こんな方におすすめ
- 公立中高一貫校の受験を考えている
- 中学受験のことを教えてほしい
中学校と高校の6年間を過ごす「中高一貫校」ですが、私立だけでなく公立の中高一貫校もあります。
公立の中高一貫校は、文部科学省で平成11年度から制度化され、その人気から学校数を増やしています。
公立の中高一貫校では、「適性検査」と呼ばれるやや特殊な入試方式がとられており、適性検査に特化した対策が必要となってきます。
また、「いつから塾に通うべきか」「どのような準備・対策をすべきか」「おすすめの塾はどこか」が私立の中高一貫校と異なります。
そこで今回は、公立の中高一貫校を受験する方に向けて、公立中高一貫校受験の基本や塾に通うタイミング、おすすめの塾などをまとめて紹介します。
公立の中高一貫校受験を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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公立中高一貫校対策用の塾にはいつから通えばいいの?
結論から述べると、公立の中高一貫校を目指す場合は小学校6年生からの入塾でもギリギリ間に合います。
ただし、塾は2月に学年が切り替わることが多いので、小学校でいう「小学5年生の2月」に入塾するのが最終ラインです。
参考
私立受験の場合、塾に通うのに適した時期は3年生の2月だと言われています。
私立の中高一貫校は、小学校で習わない内容が試験に出たり、先取り学習で5年生が終わるまでに6年生の勉強を終わらせておく必要があったりするため、4年生の頃から準備をしておかないと間に合わないケースがあるからです。
私立中学受験対策のための入塾が比較的早いのに対して、公立中高一貫校の入塾が遅くてもいいのには理由があります。
それは、公立の中高一貫校は「小学校で習ったこと」を出題範囲にしているからです。
そのため、小学6年生になってから準備を始めても間に合う可能性が十分あるのです。
ただし、公立の中高一貫校は「適性検査」と呼ばれる独自の入試方法があります。
この独自の入試方法に慣れたり、論理的な考え方の基本を身につけたり、学習習慣を身につけたりするためには、小学5年生での入塾が好ましいです。
塾によっては、公立の中高一貫校受験を目指す生徒を対象とした「公立中高一貫校コース」があり、ほとんどの場合5年生からなので、早めに対策を取っておきたいと思う場合は5年生から公立中高一貫校コースに通うといいでしょう。
私立中学受験と同じように小学3年生から入塾することも可能なので、入塾を考えている塾に問い合わせてみましょう。
適性検査の対策方法
公立の中高一貫校入試で行われる適性検査は、小学校で習ったことが出題範囲ではありますが、少し取り組んだだけでは対応しきることができません。
適性検査では、教科の壁を越えて「読解力」「表現力」「思考力」が問われるからです。
これらの能力は一朝一夕では身につかないので、長い時間をかけて訓練することが求められます。
最も効果的な対策方法は、高学年になるまでに「本をたくさん読んでおく」「様々な活動・体験をしておく」「自分の意見を筋道立てて述べることができるようにしておく」などが挙げられます。
これらは公立の中高一貫校にチャレンジしない場合でも、人生において役立つことなので、子どもが小さい頃から心がけておくと大きなアドバンテージになります。
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適性検査対策については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてください。
【中学受験】公立の中高一貫校の適性検査とは?8つの具体的な対策方法も解説!
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調査書対策の重要性と3つの対策方法
公立の中高一貫校においては、調査書の内容が大きな合否判定の材料となります。
「調査書」とは、小学校の担任の先生に書いてもらう資料で、各教科の成績や学校生活での活動内容、出席日数の状況などの基本データや、所見と呼ばれる文章が記載されています。
一般的には、5年生の4月から6年生の受験までの内容を求められますが、学校によっては4年生からの場合もあります。
調査書が合否の判定時に占める割合は学校によって異なるため一概には言えませんが、2割を占める学校が多く見られます。(適性検査8割:調査書2割)
ただし、学校によって割合は異なり、3割を占める学校や2割を切る学校もあります。
志望校の割合がどうなっているかは、募集要項に書かれていることが多いので確認しておいてください。
ただし、公表していない学校もあります。
調査書対策として有効な3つのこと
調査書対策としては、次の3つのことが有効です。
日頃から学習態度や生活態度に気を付ける
特別「いい子」にしている必要はなく、普通に楽しく学校生活を過ごしていれば大丈夫です。
ただし、反抗的、協調性が足りない、粗暴などの評価は当然マイナスに影響してきます。
学級委員や生徒会役員などに立候補する
公立の中高一貫校では、意見をはっきり述べることができる子どもや、積極的な子どもが求められているので、学級委員や生徒会委員などで活動経験があると有利と言われています。
学校生活に積極的に関わっている様子を端的に伝えられるので効果的です。
英検や漢検などの資格を取る
英検などの資格や特技でのコンクール入賞などの結果は、調査書に書いてもらうことができます。
特に英検の資格は、持っていると合否判定ライン上に複数人いた時に優遇されることがあります。
もちろん漢検や数検なども有効です。
塾に通わなくても合格できるのか?
公立の中高一貫校受験は「絶対に塾に通わないと合格しない」という訳ではありません。
実際に塾に通わずに合格する子どもは多くいます。
しかし、塾に通わず家庭で受験勉強する場合は、親の負担がかなり大きくなります。
もともと中学受験は、多少なりとも親のサポートが無いと合格できないと言われていますが、塾なしではその負担はさらに大きくなります。
低学年や中学年の頃から公立の中高一貫校に合格する対策をしていて、家庭でのしっかりしたサポートができる場合は、塾なしでチャレンジすることも可能です。
そうでない場合は、塾へ通って適切なサポートを受けることをおすすめします。
親は、学習以外のサポートに全力を注ぐことができます。
公立中高一貫校対策におすすめの塾は?
公立の中高一貫校を受験する場合は、「公立中高一貫校コース」がある塾や、コースはなくても公立の中高一貫校に合格実績がある塾を選ぶことをおすすめします。
塾によって違いがありますが、小学校5年からの2年コースや6年生からの1年コースが設けられており、適性検査対策や面接対策があります。
公立の中高一貫校コースがあったり合格実績があったりするおすすめの塾は、以下の通りです。
中には特定の学校に特化した塾もあります。
家からの近さや費用面も考慮に入れながらベストな選択をしてみてください。
ena
公立の中高一貫校への合格人数が最も多い塾で、2020年度の都立公立中学校に823人(定員数約1600人)もの合格者を出しています。
Z会進学教室
少人数制と質の高い講師陣の指導で知られている大手進学塾です。
2020年には公立の中高一貫校に39人の合格者を出しています。
HP:https://www.zkai.co.jp/juku/jr-zshin/
早稲田進学会
早稲田進学会は、小石川中等教育学校への合格実績が高い塾です。
2020年には、小石川中等教育学校合格者552人のうち36人もの合格者を出しています。
早稲田アカデミー
志望校別のコースがあり、私立の中高一貫校の合格者数が多いですが、公立の中高一貫校も多くの合格者を出しています。
2020年には、61人の公立の中高一貫校合格者を出していますが、その中の38人は小石川中等教育学校に合格しています。
HP:https://www.waseda-ac.co.jp/
早友学院
公立中高一貫校受験(小4、5、6)コースがあり、「思考する算数」「読解作文」「テーマ学習」を3つの柱とした勉強をしています。
2020年は公立中高一貫校に24人の合格者を出しており、その中の20人が両国中学校です。
HP:https://www.see-soyu.co.jp/
日能研
首都圏などで100校以上の教室を展開している大手の進学塾です。
2020年には、公立の中高一貫校に39人の合格者を出しています。
HP:http://www.nichinoken.co.jp/
大原予備校
公立の中高一貫校受験に向けた講座を多く持っており、2020年には、公立の中高一貫校に48人の合格者を出しています。
HP:https://o-hara-yobiko.gr.jp/
SAPIX
難関校への合格者を多く出していることで知られている進学塾です。
私立の中高一貫校の受験者が多いですが、2020年には公立の中高一貫校でも24人の合格者を出しています。
HP:https://www.sapientica.com/
栄光ゼミナール
公立中高一貫校受験コースがあり、専用の教材とカリキュラムで適性検査の対策を行っています。
2020年は、143人の公立中高一貫校合格者を出しています。
HP:https://www.eikoh-seminar.com/chugakujuken/
四谷大塚
自ら考える力が教育理念で、学校別の対策コースがあります。
2020年の公立中高一貫校では、63人の合格者を出しています。
HP:https://www.yotsuyaotsuka.com/
まとめ
学費が安い公立でありながら受験がある公立の中高一貫校は、比較的新しくできた学校です。
入試に適性検査があることが最大の特徴ですが、小学校で習ったことしか出ないため、6年生から塾に通っても間に合います。
ただし、小学校での授業内容がしっかり頭に入っていない場合は、もっと早い時期から入塾することを検討してください。
塾を選ぶ時は、適性検査対策が取られている「公立中高一貫校受験コース」や「学校別対策コース」があるところを選ぶことをおすすめします。