはどうやったら「面白かった」ことを伝えられるのかが分からない小学生は多いのではないでしょうか。
読書感想文の書き方にはコツがあります。
また、読書感想文を書くことで論理的思考の向上が期待できます。
ここでは、将来にも役立つ読書感想文の書き方をみてみましょう。
読書感想文は何故書くのか?何を求められているのか?
小学校の読書感想文では、思ったままの感想を書いただけでは、先生や学校から高評価を得られることは滅多にありません。
読書感想文の目的は、読解力と表現力の向上です。
その点を理解して臨むことで、読み方や書き方が変わります。
読書感想文は、「押しつけではないか」「子どもの読書嫌いを助長させる」「『感想』に優劣をつけるなんて」などの議論があがっています。
しかし、文章力をつけることで他の教科にも好影響を与えることができます。
読書感想文用の本を選ぶ・本を読む
読書感想文に一番重要なのが、楽しく読み切れる本を選ぶことです。
読んでも何も感じなかったり、そもそも読み切れないのは、選んだ本が合っていなかったのです。
明るい話しが好きな子に、いくら名作と評価されている本でも、内容が暗い本を読ませれば「退屈だった」しか感想がでてきません。
発達段階や感性、興味に合った本を選ぶことが大切です。
面白くない本を無理やり最後まで読ませても、ますます読書が苦痛になるだけで、感想が出てくることはありません。
子どもが「楽しそうだな」と思える本を選び、もし楽しくなかったののならば途中でやめ、興味が持てる本をじっくり探すことから始めましょう。
本選びは、司書さんのアドバイスやブックレビューを参考にすると良いでしょう。
学校側から指定されている本が面白くないと感じている場合は、どこが面白くないと感じているのか、何が難しいと思うのかをまとめて、その面白くないという理由を感想文として書くのも一つの方法です。
読んだ本の内容を確認する・主題や感情を読み解く
読み終わったら子どもに「どんな内容だったのか」を聞き、箇条書きで整理してみましょう。
子どもは「面白かった」と言いながらも本の主題をはき違えていることが少なくありません。
張り切って動物園に連れて行ったのに帰りに「どの動物が面白かった?」と聞いたら「公園でハトにオヤツを分けてあげたのが楽しかった!」などと言われ、がっかりとした経験はありませんか?
ブックレビューなどを読み、主題は何か、主人公は誰なのかなど、予備知識を入れておくのも良いでしょう。
主題を読み解く
子どもの興味はさまざまです。
例えば、「『走れメロス』で妹の結婚式の描写がにぎやかで一番楽しいシーンだった」「『かぐや姫』で龍の玉を求めて海に乗り出す展開が最高に興奮する」「『モモ』の灰色の男が次々と人形を出すところが華やかでワクワクする」など、マニアックなシーンを平気で推してきます。
物語には「友情を証明する物語」「孤独に苦しめられた男が人を信じる尊さに気が付く物語」「分相応なものを望んではならない」「勧善懲悪」「お金よりも心の豊かさや人とのつながりが大切」などの主題やテーマがあります。
物語によっては主題は1つではありません。
子どものお気に入りのシーンを尊重しつつ、そのシーンは主題にどのようにつながっているのか、主人公や登場人物はそのシーンで何を考えて、どのように物語に影響しているのかなど、質問しながらまとめていきましょう。
登場人物の感情を考える
主題を読み解く大きなヒントになるのが登場人物の気持ちです。
物語の進行とともに何を考え、どう思ったのかに想像を馳せてみましょう。
『走れメロス』ならば、王様の元に戻る途中でメロスが弱気になりますが、「どうして弱気になったのか?」「どうして再び頑張ったのか?」などについて子どもと考えましょう。
子どもがどう思ったのかも聞いてください。
「信頼された人からは誠実をもって応えたい」「辛い時でもわずかなきっかけで気力が沸くことがある」など「自分だったら……」という考え方は、読書感想文でとても役立ちます。
ここでもわき役が気に入って感情移入する子もいますが、その気持ちは否定せずに、「主人公にどのような影響を与えたのか?」などに目を向けられるように促しましょう。
※物語ではなく、説明文や紹介文などの本ならば、作者の考えや作者の主張に注目してください。
読書感想文の構成を作る・書く
物語の全体像を掴んだのならば次に構成を作ります。いわば目次です。
オーソドックスな構成と、『走れメロス』を使った例を紹介します。
- 本の内容について(命を懸けて友情と信頼を証明する話)
- 自分がどう感じ、何を考えたのか(友情と諦めない心は素晴らしい。殴り合うシーンには憎しみではなく愛がある)
- 自分の経験を絡める(友達の存在が心の支えになったことがある)
- 結論(友情と信頼は素晴らしい)
- 今後どうしたいのか、どうなりたいのか(信じられる人になりたい、誠意ある行動をしたい)
①の比重は少な目にしましょう。読書感想文は「感想文」であって「本の要点をまとめる文章」ではありません。③を具体的に書くと説得力が増します。
構成が決まったらあとは書くだけです。
書き出しが思い浮かばないのならば「なぜその本を読もうとしたのか」について書くのがおすすめです。
「版画のような装丁が珍しくて手に取ってみたら最初の一文で衝撃受け、一気に読んでしまった。この物語は……」「勢いのあるタイトルに惹かれて手に取ってみたらメロスがなかなか走らない。いつ走るのだろうと読み進めているうちに……」など、率直な感想を書いても良いでしょう。
書いた読書感想文を読み返す
読書感想文は書いたら必ず読み返しましょう。
- 誤字、脱字はないか。
- 主語、述語、修飾語の破綻。
- 間違った助詞。
- 指示語がさしているものが分かりにくい。
- 一文の中に「~が、~が」や「~ので、~ので」など逆説・順接を2回以上使っている。
- ら抜き言葉。
推敲は、「声に出して読む」「親が音読して子どもに聞かせる」ことで間違いを見つけやすくなります。
「すごいと思いました」「感動しました」などは多用し過ぎないようにしましょう。「どうすごかったのか」「どのように心動かされたのか」を具体的に書くことで気持ちを伝えやすくなります。
小学校の読書感想文の書き方にはコツがある!
小学校の読書感想文は、「読書を楽しむ」「主題と登場人物の気持ちを読み解く」「構成をつくる」「読み返す」ことがポイントです。
賞を受賞した読書感想文を読むのも参考になります。
読書感想文を書くことで、読解力や表現力の向上のほか、語彙力や論理的思考の発達も期待できます。
親子で本を読んだ感想や考えを出し合いながら、取り組んでみてはいかがでしょう。
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