こんな方におすすめ
- 不登校になる原因が何か知りたい
- 子どもが不登校になってしまったかもしれない
- 不登校の子にどう対処すればいいか教えてほしい
不登校は誰にでもなりえる現象ですが、とはいえ不登校になりやすいタイプはあります。
我が子が不登校になりやすいタイプだと理解していると、子どもの小さな変化にも対応でき、苦しみを減らすことができる可能性が増します。
また、不登校になった時に親がどのような対応をするかでその後の子どもの動向は大きく変わるため、適切な対応を取ることが求められます。
対応が悪いと2次障害を引き起こしたり、さらに状況が悪化することもあります。
この記事では、不登校になりやすいタイプの子どもの特徴や、不登校の原因とその解決法について解説します。
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不登校になりやすい3つのタイプとは
同じ環境で同じ体験をしても、不登校になる子どもとならない子どもがいます。
どちらの方がすぐれているという話ではなく、「不登校になりやすいか、そうでないか」の差で不登校になったりならなかったりします。
一般的には、次のようなタイプの子どもは不登校になりやすいと言われています。
感受性が強く不安傾向が強い子ども
感受性が強い子どもは他人の感情を敏感に察し、他の子どもよりも強く感じとってしまいます。
不安傾向も強いので、他の子どもが受け流してしまうようなことでも、ずっしりと受けとめて不安になったり恥ずかしさを感じたりします。
そのため、小学校に入学して新しい環境に慣れるまでに感じる強い緊張や、友達と上手く遊べなかったりした時の感情が上手く整理できず、不登校になることがあります。
プライドが高く完璧主義な子ども
プライドが高く完璧主義な子どもは、勉強や運動などを自分で思ったようにできなかったり、テストの点数や先生から受けた評価が納得できなかったりした時に、強いストレスを感じてしまいます。
また、思うようにできない自分を責め、劣等感を抱いてしまった結果「学校に行きたくない」と思ってしまうのです。
傍から見てできていても、本人のハードルが高く、納得いかない場合もあるので注意が必要です。
気が弱く人の目が気になる子ども
気の弱い子どもは、嫌なことや納得できないことがあっても自分の意見をなかなか言えず、強いストレスを感じてしまうことがあります。
このタイプの子どもは、人が自分をどう思っているかに敏感で、「笑われたらどうしよう」「失敗したらどうしよう」とストレスを感じてしまいます。
また、「親に知られたくない」「心配かけたくない」と思うあまり、学校生活の不安を打ち明けることができず、極限まで耐えてしまってプツリと糸が切れたように、不登校になってしまう場合があります。
【学年別】不登校の原因と解決方法
不登校になりやすいタイプの子どもが実際に不登校になってしまうのには、原因となる出来事が必ずあります。
学年によって傾向は異なります。
原因がはっきりしている場合は、まず原因を解決して子どもを安心させてください。
場合によっては、それだけで気持ちが前に進む場合もあります。
小学生1.2年生
小学生1.2年生の不登校の原因で多いのは、環境の変化についていけないことと、母子分離不安の2つです。
環境の変化についていけない
小学生になると勉強がはじまり、生活面でもいろいろなルールが増えます。
集団で行動しなければならないことも多く、授業中はじっと座って先生の話を聞かなくてはなりません。
幼稚園や保育園では、自分のことを自分でできるように導くことを重点とした保育や教育を受けてきたため、環境の激しい変化についていけず、強いストレスを感じて不登校になる場合があります。
母子分離不安
さらに、低学年の不登校の原因として多いのが「母子分離不安」です。
母子分離不安とは、母親と離れて行動しなければならない時に不安が強くなり、行動できなくなることです。
母親から離れ新しい環境に毎日通うことに不安を感じている時に、環境に上手く適応できなかったり、トラブルがあったりしたことが引き金となって不登校になります。
解決方法
これらの原因は子どもが大きな「不安」を抱えて対処できなくなったことが原因です。
不安は「もう大丈夫だよ」と言われてもすぐになくすことは難しいものです。
不安を少しずつ減らしていくと、次の行動をするエネルギーが少しずつ湧いてきます。
不安を減らすためには、子どもが甘えてきた時にしっかりと甘えさせてあげることです。
何か作業をしている時は作業の手を止めて、子どもの目を見てじっくりと話を聞いてあげてください。
抱きしめてあげるのも効果的です。
よく「甘やかしは良くない」と言われますが、「甘やかし」と「甘えさせる」ことは別です。
甘やかしは、子どもが自分でできることを口出しや手出ししてしまうこと。
甘えさせることは、子どもが甘えたいと思っている時に甘えさせてあげることです。
甘やかしはよくありませんが、甘えさせてあげることは子どもの心理的な安心にもつながるので、意識してみましょう。
3.4年生
3.4年生に多いのは、学習についていけなくなったことと、人間関係のつまづきです。
学習についていけない
小学校は3.4年で勉強がぐっと難しくなります。
1つわからないことができて放置してしまうと、次に習うこともわからなくなり、さらにテストの点が下がって苦手意識を感じてしまい、ますます勉強が嫌いになって学校へ行きたくなくなってしまう場合があります。
学習において負のスパイラルに陥ってしまうのです。
人間関係のつまづき
3.4年生になると仲の良い特定の友達やグループが形成されます。
親密な付き合いをしている分、トラブルも起きやすく、あっという間に仲良しグループからはじきだされてしまうこともあります。
そうなると、クラスでの居場所がなくなり、苦痛を感じて不登校になる場合があります。
解決方法
学習面の遅れは、子どもが落ち着いて勉強する気力が湧いてきたら、今まで習ってきた復習をしてつまづいている箇所を見つけ出し、わかるまでゆっくりと繰り返しましょう。
子どもが望めば、塾や家庭教師をつけて勉強することもできますが、急ぎすぎないことが大切です。
「急いで遅れを取り戻して学校へ行ってもらう!」と親が勝手に焦ると、子どもは敏感に察して再び勉強する気力をなくしてしまいます。
友達が1人でもいるのなら、不登校になってもメールや電話などで友達関係を続けておくといいでしょう。
友達がいない場合は、親は焦らずに、まず家庭で人間関係に疲れた心を癒やし、ゆっくりとエネルギーを回復させてあげましょう。
エネルギーが回復したら、適応教室やフリースクール、習い事などに通いはじめてもいいですし、学校に戻ることを子どもが選択したら、担任とよく話し合って、少しずつ教室に戻れるようにしてあげてください。
5.6年生
5.6年生に多いのは、思春期や反抗期による心の葛藤や家庭環境の乱れです。
思春期・反抗期
5.6年生になると、思春期や反抗期を迎えます。
思春期や反抗期は、子どもの成長にかかせない大事なことですが、子どもは身体や心の成長の変化に敏感になっていて、些細なことがストレスに感じることもあります。
他の子どもと自分を比べて、劣等感を抱いたり、友達との小さないさかいが、耐えられないほど辛く感じてしまったりして、不登校になることがあります。
また、家庭でのしつけが厳しい場合に反抗心を抱き、不登校になることもあります。
家庭の乱れ
親のリストラ、不仲や離婚、介護によるトラブルなどのトラブルで親がいっぱいいっぱいになっていると、子どももストレスを感じ不登校になったり非行に走ったりする場合があります。
解決法
反抗期や思春期は、どの子どもにも訪れるものなので、まずは、「子どもが成長した証なんだ」と肯定して受けとめてください。
「勉強しなさい!」「このままだと、ダメになってしまうよ!」などの否定的な言葉は使わないことが重要です。
反抗期や思春期の子どもは、傷つきやすく不安な気持ちを抱えています。
その気持ちを「反抗」という形で解消しようとしているので、否定的な言葉で責めると不安はますます膨らみ、反抗的な態度がどんどん増していってしまいます。
子どもを避けたり否定したりせずに子どもに向き合い、良いところをどんどん褒めてください。
子どもは自分のことを親が肯定的に見てくれていると感じると嬉しくなり、がんばろうとするエネルギーが湧いてきます。
家庭内の環境が乱れている場合は、親も大きなストレスを感じています。
まずは親が自分のストレスを減らしましょう。
1人で解決できない場合は、他者に相談をするのも方法の1つです。
専門機関に相談して、問題の解決方法のアドバイスをもらいましょう。
子どもが不登校の際に注意したいこと
不登校になりやすい子どものタイプと原因、解決法を紹介しましたが、1つ注意することがあります。
子どもがエネルギーを取り戻すためには、時間がかかることがほとんどです。
また、動く時は少しずつ動くことが多いので、親は焦らないことが大切です。
子どもが不登校になる時は、全エネルギーを使い果たしてもう動けなくなっています。
少しエネルギーが湧いてきて「学校どうなってるかなあ」などの言葉が出た時に、安堵して「じゃあ、行ってみようか!」などの言葉をあからさまに嬉しそうにかけるのは避けてください。
子どもは、「やっぱり自分が学校に行ってないのは嫌だったんだ」と落胆して再びエネルギーがなくなってしまうことがよくあります。
子どもの性格によっては親を安心させようと無理にがんばって登校し、再び動けなくなることもあります。
ここで、焦って子どもを追い詰めてしまうと、長期間ひきこもったり2次障害を引き起こして一生苦しんだりすることもあるのです。
学校に戻れても戻れなくても、いつかはエネルギーが満タンになって子どもは再び何らかの形で動き出すので、じっくりと腹をくくって取り組む覚悟をしましょう。
まとめ
不登校は誰にでも起こりますが、起きやすいタイプはあります。
自分の子どもが不登校になりやすいタイプとわかったら、日頃から子どもの様子をよく観察しておきましょう。
我が子が不登校になると親もショックを受け、冷静な対応ができずに事態を悪化させてしまうことがありますが、落ち着いて原因を見つけ、解決すると子どもは安心して、動き出すためのエネルギーを蓄えることができます。
ただし、解決したからと言ってすぐに動き出せないことも多いので、焦らず子どもを見守ってあげてください。
また、原因や解決法は1つではなく複合的なこともよくあります。
冷静に事態を見つめ、子どもに一番良い対応ができるよう心がけることが大切です。
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