こんな方におすすめ
- 夜尿症とは何か教えてほしい
- 小学生でおねしょをしてしまった場合の対処法を教えてほしい
おねしょは幼い子どもには当たり前の現象ではありますが、小学生になってからのおねしょは子どもに羞恥心や罪悪感を感じさせてしまうこともあります。
そもそもおねしょは、夜尿症とも呼ばれ、「5歳以上で1か月に1回以上の頻度で夜間睡眠中の尿失禁を認めるものが3か月以上つづくもの」と定義づけられています。
今回は、小学生の子どもがおねしょ(夜尿症)をしてしまった時の原因や対処法について解説します。
中学年、高学年でふと夜尿してしまう場合もありますが、一般的に小学校高学年になって夜尿をしてしまうケースはそれほで珍しいことでもないのであまり慌てることはありません。
おねしょやその原因に対する正しい知識をもち、子どものために対処してあげましょう。
参考
おねしょ・夜尿症・おもらしとは
そもそも、おねしょの定義とはどのようなものなのでしょうか?
また、昼間に排尿してしまう「おもらし」とはどのように異なるのか、正しい知識を身につけましょう。
通常、人間は寝ている間は膀胱が大きくなり、体内で作られる尿の量も減るため、夜中にトイレに行かなくても眠ることができます。
しかし、低年齢のうちは膀胱機能や自律神経の働きが未発達なので、これらの機能がうまく作動せず、おねしょをしてしまうのです。
この場合は、大きくなるにつれて自然に治るので心配する必要はありません。
ただし、あまりにも長引く場合は夜尿症を疑いましょう。
夜尿症とはなにか、医学的な定義を解説します。
夜尿症とは
日本泌尿器科学会によると、夜尿症は「5歳以上で1か月に1回以上の頻度で夜間睡眠中の尿失禁を認めるものが3か月以上つづくもの」と定義されています。
子どものおねしょ(夜尿症)は、「5歳以上で1か月に1回以上の頻度で夜間睡眠中の尿失禁を認めるものが3か月以上つづくもの」と定義されます。
引用:日本泌尿器科学会HP
つまり、この定義に基づけば、半年ぶりに1度だけ夜尿してしまった場合や5歳未満の夜尿は夜尿症とは言いません。
夜尿症の割合
では、どの程度の割合で子どもはおねしょをする、つまり夜尿症を有症しているのでしょうか。
日本泌尿器科学会によると、1.2年生にあたる7歳児の有症率は、10%だそうです。
7歳児における夜尿症の有病率(病気をもっている人の割合)は10%程度とされ、その後は年間15%ずつ自然に治るとされますが、0.5~数%は夜尿が解消しないまま成人に移行するといわれています。
引用:日本泌尿器科学会HP
おもらしとの違いとは
おねしょとおもらしは似ているようで、全く異なるものです。
ここでは医学的に詳しい部分まで触れませんが、大きく分けて以下のような違いがあります。
おねしょ(夜尿症) | 生活改善が治療に効果的 |
おもらし | 膀胱・尿道などの医学的な治療が効果的 |
どちらの場合も、あまりにも異常だと感じる場合は早めに泌尿器科への受診や専門家への相談をしましょう。
注意ポイント
「子どもだから大丈夫」と油断したり素人判断をしたりしないようにしましょう。
治療によって子どもが身体的にも精神的にも改善されるので、気になる場合は受診をおすすめします。
小学生がおねしょをしたときの対処法や対策とは
次に、小学生の子ども急におねしょをするようになった場合の親としての対処法を紹介します。
絶対に叱らない
子どもがおねしょをした時に絶対にしてはならないことが「叱る」ことです。
子どもはおねしょをしてしまったことに驚くと同時に親に対して申し訳なさや恥ずかしさを感じています。
「この年齢なのにおねしょをするなんて!」と不用意に発言したり、「お姉ちゃんはこんなことなかった」「洗濯が大変だ」など兄弟や友達と比べたり愚痴をこぼしたりすることは絶対に避けましょう。
子どもは親の態度に対してストレスを感じ、さらなるおねしょの原因となってしまったり、不安で夜に眠れなくなってしまったりする可能性があります。
夕方以降の水分摂取量を減らす
夕方以降に水分を取り過ぎると、夜中に作られる尿の量が増えます。
大人ならば夜中に目が覚めてトイレに行くことができますが、夜中のおしっこの量を調節する「抗利尿ホルモン」を分泌するリズムが子どもの場合未発達なので、失敗してしまうことがあります。
この場合は、夕方以降に水分を摂り過ぎないよう親が注意すると、おねしょは改善されます。
お風呂上がりのジュースの飲み過ぎや、食事時の水分の量が適切かどうかをチェックしてください。
ただし、水分は控え過ぎてはいけません。
特に夏場は脱水や熱中症など命にかかわるため、適切な量の水を飲むことは大切です。
参考
札幌東徳洲会病院小児科によると、1日に必要な子どもの水分摂取量は以下の通りです。
体重 10kg~20kg 未満 1000 mL +(10 kg 以上の体重分で)50 mL/kg 体重
③ 体重 20kg 以上 1500 mL +(20 kg 以上の体重分で)20 mL/kg 体重
*ただし成人量(2400 mL)を超えない。
この水分量を目安に、夕方以降どの程度必要なのか計算してみましょう。
お風呂に入り身体を温めて寝る
冬は汗をあまりかかず、身体が冷えやすくなっています。
身体が冷えると膀胱が緊張して固くなるため、溜めることができる尿の量が減りおねしょをしやすくなります。
寝る前にゆっくりと湯船につかって身体を芯から温め、冷めないうちに布団に入って就寝するようにしましょう。
ゆたんぽや電気毛布、布団乾燥機などを使って布団を暖かく保つように心がけることも大切です。
ただし、布団の中が暑くなり過ぎると無意識に布団から出てしまうこともあります。
タイマー付きの電気毛布を利用する、子どもが寝入ったらゆたんぽを取り除く、などの対処で布団が暑くなり過ぎないよう調整してあげましょう。
生活リズムを整える
おねしょは基本的に生活習慣に問題があることが多いです。
決まった時間に食事を摂り、決まった時間に寝起きすると排尿のリズムも整いやすくなり、おねしょもしにくくなります。
そのため規則正しい生活を心がけましょう。
寝る前にトイレに行くことを毎日の習慣にしてください。
疲れ、ストレスの原因を取り除く
疲れがひどいとぐっすりと寝込んでしまい、目が覚めずにおねしょの原因となることがあります。
また、過度のストレスを感じると、自律神経の働きが乱れます。
自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、どちらかが優位になって働いていますが、強いストレスを感じると交感神経が優位になります。
交感神経は膀胱の筋肉を収縮させる作用もあるため、ストレスを感じると膀胱が固くなり、溜めることができる尿の量が減っておねしょをしてしまうのです。
小学校に進学した、進級した、引っ越しをした、先生から叱られた、友達とけんかした、など子どもが感じるストレスは多くあります。
子どもの様子をよく観察し、コミュニケーションをしっかりと取って、ストレスの原因を突き止めましょう。
進学や引っ越しなど慣れるしかないものは、声かけやコミュニケーションを増やすなどの精神的なケアを行ってください。
疲れの原因がはっきりしている場合は、原因に対応した対策を取ります。
運動会など回避できない場合は早めの睡眠やたっぷりの食事などで対策し、習い事などで疲れが溜まっている場合は、辞める、回数を減らすなどの対策を取りましょう。
おねしょ対策グッズを利用する
子どもに伝える必要はありませんが、布団やシーツの洗濯は親にとっても負担になります。
ストレスに弱かったり疲れやすかったりする場合は、おねしょシーツを敷いておくと夜尿してしまってもシーツと衣服を着替えるだけですみます。
にっこり笑って「おねしょシーツがあるから洗濯もちょっとで済むよ。心配しなくても大丈夫!」と対応すれば、子どもも安心します。
まとめ
おねしょは幼い子どもには当たり前の現象ではありますが、小学生になってからのおねしょは子どもに羞恥心や罪悪感を感じさせてしまうこともあります。
もしも子どもがおねしょをしてしまった場合は絶対に叱らずに、安心させてあげましょう。
その上で、生活リズムを整えることを中心にサポートしてあげることが求められます。
成長過程で膀胱が大きくなるなど、改善されていきますが、少しでも違和感や異常を感じたらすぐに病院で受診しましょう。