こんな方におすすめ
- 毎日の丸つけが負担に感じて悩んでいる方
- 丸つけを子どもに任せて良いのか悩んでいる方
受験勉強に限らず日々の学習を進める中で、丸つけ作業に負担を感じている方もいるのではないでしょうか。
中には子どもが自分で丸つけをしているというご家庭もあるでしょう。
丸つけをするのが親と子のどちらにしても、丸つけ作業を単純な正誤チェックのみで済ませていたら、もったいないです。
中学受験の勉強をスムーズに進めていく場合、日々の丸つけ作業はとても重要であり、今後の子どもの学力や成績の伸びに左右されるといっても過言ではありません。
本記事では、中学受験における丸つけの重要性と、親子それぞれが丸つけをする際のメリット・デメリットを解説していきます。
正しい丸つけを理解し、学力向上や成績アップに繋げていきましょう。
丸つけは子どもにやらせるべき!親はチェックのみ
日々の丸つけは時間を費やすため、なかなか大変な作業です。
宿題の丸つけを子どもに任せるのか、親がしっかりと対応すべきか、悩んでいる方も少なくないでしょう。
結論から言うと、自分で解いた問題は自分で丸つけを行い、最後のチェックは親が行うことをおすすめします。
子どもの年齢や理解度によっても多少異なりますが、丸つけは本人にやらせることが大切です。
ただし、子どもが正しい丸付け方法を理解してできるようになるまでは、親も丸つけを一緒に行う必要があります。
では、「正しい丸つけ」とは、具体的にどのような方法なのでしょうか。
丸つけをすると、「正解」「不正解」のどちらかになりますが、その後の対処方法に大きく関係しています。
問題に対する子どもの理解度によってもその後の対処法は異なってくるので、確認していきましょう。
丸付けからわかる4つのパターン
丸付けが、解答の正解・不正解を記すだけの無駄な作業になってしまわないためにも、丸つけをする上で以下の4つのパターンがあることを理解することが大切です。
- 答えが合っている→しっかりと理解していて正解だった
- 答えが合っている→なんとなく解答したら正解だった
- 答えが間違っている→分かっていると思っていたが間違いだった
- 答えが間違っている→分からなくて間違いだった
丸付けの際には正解か不正解かに着目しがちですが、何よりも「問題を理解しているかどうか」を重要視することがポイントになります。
丸付けをした後にどのような対処をしていくべきかを、4つのパターン別に以下の表にまとめましたので、ご覧ください。
パターンの種類 | 内容 |
【正解】 しっかりと理解していて正解だった | しっかりと理解していることを自分自身でも把握できているので、問題ありません。 |
【正解】 なんとなく解答したら正解だった | 問題をしっかりと理解しているわけではないので、テキストやノートの内容を再度確認する必要があります。 「なんとなく正解」を「しっかりと理解して正解」にすることで、確実に正解して自信を持てるようにしましょう。 |
【不正解】 分かっていると思っていたが不正解だった | 解答・解説と照らし合わせながら、具体的にどこがどのように理解できていないのかを把握する必要があります。 分かっているつもりで回答したわけですので、解答を見直しただけでは間違いになかなか気付けません。子どもが一人で振り返ると、「途中までは合っていたのに、どこから違うのか分からない」と間違いに気付きにくい場合もあります。 そんな時は、親も一緒に見直しをして子どもが理解できるよう手助けをすると良いでしょう。具体的には解説を親が読み返し、子どもが客観的に聞き取れるようにします。 部分的に質問や確認を行い、ところどころで理解できる環境を作ってあげると理解しやすいでしょう。 |
【不正解】 分からなくて不正解だった | 解答・解説を利用しながら、間違いの箇所や理由をはっきりとさせる必要があります。 本来の学習内容に戻り、一から理解し直しましょう。苦手意識がある問題の傾向や、具体的な箇所を把握して見直す作業を自分でできることが大切です。 時間がかかっても、正しい理解が確実に身に付けられるよう親もしっかりと寄り添う姿勢が必要と言えます。 |
4つのパターンのうち、子どもが「自分はどのパターンであるか」を再確認するためにも、自分で丸付けを行うことがとても重要なのです。
丸つけをする際に親が気をつけたい点は、正解・不正解だけで子どもを評価したり判断してはいけないということです。
なぜなら、子どもは丸付け時に不正解で怒られたら、丸つけ=ネガティブなイメージを持ってしまう可能性があります。
そもそも「不正解」に対するイメージが悪く、親に丸つけを見せたくないと感じてしまう場合もあるでしょう。
不正解の問題は学び直しのチャンスと捉え、落ち込むことではないことを伝えていきましょう。
そして、最終的なチェックは親が行いましょう。
丸つけもチェックも子どもに任せると、子どもの学力や細かい理解度を親がしっかり把握できない恐れがあります。
ずっとそばについて丸つけすることが難しい場合でも、最後のチェックは親が一緒に同席できるとより効果的です。
小学6年生になるまでには自分で丸つけができるように
では、いつまで丸つけをしてあげたら良いのかと考える方もいるでしょう。
それは、ズバリ小学校4〜5年生くらいまでです。
小学校6年生になるころには、自分で丸つけまでできるようになることが望ましいです。そのためにも、小学4~5年生の間は、親が丸つけあるいは子どもの丸つけを一緒に手伝うと良いでしょう。
子どもが自分で丸つけをしないと、どんなにたくさんの問題を解いても、誰かが丸つけをしてくれるまで解決できません。
その問題の解答が正解か不正解かすら知ることができないため、理解度の把握が遅れてしまいます。
そもそも丸つけの本来の目的は、「分かる」を「できる」に変え、間違えた箇所を正しく理解し直すこと。
答え合わせの方法を理解していなければ、正しく理解することはできず、丸つけの意味がありません。
丸付けをして自分の回答が正しかったか、間違っていたかを知り、正しい答えを確認しておしまい…では意味がないのです。
その先の正しい解き方を知ることがとても重要です。
子どもに丸つけをさせるメリット
子どもが自分で丸つけをすることで、効率的な勉強と学力アップなど、中学受験を乗り越えるための力を身に付けることができます。
しかし、ご家庭の状況によっても丸つけに対応できるか否かは変わってくるでしょう。
ここでは、子どもに丸つけをさせた場合に、どのようなメリットがあるのかご紹介します。
余分なストレスを感じない
自分で丸つけをすれば、親も子ども自身も余計なストレスを感じる必要はありません。
丸つけの際に、つい親が口出ししてしまったり、不正解であることにイライラしてしまいます。
そうなる前に、子ども自身で丸つけを任せてみるのも一つの方法です。
きちんとできているか不安に感じるのであれば、最後のチェックを親が行うなど、学習のやり方を確認できるようにすると良いでしょう。
自立した学習ができる
丸つけを子ども自身が行うことで、自分の現状の把握や問題に対する理解度を自分で確かめることが可能です。
自分の苦手なポイントや間違えやすい問題の傾向が分かれば、何を勉強すれば良いかが明確になります。
いずれは親に頼らず一人で勉強することになります。
中学受験を終え、入学した後は自分で学習を進めていかなければ、授業についていくのもしんどくなってしまいます。
今のうちから、自分で学習する方法を身につけるためにも良い機会でしょう。
子どもに丸つけをさせるデメリット
特に自分で管理することが難しい低学年の場合、親が把握できないことで間違った学習法が身に付いてしまいます。
子どもが丸つけをする際には、以下のようなデメリットがあることを覚えておくと良いでしょう。
子どもの学力を把握しにくい
子ども自身が丸つけすることで、親は子どもの学力や学習状況を把握しにくくなってしまいます。
親が子どもの現状を理解できず、正しく学習が出来ているのかも把握できません。
中学受験をする上で親が一切介入せず、塾任せになってしまうのは大変危険です。
丸つけは、子どもを褒めたり認めたりできる良い機会でもあることを、心に留めておきましょう。
ズルをする
子どもに丸つけをさせると、こっそりズルをしてしまうことも少なくありません。
多少のミスや途中計算など採点が甘くなってしまったり、解答を確認して理解した気になってしまうのです。
苦手な問題や理解しきれていない問題には、しっかりと向き合うことの大切さを伝えていきましょう。
そのためにも、不正解であることに対して、親が怒らないよう日頃から心がけることが重要です。
子どもに丸つけをさせる際は、解答の解説もしっかりと確認するよう伝えてください。
正解・不正解をチェックするだけでなく、内容を理解することが重要であることを先に伝えておきましょう。
親が丸つけをするメリット
ご家庭によっては、丸つけ作業が親の負担に感じてしまう場合もあるかもしれません。
しかし、親が丸つけをすることで効率良く学習できることも事実です。
具体的にどのようなメリットがあるのか、一つずつ解説していきます。
苦手なところを把握できる
子どもがどんな問題を間違えやすく、苦手意識を持っているかを把握することができます。
同じ箇所で何度も間違っていれば、理解できていない問題も特定できるため、復習や学び直しにもつなげやすいでしょう。
すんなり解けないと、本人もモヤモヤした気持ちが続き、解決(解き直し・学び直し)を後回しにしてしまう場合があります。
親が把握できれば、子どもが今何をすべきかという道筋を作ってあげられるため、スムーズな学習にもつなげることが可能です。
文字の丁寧さも一緒に意識できる
字の丁寧さ・読みにくさは、なかなか自分では気付けません。
しかし、解答した字を読み間違えてしまえば、テストや模試では命取りになることもあります。
今後、字の汚さで不利になってしまうことのないよう、日頃から本人が意識できるように親が声掛けしていくと良いでしょう。
チェックを厳しくできる
親が丸つけをすれば、漢字の「はね」「はらい」や算数の途中計算など、細かい点に注目して丸つけをすることができます。
お子さんが自分で丸つけを行うと、やはり多少のミスや細かい点まではなかなかチェックできず、見落としがちです。
第三者的に見て、気になるところは随時伝えていけると良いですね。
丸つけをする人(父親・母親)によって、丸つけの基準が異なる場合もあります。
子どもにとっても、丸つけをする人によって解答が異なると困惑してしまいます。
丸つけのやり方やチェックする点をあらかじめ統一するなど工夫するとなお良いでしょう。
ズルを防げる
子どもが自分で丸つけをすれば、解答を見ながら答えるなどのズルができてしまいます。
親としては、子どもを疑う自分も嫌ですし、子どもがズルをしたという事実にショックを受けるのも避けたいものです。
日頃から解答を親が預かるなどして、ズルできないよう管理しておきましょう。
親が丸つけをするデメリット
ここでは、親が丸つけをすることで生じるデメリットをご紹介します。
子どもの学習に寄り添える一方で、近い距離感だからこそ発生する問題もあることを理解しておきましょう。
親は時間がとられて忙しい
特に低学年のうちは、自分で解答や解説を見ても理解しきれないことも多く、親の介入が必須です。
子どもが丸つけに慣れるまでは、親子で一緒に丸つけを行い、丸つけの方法を子どもにも分かりやすく伝えていきましょう。
共働き家庭であれば、なおさら親は負担に感じるかもしれません。
しかし、いずれはしっかりと丸つけについて理解し、子ども一人で丸つけをすることができるようになります。
甘えてメリハリがつきにくい
塾とは違って「親子」ですから、日常の関係から気持ちを切り替えるのは、子どもにとっては難しいことです。
まずは、親が言動を切り替えて空気感を変え、子どもにも「今は勉強をする時間」であることを伝えていきましょう。
子どももその雰囲気を察し、いつの間にか勉強に集中できるようになります。
不正解だとイライラしがち
丸つけの際に「不正解」があると、なんだかスッキリしないのは子どもも親も同じです。
しかし、何度も言いますが「正解」「不正解」で判断しないように心がけることが大切です。
その評価を、子どもは真に受けやすいため、自信を持てなかったり、やる気が持てなくなってしまいます。
「不正解=学べるチャンス」であることを常に伝えて、子どもが前向きになれるようにフォローしていきましょう。
一度は通る?!丸つけをごまかす子どもの気持ち
自分で丸付けをすれば、解答を見て記入したり、不正解なのに丸をつけてしまうなど、ズルをすることができてしまいます。
親であれば、そんな姿を見たくないし、実際に見つけてしまったらショックを受けるかもしれません。
しかし、長年受験生を見てきた塾の講師からすれば、意外にもよくあることです。
たとえ我が子がズルをしていると知ってしまった場合も、叱ることはやめましょう。
まずは、丸付けの目的を子どもに理解させ、正しい丸付け方法を教えることが重要です。
「周りの子が正解している中で、自分が不正解であることが悔しい」という心の葛藤があるのかもしれません。
しかし、ズルをすれば、当然ですが学力は伸びず、中学受験の際も苦労するのは本人です。
この先苦労しないためにも、今しっかりと子どもと向き合う必要があります。
丸つけの重要性を子ども自身が理解する
丸つけは、勉強をする上でとても大切な作業です。
しかし、実際には単純に正解・不正解だけを判断してしまうことが多いでしょう。
丸つけの重要性を子どもに理解してもらうために、以下のような例をご紹介しますので、上の資料を参考にしながらご覧ください。
例)AさんとBさんが、それぞれ問題を解きます。
このとき、正解の問題を〇の箱へ、不正解の問題を×の箱へ入れて選別を行います。
資料のように、×の解答が少なかったBさんは合格、Bさんより多いAさんは不合格となります。
これは、誰でも推測できる結果ですよね。
次に、この結果を見たAさんは悔しくて、さらに勉強することに決めました。
Aさんが取り組むべきことは、×の箱から×の問題を少なくすること・なくすことです。
そのためには、
- 丸つけをする時点で、確実に間違いの問題を間違いであると認めること
- 不正解だった問題を、解きなおして確実に正解すること
の2つの方法を実践する必要があるのです。
中には、自分で丸つけをする際に不正解と分かってモヤモヤして、ちょっとしたミスや途中式を省いて正解にしてしまう子もいるでしょう。
しかし、それでは〇の箱に×が混ざり、そもそも仕分けがうまくいかず成績はアップしません。
正確に仕分けて確実に不正解の問題を克服することで、学力・成績は上がるということを、日頃から子どもに理解させることが重要です。
丸つけは正しい方法で行うことに意味がある
今回は、中学受験での丸つけの方法や重要性について解説しました。
子どもと親が丸つけをするのには、それぞれメリット・デメリットがあります。
ご家庭によっても、できることやサポートの柔軟さは様々でしょう。
そんな中でも、まずは丸つけの目的を親子で明確に理解することが重要です。
今後の学力・成績にも大きく影響することでもあるため、無理のない範囲で子どもの学習に寄り添ってあげてみてください。