こんな方におすすめ
- 繰り上げ合格について、具体的な内容を知りたい
- 繰り上げ合格の連絡が来た場合の対応について知りたい
「繰り上げ合格」という言葉を聞いたことがあっても、どういう仕組みなのか、いつ発表されるのかなど、具体的な内容を知らない方も少なくないと思います。
しかし、複数校受験することが当たり前な中学受験において、繰り上げ合格の仕組みは必ず前もって把握しておきたい重要なポイントです。
本記事ではそんな繰り上げ合格に関する「繰り上げ合格者の割合は?」「前もって何か準備しておいたほうがいいの?」といった疑問に関して1つずつ説明していきます。
中学受験における繰り上げ合格とは
中学受験における繰り上げ合格とはいったいどのようなものなのでしょうか?また、どうやって繰り上げ合格者は決まるのでしょうか。
ここでは繰り上げ合格の基本的な仕組みについて説明していきます。
繰り上げ合格とは
「繰り上げ合格」とは、合格者が辞退するなどして入学希望者が生徒募集定員を下回ったときに、合格を保留していた受験生の中から繰り上がって合格することを指します。
中学受験では、ほとんどの受験生が複数の学校を受験しています。そのため、より志望度が高い学校に受かった場合などに、合格を辞退するケースがあります。
入試を実施する学校側も、そういった合格辞退者が出ることをあらかじめ想定して、募集定員よりも多めに合格者を出します。
それでも想定よりも辞退者が多かった場合などに繰り上げ合格を出すことになるのです。
逆に言うと、辞退者が想定内だった場合は、繰り上げ合格者は出ません。
そのため、繰り上げ合格は毎年必ず出るものではないということや、繰り上げ人数はその年の状況によって変わるということは覚えておくと良いでしょう。
補欠合格との違い
繰り上げ合格と似ている言葉に「補欠合格」というものがあります。この2つはどう違うのでしょうか。
簡単に言うと、この2つは「発表のタイミング」と、「発表された時点での扱い」が異なります。
補欠合格は、正規合格者から辞退者が出て、入学希望者が募集人数を下回った際に合格になる候補者となった生徒のことを指します。
この補欠合格者が発表されるタイミングは、合格発表時です。
発表された時点では「今後の状況次第では合格する可能性がある」という状態にすぎず、正式に合格したわけではありません。
対して、繰り上げ合格の連絡があるタイミングの多くは、入学手続き終了後です。
入学する生徒がほぼ確定した時点で、生徒の補填が必要だった場合のみ対象者に繰り上げ合格の連絡を行います。
そのため繰り上げ合格は、連絡が来た時点で正式に合格となった状態です。
もしも補欠合格者になったとしても、必ずしも合格できるわけではないということは、記憶に留めておきましょう。
点数順に繰り上がる
基本的に繰り上げ合格の候補者は、入試の点数順に選ばれます。
合格最低点に1〜2点届かなかった生徒から選ばれることが多く、点数が同じ受験生が複数名いる場合は、各学校によって特定の教科の点数が高い人から優先していくなど、細かい選考基準が各学校によって定められています。
ただし、学校によっては、入試の点数ではなく複数回受験している方を優先的に補欠合格させるなどのシステムを設けている場合もあります。
繰り上げ合格者の選定基準について公表している学校もあるため、気になる方は事前に調べておくと良いでしょう。
繰り上げ合格の確率はどのくらい?
前述したとおり、繰り上げ人数はその年の状況によって変わります。
前年で十数人の繰り上げ合格者が出でも、翌年は繰り上げ合格者が0人のケースも珍しくありませんし、その逆もありえます。
その年の状況によって繰り上げ合格の確率は大きく変動するため、正確な確率を出すのは非常に難しいと言えるでしょう。
しかし一般的には、多くの人が第一希望に掲げているようなトップクラスの難関校は、合格した場合に辞退する方が少ないため、最初の合格発表者だけで繰り上げ合格者が居なかったり、居たとしても数が少なかったりする傾向にあるようです。
また、繰り上げ合格者は、入試の合格最低点から1〜2点程度足りなかったというケースがほとんどです。
合格者の平均点・合格最低点を確認して、ほんの少しだけ合格に届かなかった場合に「繰り上げ合格の可能性もある」と気に留めておく程度にして、過度な期待は寄せないようにしておくのが良いでしょう。
繰り上げ合格のタイミングや連絡
繰り上げ合格の連絡が来るタイミング
繰り上げ合格者への連絡は、正規合格者の入学手続き後に多いのでテスト終了から2週間くらいを目安にすると良いでしょう。
ただし、連絡する時期は学校によって異なり、早い場合は合格発表の翌日に連絡が来たり、遅い場合は合格発表から1ヶ月以上も経ってから連絡が来るというケースもあるようです。
まれに、滑り止めで受かった学校へ入学金を振り込み、制服も作り終え、あとは入学式を待つだけ……というタイミングで志望度の高い学校から繰り上げ合格の連絡が来たため、急いでそちらの学校に進学する準備を始めたという話も聞くことがあります。
上記は非常に珍しいパターンですが、繰り上げ合格の連絡は、いつ来てもおかしくないと思っていて間違いありません。
繰り上げ合格の連絡方法
繰り上げ合格の連絡は、意思疎通を迅速に行うために基本的に電話にて行われます。
こうした電話は、入学願書に記入した電話番号宛にかかってきますので、なるべく電話が取りやすい番号を記入しておきましょう。
また、繰り上げ合格の連絡を非通知で行っている学校もあります。
そのため、普段は非通知拒否設定をしている方も、繰り上げ合格の連絡がかかってくる可能性がある期間だけは解除しておくことが大切です。
さらに、電話が取れなかった場合に備えて、留守番電話サービスも設定しておくと良いでしょう。
繰り上げ合格の連絡が来たらどうする?
前述したとおり、突然電話で知らされる繰り上げ合格。
一度落ちた学校に合格したということで喜びもひとしおかもしれませんが、正規合格に比べて進学するかどうかの判断に使える期間が少ないため、いきなり知らされると焦ってしまうかもしれません。
そのため、繰り上げ合格した場合に備えて、ご家庭で以下のことを話し合ったり、確認し合っておくと良いでしょう。
入学の意思はあるのか確認しておく
繰り上げ合格の連絡が来た場合、できるだけ早く入学するか否かの判断を求められるケースが多いです。
そのため、入試の点数が合格最低点から1〜2点程度足りなかった場合は、繰り上げ合格の可能性もあるとして念のためお子さんに繰り上げ合格した場合は入学する意思があるのかを確認しておくことをおすすめします。
繰り上げ合格も立派な合格だと認識しておく
一度落ちてからの繰り上げ合格と思うと、正規合格者に引け目を感じてしまうこともあるかもしれません。
しかし、繰り上げ合格者と正規合格者の最低点は、わずか1〜2点程度しか差がないことも珍しくありません。
そのため、「繰り上げ合格だと、他の生徒と比べて劣ってしまうのではないか」といった悩みに関しては、そこまで心配することはないでしょう。
繰り上げ合格だとしても、立派な合格です。
1〜2点の差で合否が決まってしまう、本当にシビアな中学受験で合格を勝ち取ったということに胸を張りましょう。
辞退しても良いと考えておく
いくら正式な合格とはいえ、一度落ちた学校に入学することに対して気持ちの整理がつかず、繰り上げ合格してたとしても辞退したいと思う子も少なくありません。
保護者の目線から見るともったいないと思うこともあるかもしれません。
しかし、決して無理強いすることなく「あなたはこの学校に受かった」「正規合格者とはわずかしか差がなかった」ということをしっかりと伝えた上で、子どもの意見を尊重してあげてください。
繰り上げ合格の仕組みを理解しておくのは大切なこと
ほとんどの受験生が複数の学校を受験する中学受験では、繰り上げ合格というシステムが存在するのは当たり前のことだと言えます。
繰り上げ合格は狭い枠のため、最初から繰り上げ合格を狙おうとしたり、過度な期待を寄せるのはよくありませんが、仕組みを理解しておくのは非常に大切なことです。
実際に繰り上げ合格となる場合も想定して、各学校の情報を集めたり、家族で話し合いするなどして、受験に備えておくと良いでしょう。