こんな方におすすめ
- 効率よく勉強をしたい、させたい
- エビングハウスの忘却曲線とはなにか知りたい
- 最適な復習のタイミングを教えてほしい
あなたは「エビングハウスの忘却曲線」と聞いてピンときますか?
進学校と呼ばれる中学校、高校では多く語られるこの「エビングハウスの忘却曲線」ですが、効率よく勉強するために必要な知識です。
「子どもが暗記できなくて困っている」「時間を有効活用して勉強してほしい」という方にはおすすめの内容なので、ぜひ最後まで読んでみてください。
「徹夜して勉強する」という非効率的なやり方ではなく、科学的に証明された正攻法のやり方で勉強をしましょう!
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エビングハウスの忘却曲線とは
エビングハウスの忘却曲線とは、ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスの「時間と記憶の定着率の関係」に関する研究結果を発表したものとなります。
エビングハウスの実験とは
エビングハウス(Hermann Ebbinghaus、1850年1月24日 - 1909年2月26日)は19世紀のドイツの心理学者です。
「記憶:実験心理学への貢献」にて、時間と記憶の定着率に関する研究結果を発表しました。
その研究概要は、以下のようなものです。
1「WID」のような「子音+母音+子音」の3音からなる意味を持たない単語を2,300個ほど用意する。
22,300個の無意味な単語の中から13単語を取り出し、暗唱しながらすべて覚えるまでの時間を計測する(13単語を1セットとして8セット分)。
320分・1時間・9時間・1日・2日・6日・31日の各タイミングで再学習を行い、最初に学習したときの「暗記時間」と比較する。
日本語に置き換えるなら、「わいへ」や「ろおし」などの意味のない3文字の言葉を覚えるということです。
意味のある単語でこの実験を行うと、単純な記憶定着の結果が得られないため、このような流れとなっています。
これにより得られた、1回目の暗記時間と再学習の暗記時間の結果は、以下の通りです。
再学習のタイミング | 1回目の暗記時間(秒) | 再学習の暗記時間(秒) | 節約率(%) |
20分 | 1,081 | 498 | 58.2 |
1時間 | 1,106 | 681 | 44.2 |
9時間 | 1,132 | 855 | 35.8 |
1日 | 1,109 | 756 | 33.8 |
2日 | 1,154 | 854 | 27.2 |
6日 | 1,090 | 834 | 25.2 |
31日 | 1,115 | 892 | 21.2 |
1回目の暗記を終えてから、脳は不必要な情報である文字列を頭の中から消去していきます。
つまり、忘れていくのです(忘却)。
20分後に再学習を行う場合は、約1,100秒(約20分)かかって覚えたものを約8分で思い出せるということになります。
忘却曲線のグラフ
エビングハウスの忘却曲線は、よく「1時間後には44%分しか覚えていない!」というような誤った解釈をされますが、そうではありません。
もしその解釈が正しいならば、好きなアーティストの歌詞や晩御飯の買い出しリストなどの約半分は1時間後に忘れているということになります。
実際はそんなことありませんよね。
判明した事実
エビングハウスは被験者を自分1人にしていたため、すべての人に当てはまる内容とは断言できませんでした
しかし、その後の他の研究によって以下のような重要な法則が発見されました。
- 過剰学習:完全に覚えた時から再学習(反復学習)すると、暗記したものを忘れにくくなる
- 分散効果:再学習するたびに、再学習にかかる時間が短くなる
- 初頭効果:一番初めに触れた情報は記憶に残りやすい
- 新近効果:一番最後に触れた情報は記憶に残りやすい
これらの研究結果から、受験や定期テスト、資格の勉強における最適な学習方法がわかりそうです。
エビングハウスの忘却曲線を生かした勉強方法とは
エビングハウスの忘却曲線やその後の研究結果から、暗記系の最適な勉強方法が見出せます。
復習(再学習)は20分後と1日後、1週間後の3回行う
定期的かつ複数回の復習が、最も重要で効果的です。
復習のタイミングは最低でも3回用意し、20~30分後、1日後、1週間後などの各タイミングがおすすめです。
脳の節約率を考慮しているので、最低限の時間で効率よく暗記できることが見込めます。
何回復習したかを把握するために、付箋を活用することもおすすめです。
3色の色付箋を用意し、1回目の学習が終わったものには1色目の付箋を貼り、復習をしたら付箋の色を変えるなどするといいでしょう。
3回復習してもまだ完璧に覚えられないものは「間違いノート」に記録したり、暗記カードにまとめたりしましょう。
「間違いノート」についてはこちらの記事で解説しています。
【中学受験】「間違いノート」の作り方やメリットとは?効率的な復習には欠かせない
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1番覚えたいことは最初と最後に覚える
一番初めに触れた情報は記憶に残りやすいという「初頭効果」と一番最後に触れた情報は記憶に残りやすい「親近効果」から、最初と最後に触れた内容は記憶として定着しやすいということがわかります。
そのため、「その日に覚えたいこと」の中から最も優先順位が高いもを勉強時間の最初に覚え、さらに勉強時間の終わりにも再度覚えるようにしましょう。
これにより、他の記憶よりもやや記憶に残りやすい状況となります。
覚える内容に意味やストーリーを持たせる
エビングハウスの実験では、意味のない単語を覚えさせて、その記憶定着率を測定しました。
もし「WID」のような意味のない単語ではなく、「KID」や「DOG」などの単語を覚えさせた場合は異なる結果になります。
脳は無意味な情報、不必要な情報は削除します。
なぜなら重要なことを覚える容量を確保しなければいけないからです。
これをもとに、勉強に生かすのなら、意味やストーリーづけをすることで忘れにくくできます。
たとえば、「1853」という全く自分に関係のない数字列でも、「ペリーが浦賀に来航」という歴史的事実を紐づけることで定着しやすくなります。
年号の語呂合わせも同じような理屈です。
まとめ|最適なタイミングで復習をしよう
今回は、エビングハウスの忘却曲線や実験に関する解説をしました。
また、その結果をもとにおすすめの勉強方法も3つご紹介しました。
- 復習(再学習)は20分後と1日後、1週間後の3回行う
- 1番覚えたいことは最初と最後に覚える
- 覚える内容に意味やストーリーを持たせる
これらを実践して、科学的かつ効率的に暗記を制しましょう。
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