こんな方におすすめ
- 子どもが中学受験のやる気を失っているように感じる
- 子どもに鬱(うつ)傾向がみられる
「受験うつ」という言葉もある通り、中学受験は子どもや親にとって大変なイベントです。
精神病に病んでしまう可能性があるので、受験うつの予防法や、症状を知っておくことで、適切な対応を取りましょう。
中学受験で受験うつになる原因
中学受験で子どもに過度のプレッシャーを与える続けると、子どもは追い込まれてしまう可能性があります。
また、過度な期待は親自身にもプレッシャーとなり、健康的な精神状態でいられなくなる可能性もあります。
プレッシャーに押しつぶされる
家族や先生など周囲からの期待が重荷となってしまうタイプの受験うつです。
「絶対に合格してね」という威圧的な言葉かけを子どもにするのではなく、「君ならばできるよ」などポジティブな言い回しでも子ども自身が「落ちたらどうしよう」「期待に応えられないかもしれない」と苦しくなってしまえばうつを引き起こす可能性があります。
不機嫌や苛立ちなどが良く見られる症状です。
モチベーションが低下してしまう
親の独りよがりで中学受験をすすめると、子どもは勉強や受験に対してやる気が出ません。
どんどんやる気を失い、思うように勉強が進まなくなります。
結果、成績が落ちてしまい、精神病の悪循環に入ってしまいます。
学校や塾に行きたがらない、勉強が手につかずぼんやりする、失敗に敏感になり、自分への評価や批判をとても気にするなどの症状がよくみられます。
競争心に振りまわされてしまう
他の受験生や友達などと自分を比較し、劣等感を募らせてしまうタイプの受験うつもあります。
人と比べて一喜一憂し、心が休まりません。劣等感を抱え込んでしまう子もいます。
ピリピリした雰囲気になりやすく、競争心や劣等感から逃れるためにネットやゲーム依存になってしまうことも。
受験うつの子に見られる特徴
受験うつの代表的な初期症状をあげていきます。子どもから送られる受験うつのシグナルの可能性があるので、見逃さない様にしましょう。
- 成績が下がる
- ケアレスミスが増える
- 塾や学校に行くのを嫌がる
- 眠れない・眠り過ぎる
- 摂食障害
- 勉強をしなくなる
- ぼんやりする
- イライラする
- 怒りっぽい
- ネットやゲームなどにのめり込む
- 悲観的
- 部屋や勉強机が散らかる
- 幼児のように甘える・わがままを言う
- 笑わない
受験うつにはこのような症状が良く見られます。「うつ」は「元気がなくなる病気」というイメージが持たれやすいですが、怒ったりたくさん食べたりなど、一見アクティブな症状を見せる子もいます。
ただ勉強を嫌がっていたりサボりたがっていたりするのと受験うつの見分けはつきにくいです。しかし、子どもが楽しそうにしていないのならば危険サインと思いましょう。
受験うつのシグナルが見えた場合の対策
子どもに受験うつのシグナルが見られたら、以下のように対応してみましょう。
中学受験をする優秀な子どもとはいえ、まだまだ小学生です。親が対応を誤ると事態は深刻になってしまいます。
規則正しい生活を心がける
中学受験は、塾から大量の宿題が出されたり、家庭学習で大量の問題集やドリルを行ったりと、生活リズムが崩れやすくなってしまいます。
勉強が第一優先になってしまいがちですが、決まった時間に睡眠、食事をとることは子どもの健康的な成長には欠かせません。
特に寝る時間が遅くなってしまうと、成長に危害を加えるため精神衛生上もマイナスです。睡眠時間を削らない勉強時間に留め、正しい生活リズムを心掛けてください。
また、中学受験に強い不安を抱えていると「明日が来る」のを恐れて夜更かしをしてしまいやすくなります。頭ごなしに「早く寝なさい!」と言わず、夜更かしの原因を探ってみてください。
食事は毎食神経質になり過ぎる必要はありませんが、糖分過多や栄養不足にならないようにしましょう。
親子でコミュニケーションをとる時間を作る
子どもの小さな身体で、中学受験をひとりで乗り切ることは不可能です。
ひとりで頑張っているのではなく、お父さん・お母さんと一緒に頑張っている環境をつくります。
その上で重要なのは、両親と会話する時間をしっかりと設けることです。
食事の時間にテレビをつけたりすると、親子の会話が減ってしまいます。
子どもと何気ない会話を日常的にする関係を構築しながら、子どもが悩みを言いやすい環境をつくりましょう。
中学受験後のことを考える
子どもは目の前のことだけを見てしまいがちですが、受験後の生活にも思いを馳せられるように促しましょう。
日常的な会話の中で、中学受験が終わったらどんな遊びをしたいのか、部活や授業を楽しんだり新しい文房具を買い揃えたり……もっと先の未来、大人になったことを話すのも有効です。
勉強ばかりの毎日だけしか認知できないと気分が沈んでしまいますが、「〇〇したい!」「〇〇をするために!」と目的意識を持てば日々の勉強に意味が見出せます。
この時、「もしも落ちたら人生失敗だ!」という思考回路にならないように気を付けてあげてください。志望校に落ちても行くところはありますし、まだまだチャレンジのチャンスはたくさんあるのを強調しましょう。
広い視野と柔軟な思考、そして未来を楽しみにする気持ちが子どもの心を袋小路から脱出させます。
プレッシャーをかけ過ぎない
子どもの声かけの仕方でポイントとなるのが、プレッシャーをかけすぎないことです。「そんなんじゃ落ちるよ」「〇〇中学に入れなかったら人生終わるよ」など脅す言葉はもちろん、「あなたならもっとできる!」「本気になれば大丈夫!」など一見ポジティブな言葉にも追い詰められてしまう子は少なくありません。
また、何を言われても心に響いているように見えない子、受験に本気になっているように見えない子に対して「もっともっと働きかけなくちゃ!」「自覚を持たせなくちゃ!」「この子には厳しく言うくらいでちょうどいい」などという考えで接しないように注意してください。
親の目にはヘラヘラしているように見えたとしても、子どもは自分の心を守るために必死で聞き流しているのかもしれません。
ゲーム・動画・スマホはほどほどに
気分転換や息抜きなどでゲームや動画、スマホ遊びを好む子は多いですが、やり過ぎには注意しましょう。これらは視覚や聴覚への刺激が強く、脳を過度な活動状態にさせることが分かっています。やり過ぎると脳は疲れと快楽にさらされ続け、疲労が慢性的になって心のバランスを崩しやすくなるのです。
特に寝る前は、脳が高揚してしまうため眠りが浅くなってしまいます。寝る前2時間は、ゲームやスマホなどのブルーライトを避けるようにしましょう。
受験うつの兆候が強く現れた場合の対応
受験うつの兆候や疑いがある場合は専門機関を受診してください。早期発見・早期対処が何よりも重要です。
診断は問診や脳波の測定などで行います。
親子で受診がおすすめ
子どもが受験うつかもしれないと思った場合、子どもだけでなく親子で受診を行いましょう。中学受験は「親の子受験」と言われるほど親子関係が密接な状態で取り組みます。
そのため親子でうつを患ってしまうケースも珍しくありません。親子でうつ病の場合、片方だけ治療してももう片方に引きずられてしまい、回復が遅れます。
子どものうつ病治療について
身体や脳が未成熟の子どもの場合、投薬はあまり行われません。
カウンセリングや休養などが主な治療になるでしょう。
医師にしばらく勉強を休むように言われた場合、歯がゆいかもしれません。
しかし、急がば回れということばもあります。中学受験を諦めないためにもまずは治療が優先です。
受験うつの対策を軽視してはダメ!
子どもの受験うつには、親の関わり方や生活リズムが大きく関わってきます。
子どもからの受験うつのシグナルを見逃さないために、日常的に子どもを深く観察しておくことを心がけましょう。
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