こんな方におすすめ
- 子どもに効果的な褒め方を教えてほしい
- いつも叱ってばかりでなかなか褒めることができない
日本の子どもは、世界各国の子どもと比べて自己肯定感が低いという調査結果が出ています。
日本の子供たちは諸外国に比べて「人並みの能力がある」に対する回答は低く、「ダメな人間だと思うことがある」に対する回答は高いとの調査結果がある(平成 26 年度高校生の生活と意識に関する調査(独立行政法人国立青少年教育振興機構))。
引用:文部科学省「自己肯定感を高め、自らの手で未来を切り拓ひらく子供を育む教育の実現に向けた、学校、家庭、地域の教育力の向上 」より
子どもたちが自己肯定感を高めることは、社会で活躍できるリーダーを育成するという観点においても非常に重要です。
文部科学省は、提言において「自己肯定感を高め、自らの手で未来を切り拓ひらく子供を育む教育の実現に向けた、学校、家庭、地域の教育力の向上 」と謳っています。
つまり、学校だけでなく、家庭での教育の仕方によって子どもの自己肯定感は大きく変わります。
そこで今回は、子どもの自己肯定感を高め、子どもの能力を成長させるための褒め方について解説します。
効果的な褒め方のポイントを押さえたうえで、具体的にどのように褒めればいいのか、確認しましょう。
子どものやる気を高める具体的な声かけの方法については、こちらの記事で解説しています。
小学生の勉強嫌い、やる気を引き出すおすすめの方法を紹介!「勉強しなさい」の悪循環を断ち切ろう|まなびWeb
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子どもを褒めることの効果やメリット
子どもを褒めることで生じる効果やメリットは、以下の3つです。
- 自己肯定感を高められる
- 他者との関係づくりがうまくなる
- 様々なことに挑戦するようになる
それぞれについて解説します。
自己肯定感を高められる
まずは、最も期待できるメリットである「自己肯定感を高められる」です。
冒頭でも触れた通り、文部科学省は子どもの自己肯定感を高め、将来のリーダーを育成する必要があると述べています。
そもそも自己肯定感とは、「自分自身に満足している」ことや「自分の存在に価値がある」ことの認識や感覚を指しています。
つまり、ありのままの自分の価値を自分自身できちんと認めてあげられることなので、子どもの健全な育成に重要な要素なのです。
また、自己肯定感が無い状態は、自分の存在価値を見出せていない状態に等しいので、自傷行為や最悪の場合自殺にまでつながる可能性も否定しきれません。
日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの7カ国の若者に内閣府が「あなたは自分に満足していますか?」というアンケートをした結果、日本の若者が一番低く、45%しか満足していなかった。
中島さんはこの結果を知り、「自己肯定感」をもっと高めていく必要性があると感じて本を出したという。
中島輝さん:また、最近若い方の悲しい事件がたくさんありますが、15~24歳の自殺件数は日本が一番多いという調査結果も出ています。
引用:FNNプライムオンラインより
そうならないためにも、褒めて自己肯定感を高めてあげることが非常に重要になってきます。
他者との関係づくりがうまくなる
普段から親に褒められていると、自然に人を褒める習慣や適切な褒め方が身につきます。
それにより、褒められた子ども自身が人に対してきちんと褒められる大人に成長することが期待できます。
社会に出た際に「きちんと褒められる人間」は好意を抱かれやすく、組織において重要な人材となりえます。
事実、上司が褒めることで職場の満足度が高まり、離職率が低くなるという調査結果も出ています。
次に20~60代の600人を対象に行った調査では、約61%の部下が、上司に理解されていると仕事のパフォーマンスが上がると言っている。また、20代に限れば約80%にものぼり、若者ほど承認欲求が高いことがわかる。(出典:カオナビHRテクノロジー総研)
~中略~
褒める(理解する)ことによって、部下の定着につながることは明らかである。
引用:HRProより
様々なことに挑戦するようになる
褒めて自己肯定感が高まることで様々なことに挑戦する「チャレンジ精神」や「自主性」も身につきます。
成果だけでなく、過程や行動自体を褒めるようになると、子どもは様々なことに挑戦できるようになります。
つまり、「これやったら怒られるかな」「親がなんて言うかわからないからやりたいけど言わないでおこう」というように親の顔色を伺わなくなるのです。
子どもをのびのびと育てたい場合は、たくさん褒めていろいろなことに挑戦させてあげましょう。
子どもの世界が広がって、より魅力的な人間へと成長することが期待できます。
子どもを褒める時の4つのポイント
子どもを褒める際のポイントは、以下の4つです。
ポイント
- 手放しでなんでも褒めない
- 具体的に褒める
- 成功時以外も褒める
- 他の子と比較しない
手放しでなんでも褒めない
「褒めて伸ばす」ということは子育て上非常に重要なことではありますが、なんでもかんでも褒めればいいというものでもありません。
なぜなら、「褒められないとできない子」になってしまうからです。
ある種、「褒め」は子どもにとってのご褒美でもあります。
例えばテストで頑張っていい点を取ったから褒めてもらえたり、自分で立てた勉強計画をきちんと遂行して褒められたりと、子どもは頑張りに対してのご褒美として「褒め」を求めるのです。
しかし、「褒め」を過度に与えることで、「ご褒美のために頑張る」という思考に陥ってしまいます。
本来は勉強を頑張ったり、自主的に何かに取り組んだりすることはそれぞれ目的があってのことですが、その目的が「褒められること」では本末転倒です。
つまり「褒められること」が目的化してしまうことがリスクだと言えます。
また、社会に出た際、なんでもかんでも褒めてもらえることはそうそうありません。
「親には褒められるが、それ以外の人からは褒められない」と不安を感じたり、かえって自信を無くしてしまったりする可能性があります。
こういった理由から、「手放しでなんでも褒めない」がポイントとなってくるのです。
手放しでなんでも褒めずに、褒めるべきタイミングできちんと褒めてあげることが大切。
具体的に褒める
次に意識したいポイントは、「具体的に褒める」ということです。
子どもに対して「すごいね」「偉いね」「よく頑張ったね」と褒めるのは簡単なことですが、そういった言葉ばかりをかけていては高い効果は期待できません。
なぜなら、「何がすごいのか」「なぜ偉いのか」「どのように頑張ったのか」を子どもがきちんと認識できていないからです。
こういった抽象的な誉め言葉ではなく、より具体的に褒めるように心がけましょう。
具体的に褒めてあげるコツは、「数量」や「数値」を用いてあげることです。
「前回は60点だったのに、毎日30分の勉強を続けたおかげで80点に上がったね。きちんと続けて結果が出てすごいね。」などのように、数値を用いて変化を褒めてあげることが重要です。
「数量」や「数値」を用いて具体的に褒めてあげることが大切。
成功時以外も褒める
「テストの成績が上がった」「試験に合格した」「計画通りに達成できた」などの成功時に褒めるのではなく、たとえ失敗したとしてもその過程で褒めるべき点があれば積極的に褒めましょう。
過程(プロセス)の中で評価する項目は、以下を参考にして下さい。
- 努力
- 姿勢
- やり方
過程をしっかりと褒めてあげることで、「やり方は間違っていなかったんだ、次は結果が出るようにもっと頑張ろう」と思えるようになります。
注意する点としては、「自分が実際に見たこと」を褒めるということです。
「過程を見守っていたよ」という姿勢を示さないと、子どもにも不信感が生じてしまいます。
結果だけではなく、過程(プロセス)もきちんと褒めてあげることが大切。
他の子と比較しない
他の子どもや他の家族と比較して褒めることは絶対に避けましょう。
これは、褒める時だけでなく、子どもを叱る時も同様ですが、あくまでも他人は他人なので、比較対象になりえません。
「○○君よりも成績が良かったね」「○○君はできていなかったけど、よくできていたね」というような褒め方は避けましょう。
あくまでもその子の中での頑張りや変化を褒めてあげることで、子どもが自分自身を向上させられるようになります。
他の子と比較せずに、その子自身の頑張りや変化を褒めてあげることが大切。
まとめ
世界の諸外国と比べて自己肯定感が低い日本ですが、幼少期から適切な褒め方をしてあげることで自己肯定感を高めることが期待できます。
ただ子どもをなんとなくで褒めるのではなく、ポイントを意識しながら褒めるようにしましょう。
褒める際に意識したい4つのポイントは、以下の通りです。
- 手放しでなんでも褒めない
- 具体的に褒める
- 成功時以外も褒める
- 他の子と比較しない
ぜひ子どもの自己肯定感を高めて、様々なことに挑戦できる子に育てましょう。