こんな方におすすめ
- 受験直前に学校へ行く意味はあるの?
- できるだけ多くの時間を、受験勉強に費やしたい
- 受験直前の過ごし方を知りたい
中学受験直前ともなれば、少しでも受験対策や過去問演習などに時間を費やしたいという方も少なくないでしょう。
この記事では、学校を休んで自宅で勉強することのメリット・デメリットや、休む場合の親の対応などについて詳しく解説しています。
本番直前をどのように過ごしたらよいか悩んでいる方はぜひ参考にしていただき、ラストスパートとなる貴重な時間をより効率的に過ごす選択をしていきましょう。
中学受験直前は学校を休む生徒が多い
実は、中学受験をする子が受験直前の一定期間、学校を休むことは珍しくありません。
試験当日に学校を休む子もいれば、冬休み明けから受験終了までの一定期間をお休みする場合もあります。
特に中学受験が盛んな地域では、冬休み明けの1月から学校を休むということもよくある話です。
実際に休む子が多い場合であっても、「みんなが休むから休む」という周囲に合わせるような考えにならないように気をつけましょう。
休むのであれば、「〇〇に専念したいから」「残りの過去問をすべて理解できるようになるため」など、明確な目的を持って計画的に取り組めるような姿勢であることが大切です。
受験直前に学校を休む理由
埼玉や千葉などでは1月から中学受験が始まるため、これらの地域の受験校を受ける際は特に休みがちになる傾向があります。
お休みする事情はご家庭によりさまざまですが、どのご家庭も以下のようなしっかりとした明確な理由のもと、学校を休ませることが多いようです。
- 気持ちを落ち着かせるため
- 体調を崩さないようにするため
- 受験勉強に専念するため
では、実際にどのような考えで学校をお休みするのか、一つずつ確認していきましょう。
気持ちを落ち着かせるため
学校やお子さんの所属している学級の雰囲気にもよりますが、学校でいじめがあったり、学級崩壊などが起こっている場合、学校へ行くことで心が疲れてしまうようでは、その後の受験にも大きく影響してしまいます。
特に中学受験を控えている場合には、落ち着いた生活を送り、心の安定を維持したままリラックスした状態で本番に挑みたいところです。
しかし、どうしても学校は集団の場でもあるため、ざわざわ落ち着かない環境でもあります。
受験直前は本人も気持ちが落ち着かず、神経質になりやすい傾向があります。
ただでさえ緊張感やストレスを感じやすい受験間近、学校へ行くことで気持ちが不安定になってしまうようでは、学校を休むことも選択肢の一つとして考えるのもありでしょう。
体調を崩さないようにするため
冬に向けて感染症が流行る時期でもあり、特に受験生であれば気を付けたいのが体調管理ではないでしょうか。
特に近年は、インフルエンザやノロウイルスに加えて、新型コロナウイルスなどの心配も懸念されます。
やはり学校のような集団の場では、そういった感染症のウイルスや菌をもらいやすい環境とも言えます。
感染リスクを考えると、学校を休むことも選択肢の一つとして考えるご家庭もあるでしょう。
やはり、万全の態勢で本番を迎えられると、本来の実力を発揮しやすいため、受験生にとっては体調管理も重要度が高いですね。
受験勉強に専念するため
冬休みから受験本番までは、受験勉強の「追い込み期間」とも言えます。
受験する学校の過去問やこれまでの基礎学習の集大成を築くなど、受験直前だからこそしっかりと受験勉強に集中したいと考えることは、ごく自然なことなのかもしれません。
受験する学校によって出題される問題の傾向やパターンが異なるため、受験校の過去問を解いているかいないかで、受験結果にも大きく差がつきます。
そのため、受験直前は主に過去問演習に時間を充てた学習をする人が多いです。
よって、学校を休むことで受験勉強に充てられる時間は、当然捻出できるわけです。
例えば、中学受験の1科目当たりの試験時間が40~60分であることが多いことを考えた場合、本番同様の時間配分で問題演習をしようと思うと、受験する科目が4教科の場合には約4時間もの時間が必要になります。
学校や塾にいる時間を省いて、これだけの時間を捻出しようと思うとなかなか厳しいものです。
さらに、間違えた問題を見直し・理解し・再度解くことを考えると、かなりの時間が必要であることが分かります。
「まずは目の前の受験対策を」という考えで、お子さんが希望する場合には、学校を休んで過去問演習に時間を費やすのもありなのかもしれませんね。
もしも学校を休む場合には、休み期間中の給食の停止手続きも忘れずにおこないましょう。
受験直前に学校を休む問題点
受験直前に勉強時間を捻出できる一方で、学校を休むことによって生じる問題もあります。
ここでは、以下の5つの観点から詳しく解説していきます。
- 生活リズムが崩れてしまう
- 活動量が減る
- 息抜きする時間が限られる
- 親も仕事を調節する必要がある
- 子どもが罪悪感を感じる
では、順番に確認していきましょう。
生活リズムが崩れてしまう
学校へ通うことで、早寝早起きやしっかり食事を摂る習慣が身に付いていますが、学校を休むことで生活リズムが狂いやすくなります。
そのため、学校を休む場合には気持ちが緩んでしまうことがないよう、受験に向けた規則正しい生活を心がける必要があるでしょう。
生活リズムが崩れてしまわないためにも、なるべく親が家にいて見守れる環境を作ることも大切です。
休み期間中は、試験同様の時間配分で過去問を解いたり、試験当日と同じ時間に起床するなどして、規則正しい生活を継続していきましょう。
起床 | 本番の時間通りに起きる 試験自体は、午前中に開始することが多いので、当日の移動時間も考えて余裕をもって起きるようにしましょう。 |
朝食 | 本番を想定していつも通りの朝食を食べる ついだらけて朝食を抜いてしまうなんてことがないよう、起きたらしっかりといつも通りの朝食を摂りましょう。 |
散歩 | 受験当日に家を出る時間に外に出る 本来は学校へ登校する時間です。 |
帰宅 | 学校着の時間に家に帰る 学校に到着して授業が開始するように、家では散歩から帰宅して「これから勉強をするんだ」という流れを作りましょう。 |
勉強スタート | 試験開始時間と同時に勉強を始める 本番を想定して、自宅でも勉強を開始します。 |
メリハリをつけるという意味でも、すっと自宅にこもって勉強して過ごすよりも図書館や塾を利用して場所を変えたり、勉強の合間に息抜きとして散歩するなど、工夫するようにしましょう。
活動量が減る
毎日の登下校や教室の移動、さまざまな活動など、毎日学校へ行くことはかなりの活動量です。
学校を休むとなると、当たり前ですが活動量は減り、通常に比べて運動不足に陥りやすいと言えます。
少しの時間でもいいので、意識的に体を動かすことをおすすめします。
特に、入試直前は緊張して寝つきが悪くなりやすいため、適度な活動を取り入れてスムーズな入眠を心がけましょう。
また、運動量が減少することにより、ものごとをマイナスに捉えてしまう傾向があります。
運動をすることで脳が活性化されることを考えると、勉強のはかどり具合にも支障が出てくる可能性も考えられるため、気を付けましょう。
息抜きする時間が限られる
日々の受験勉強で溜まっていた疲れやストレスは、日頃学校で友達と会うことによって気分転換になり、発散することができているという場合もあります。
学校を休むことでストレスが溜まってしまっては本末転倒です。
休み中ずっと勉強をし続けるのではなく、小休憩を挟みながら適度に体を動かすなどして、発散や息抜きする癖をつけるようにしましょう。
目の前の課題をこなすのも大切ですが、受験のために休んでいたとしても、ストレス発散したり疲れを癒やす時間も意識して取り入れ、行き詰ってしまわないようにすることが大切です。
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親も仕事を調節する必要がある
子どもが学校を休んでいる期間は親も仕事を調整し、できるだけそばで見守るようにしましょう。
受験するのはもちろん子ども自身ですが、「一緒に乗り越える」「頑張って合格を掴み取る」といった意気込みで、一緒に乗り越える気持ちが大切です。
常に横で子どもの様子をうかがう必要はありませんが、子どもにプレッシャーを与えない程度にサポートしていく姿勢が重要です。
かといって、家でずっと親と一緒の時間を過ごすのは、子どもにとっては苦痛でしょう。
ずっと見えるところに親がいては気が休まらないので、なるべく毎日30分~1時間程度外出して、子どもがリラックスできる環境をつくるなど工夫が必要です。
「学校を休ませたからには、しっかりと計画を立てて勉強をさせなきゃ!」というプレッシャーも、親として感じてしまうこともあるでしょう。
そんなときは、子どもと程よい距離感を保つことで、目の前で子どもが多少だらけてしまうことに対する怒りをおさえるのも一つの方法です。
受験直前での親子間の喧嘩やトラブルは、受験本番にも影響しがちなので、なるべく避けていきましょう。
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子どもが休むことに罪悪感を感じる
子どもは純粋に、「学校は毎日通うもの」「病気でない限り、学校へは行くもの」という気持ちを持っている子も多いため、受験のためとはいえ欠席が続くことに罪悪感を感じてしまうこともあります。
大人は、学校を休むことに対して「受験勉強のため」と割りきれても、子どもの気持ち的には「病気でもないのに休むなんて」とどこか後ろめたく感じてしまう子も中にはいるでしょう。
もちろん、学校を休めば「欠席」扱いになります。
お休みする期間はさまざまですが、冬休み明けの1月から試験が終わる2月までお休みする場合、お休みする期間は約1ヶ月間になります。
1ヶ月や2週間など各家庭によっても異なりますが、休む日数によっては長期間お休みすることに抵抗を感じる子もいるので、子どもの気持ちをしっかりと確認することが重要です。
中には、欠席日数があまりに多いと出願できない学校もあります。
子どもが受験する学校の受験資格がどうなっているのか、しっかり確認しておくことが大切です。
受験直前は学校に行くべき?休むべき?
結論から言うと、どちらが正解ということはありません。
子どもの性格や学習状況などを参考に以下のような分析をすると、どのような方法をとるかを決めやすいかもしれません。
子どもの姿 | 方向性 |
・なかなか集中できずになあなあになってしまう ・誘惑に負けてしまいやすい | →学校へ行く方が良い ・自身を律することができずに与えられた時間を有効に活用できない可能性もある ・学校へ行っている方が、ストレス発散できる子もいる ・落ち着いて過ごしやすい ・学校や塾へいつも通り通い、しっかりと勉強に取り組める環境の中で勉強するほうが向いている |
・普段から勉強のスケジュールを計画的に立ててその通りに学習を進められる ・塾や親の言うことを素直に聞ける | →学校を休む方が良い ・捻出した時間をより有効的に使いやすい ・塾の先生や親と立てた計画をもとに、休み中のスケジュール管理や学習を進める |
どちらにせよ、一番大切なのは子どもの意見を尊重して、納得できる方法をとることです。
子どもの気持ちを確認する際は、誘導などはせずに「あなたはどうしたいのか」を明確にできると良いでしょう。
親だけの考えで決めてしまうと、子ども自身も納得できずに反抗的な態度をとってしまう可能性もあるため、よく話し合って答えを導き出すことが大切です。
休み方を工夫するのあり
子どもが「学校を休みたくない」という場合もあるでしょう。
しかし、過去問演習も進めていきたいといった場合は休み方を工夫するのも一つの方法です。
- 「休む」ではなく「早退する」方向にする
- 塾のある「火」「木」を休みにして、それ以外の「月」「水」「金」は一日おきに学校へ行く
- 「月」「金」は休み、間の「火」「水」「木」はまとめて学校へ行く
「休む」「休まない」の2択にするのではなく、塾との兼ね合いや学校の時間割によって休み方にバリエーションをつけて考えてみましょう。
休む場合は学校・担任へしっかり伝えておく
中学受験による長期的なお休みに対して、協力的な先生もいれば否定的な先生もいるのが実状です。
お休みをする場合には丁寧な対応を心がけて、トラブルが起こらないようにしましょう。
お休みを伝える手段は連絡帳でも構いませんが、クラスの子に見られる場合もあるため、以下の内容を封書で伝えるのが無難です。
- 欠席理由
- 欠席期間
- 受験校
その際、病気や怪我で休むのとは違いますので、学校からの緊急時以外には連絡は不要であることも一緒に伝えることをおすすめします。
忙しい時間の合間に連絡をして下さることを考えると、事前に伝えておいた方が親切でしょう。
また、受験が終わった後も、忘れずに報告するようにします。
- 無事に受験が終了したこと
- 合格が分かったら進学する学校名
- 中学受験に協力してくれたことへのお礼
これらを先生へ報告し、無事に受験を終えたことを報告しておきましょう。
学校へ行き、塾を休む
子ども自身が「学校は休みたくない」という強い気持ちを持っていれば、それを無視するわけにはいきません。
学校を休むことにどうしても抵抗があるという場合には、学校には行き、塾をお休みするという方法も一つです。
もちろん塾でのこれまでの頑張りがあって、ここまで受験勉強をがんばってこれたことには違いありません。
しかし、その毎日の受験勉強はなかなかハードなものでもあります。
朝から夜まで学校と塾で勉強三昧、睡眠時間も十分に確保できていない時期もあったでしょう。
その生活リズムでここまでなんとかこれたかもしれませんが、受験直前にはやはり睡眠を優先し、万全の体制で本番を迎えたいところでしょう。
また、塾に通うことで他の子の頑張りを目の当たりにすることで、「もっと頑張らなきゃ」と気合が入りがちになります。
長い受験期間の中でそのような気持ちになれることは、刺激にもなりとても良いことでもありますが、受験直前にそうなってしまうと「もっと頑張ろう!」「じゃあ勉強時間確保のために徹夜しよう」という考えに走ってしまう可能性もあり危険です。
受験直前期の塾の講義内容は、新たな学習内容よりもこれまでの総復習の内容となること多いです。
休むことで勉強進度が遅れてしまうといったことはほとんどないため、子どもの意見や適切な理由がある場合には、休むのも選択肢の一つと考えられるでしょう。
これまで十分頑張ってきたので、試験直前は少しでも自分の力を発揮できるよう、十分な睡眠と健康な体で挑める体調管理に徹することが重要です。
塾を休む場合には、事前に塾の先生へ説明し、お休み中の学習スケジュールを相談するなどしておくと良いでしょう。
子どもの性格や状況に合わせて選択しよう
今回は、受験直前に学校を休む際の問題点や、学校を「休む」「休まない」をどう選択すべきかについて解説してきました。
学校へ行くのか、休むのかはどちらが正解ということはなく、最終的には各ご家庭での判断に委ねられます。
子どもの意見を尊重してみたけれど実際にその通りにしてみると、少し違ったとなることも十分考えられます。
そんな時は、「一度決めたから…」と頑なになるのではなく、子どもと相談しながら状況に合わせて柔軟な考えで、試していけると良いでしょう。
そして何より、学校を休むことと受験に合格することは、全くの別物であることをしっかりと理解しておく必要があります。
子どもの性格・親のサポート体制・各家庭の考えなどを見極めながら、最適な手段を選び、受験までのラストスパート期間を悔いのないよう有意義な時間にしていきましょう!