中学受験で不合格になった時は親も気を使いますが、合格した時も実は慎重な対応が必要です。
褒めたりお祝いしたりするのを惜しむ必要はありませんが、合格はゴールではなく、中学生活のスタートであるのを忘れず、先を見据えた対応をしましょう。
ちなみに、英語では卒業式のことを "commencement" といいますが、これは「卒業」ではなく「開始」という意味です。
中学受験で合格はとにかくおめでたい!たくさん褒めて喜びを分かち合う!
合格はとてもおめでたいことです。
子どもをたっぷり褒め、喜びを分かち合ってください。
ただし、親は浮かれるあまり「言わなくてもいいこと」を言わないように気を付けましょう。
押さえの中学の合格も存分にお祝いして!
本命校でなくても合格はおめでたいものです。
子どもが自信をもって本命校に臨むためにもたくさん褒めましょう。どれだけ褒めても子どもは油断して本命校の受験に手を抜いたりしません。
むしろ、「もっともっと褒めて欲しい」と期待して本命校に集中してくれます。
もしも本命校に落ちてしまったとしても「親が合格を喜んでくれた中学に通うことができる」ので必要以上に落ち込みません。
「この調子で本命校も頑張って!」「この程度、合格して当たり前」「浮かれて油断しちゃだめだよ」などは言う必要がありません。
子どもに余計なプレッシャーを与えるだけです。ただ「おめでとう」とだけ言えば十分です。
本命校に合格したのならばもちろん惜しまずに誉めよう!
本命校に合格したら当たり前ですが、たくさん褒めて喜びましょう。親が褒めてくれるのが子どもに取っての何よりのご褒美です。
子どもがつかみ取った成功を称えてあげてください。
親は浮かれて余計なことを言わないように
合格すると親は嬉しいだけでなく、気が緩んでしまいますよね。
「合格したんだし、もういいかな」とついつい余計なことまで言ってしまいやすいので気を付けてください。
親は些細な事、もう時効だと思っていたとしても子どももそうだとは限りません。
余計な一言が合格の喜びに水を差したり子どもとの信頼関係にヒビを入れてしまったりします。
「5年生のころは全然勉強しなくて本当に腹が立った」「塾に〇〇万円も払ったのだからこれくらい当然」など「今だから言うけれど」と軽い気持ちで言ってしまいやすいですが、子どもにとってはそうではないかもしれません。
また、中学受験は「親の受験」と言われるほど子どもの頑張りだけでなく親のフォローも大切ですが、最終的に合格をしたのは子どもの実力なので親の頑張りを主張したり子どもからの感謝を強要したりはやめましょう。
子どもにとって中学受験が「親の為の中学受験」になってしまいます。
親は子ども以外の人に褒めたりねぎらったりしてもらってください。
また、気を付けて欲しいのが他の子と比べたり他所の中学の悪口を言ったりすることです。
「〇〇中学に通うことになったらと思うと心配だった。合格してよかった」など悪気がなくても言ってはいけません。
子どもに歪んだ価値観を与えてしまいます。
子どもが自分よりも偏差値の低い中学に行く子を哀れんだり中学をけなしたりするようなこと言った場合も窘めてください。
子どもが合格を素直に喜んでいないときは喜んでいいよと教えてあげて
第一志望の中学には合格が出来なかったり仲のいい友達が不合格になったりした場合、子どもは困惑して素直に合格を喜べないかもしれません。
「通う中学が縁のある中学。相性のいい中学」と諭してあげましょう。
人生頑張ってもどうにもならないこともあるのです。
ただし、第一志望校に不合格になったことをクヨクヨしているのを叱るのはやめましょう。
合格した中学を悪く言うのでなければ放っておいてかまいません。
時間薬という言葉もあるように、折り合いをつけるのに時間がかかる子もいます。
友達が不合格になって喜びを表しにくいという子には「おうちの中で喜ぼう。あなたが合格を喜ぶ気持ちと友達に寄り添う気持ちは矛盾しないよ。友達は友達でこれから楽しい中学生活が待っているから大丈夫。君がいつまでも可哀そうがるのは友達を侮辱することに繋がるよ」と伝えてあげてください。
合格後は浮かれ過ぎず中学生活に目を向けよう
合格はおめでたいことですが、ゴールではありません。少し落ち着いたら中学生活の準備も始めていきましょう。
いつまでも解放感に浸っていると出遅れてしまいますよ。
中学の先取学習をしていきましょう
中学受験で身に着けた勉強習慣を合格と同時に手放してしまってはいけません。
先取学習をしておけばスムーズに中学になじめます。
特に力を入れて欲しいのが英語と数学です。
英語は中学から本格的に始まる教科ですが、私立中学は様々な特色があります。
進学先の中学の英語授業の方針を知り、準備をしておきましょう。
何からやっていいか分からない場合は英単語をたくさん覚えるのがおすすめです。
単語をたくさん知っていればそれだけでかなり有利になれるでしょう。
数学はこれまでの算数と違いマイナスやアルファベットの使用など「抽象的な概念」「論理的な考え方」が求められます。
早めに慣れるようにしましょう。
中学受験の時に利用していた塾が軽く授業を行ってくれる場合もあります。
進学先の中学から「宿題」が出る場合もありますが、量が少なく内容が小学生の復習である場合が多いので、それだけをやって「やった気」になってはいけません。
御礼状を書かせて合格の自覚を持たせよう
中学受験に合格すると親戚などから入学祝を受け取る機会もあるでしょう。
子どもにもお礼状を書かせるのがおすすめです。
合格を祝福され将来を期待されているという自覚を持つきっかけになります。
お礼状はマナーを覚えていく良い機会です。
大事なのは2つだけ!締めるべきところはしっかり締めて!
中学受験に合格すると嬉しくて財布の紐や生活管理が甘くなりやすいですが、締めるべきところは締めないと入学後の生活に響きます。
特に注意すべきは次の2つです。
- 就寝時間・起床時間
- ネット管理
もうすぐ中学生の子ども、特に厳しい中学受験を乗り越えた子に細々したことを注意する必要はありません。
しかしこの2点に関しては今後、本格的に迎える思春期・反抗期を視野に入れた対応をしましょう。
受験が終わると「少しくらいいいか」と夜更かしや寝坊に甘くなってしまいがちですが、寝不足や昼夜逆転生活のクセが付いてしまうとただでさえ疲れてしまう入学後の負担が大きくなってしまいます。
子どものネット管理は安全面とプライバシーの兼ね合いが難しいところです。
しかし、子どもは大人が思っている以上に純粋で警戒心がありません。
しっかりしているように見える子でも「〇〇好きに悪い人はいない」と根拠なくネット上で知り合った人に心を許してしまいます。
顔やプライベートを晒しているインフルエンサーに憧れを持ちやすい年頃ですのでその点も気を付けてあげてください。
思春期や反抗期が本格的になってから「ルール」を厳しくするのは大変なので入学前に明確なルールを設け、子どもの自立や成長に合わせて解禁していきましょう。
中学受験合格は新生活スタートの合図!
中学受験に合格するのはとてもおめでたいことなので親子で存分にお祝いしをし、喜びを分かち合いましょう。
100%喜べる合格ではない場合もあるかもしれませんが、頑張ったからこそつかみ取ったことには変わりはないので余計な言葉でケチを付けてはいけません。
合格後は子どもをねぎらいつつも中学生活に向けた勉強や生活習慣などを意識して行っていくと良いでしょう。