こんな方におすすめ
- 公立の中高一貫校の適性検査とはどんなものか教えてほしい
- 適性検査の具体的な対策方法を教えてほしい
公立の中高一貫校は、1999年の文部科学省「学校教育教育法改正」により導入された学校です。
私立の中高一貫校と異なる、大きな特徴は「適性検査」と呼ばれる試験があることです。
私立入試のように国語・算数・理科・社会の4教科ではなく、適性検査という聞きなじみのない試験のため不安に思う保護者も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、公立の中高一貫校で行われる「適性検査」とはなにか、具体的な対策方法を解説します。
公立の中高一貫校の受験を考えている、もしくは私立中学の受験を悩んでいるという保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
私立と公立の中高一貫校の違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
私立と公立の中高一貫校の違いとは?特徴や選ぶポイントを解説!
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公立の中高一貫校の適性検査とは
適正検査とは、私立中学校の試験で行われる4教科の知識を問う試験とは違い、その場の思考力や表現力を問う試験です。
ただし少数ですが、まれに私立中学校の試験に近い形の試験を行う学校もあるので、事前に入試要項をよく確認する必要があります。
適性検査には、適性検査Ⅰ、適性検査Ⅱ、適性検査Ⅲの3種類があり、ⅠとⅡだけを問う学校やⅠからⅢのすべてを問う学校もあります。
適性検査Ⅰは、国語系・作文、Ⅱは算数と理科、社会などの複合問題、Ⅲは、学校独自の問題(主に算数・理科)です。
ただし、学校によって文系寄り、理系寄りと傾向は異なるので、過去問などで受験する学校の傾向を確かめておく必要があります。
また、私立中学校の試験では学校で習わないことも出題されますが、適性検査は小学校で習ったことしか出題されません。
教科を越えた総合的な問題が出されるので、対策なしでの合格は非常に難しいです。
過去問の対策方法についてはこちらの記事で解説しています。
中学受験|過去問の活用方法を紹介!ただの練習問題ではない
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公立の中高一貫校の適性検査に合格するための具体的な対策
適性検査で求められる力は、主に以下の3つです。
- 読解力(出題された問題のテーマや設定、背景などをつかみ、文章にどのようなことが書かれているのかを的確に読み取る力)
- 思考力(問題に対する答えを論理的に考える力)
- 表現力(思考力によって導き出した答えを、総合的にまとめ、読み取り手にわかるように書いたり伝えたりする力)
適性検査に合格するためには、次の8つの対策が効果的です。
1.教科書を徹底的に勉強する
適性検査は、小学校で習ったことの中から応用した問題が出題されます。
そのため、まずは教科書をすべて徹底的に勉強し、参考書や問題集を使って理解できてないところや、あやふやなところがないようにしてください。
ただし、私立中学の試験と違って知識をそのまま問われることは少ないので、「わからない」「なぜこうなるんだろう?」と思ったことはそのままにしないで、自分で調べて自分の言葉で解説できるようにしておいてください。
また、6年生になったらなるべく過去問や実践的な問題に取り組む必要があるので、5年生までに小学校の教科書の内容は終わらせるようにしましょう。
わかりやすく詳しい解説がついている参考書や問題集を上手に使えば、独学でも6年生分の先取り学習は可能です。
2.社会問題に興味を持つ
適性検査の試験では、身近な社会問題に絡めた問題が出題される傾向にあります。
少子化や高齢化、ゴミ問題、地球温暖化、環境問題などの社会問題に触れ、自分の意見をまとめておきましょう。
対策として、家族でニュースや新聞を読み、そのことについてディスカッションする習慣をつけることをおすすめします。
「良い悪い」の判断だけでなく、その理由を根拠をもって説明したり、的確に自分の考えを伝えたりする能力が求められます。
ディスカッションした内容をノートに整理して書いておき、時々見返して内容を復習するといいでしょう。
小学生におすすめの新聞についてはこちらの記事で解説しています。
中学受験に役立つ新聞記事とはどんな記事?おすすめの子ども新聞も紹介!
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3.ニュースをスクラップする
時事問題の対策と作文の対策に効果的なのが「スクラップ」です。
スクラップとは、気になる新聞記事を切り取り(コピーし)、その記事に対して意見を書いたり、その記事概要を要約したりする作業のことです。
1日1記事取り組むことで文章力は確実に上がりますし、時事問題にも強くなります。
1日15分程度で終わる作業なので、継続して続けやすいことも大きな特徴です。
4.志望校の過去問を解く
「適正検査の問題は、総合的で対策が難しい」とよく言われます。
適性検査は学校によって出題傾向が異なるため、過去問をたくさん解く必要があります。
問題を解く順番を瞬時に判断し、時間内に終わらないようならどの問題を解き、どの問題を捨てるかを決める必要があるため、過去問で自分なりのペース配分を決めるのがおすすめです。
もちろん過去問を解く時には、実際の試験と同じ時間で試験と同じようにペース配分を考えて解くようにすることが重要です。
5.作文の練習をする
適性検査では、ほとんどの学校で作文が出題されます。
作文では、全体の構成を考え、相手に伝わりやすいように明確な流れをもって書く必要があります。
そのスキルを習得するのは非常に難しく、いきなり書けるものではないので、事前にたくさん書いて練習しておいてください。
作文の基本ルールやコツについてはこちらの記事で解説しています。
作文の書き方や基本ルールとは?記述問題で減点されないための必要知識
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5.読書をする
読書は、問題を読み取る読解力を高めるために効果があります。
また漢字を読めるようになる、文字を早く読めるようになる、知識や教養が増す、などの効果も期待できるため、小さい頃から読書をする習慣をつけておくことが大切です。
ただし、中学受験対策の読書には物語よりも「子ども新聞」がおすすめです。
小学生におすすめの新聞についてはこちらの記事で解説しています。
中学受験に役立つ新聞記事とはどんな記事?おすすめの子ども新聞も紹介!
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ファンタジーなどの物語では、知識や教養は身につかないのでなるべく新聞や教養が身につきそうな本を読むに越したことはありませんが、「文章嫌い」にならないようにするためにもまずは子どもが興味ある分野や内容の本を読むようにしましょう。
7.記述問題をたくさん解く
適性検査では、記述問題が多く出題されます。
入試の記述問題は、すぐに書けるようになることはあまりないので、取り組んでみて「できなかった!」「難しい!」と思うかもしれません。
子どもの中には、「記述問題を避ける」子もいるほどです。
しかし、何度も繰り返し解いていると、解き方のコツがわかってきます。
模範解答と自分の解答を照らし合わせ、改善点を見つけて再び取り組む作業を根気強く繰り返すと、徐々にコツをつかんで書けるようになるので焦らずに取り組みましょう。
8.算数はまずは計算力を高める
算数は、解答を書くだけではなく、「なぜそうなるのか」や「途中式や考え方も書く」という問題がほとんどです。
そのため、「適性検査では算数が一番難しい」という声もあるほどです。
途中式や考え方を書くための練習はもちろん必要ですが、まず一番にやっておきたいことは計算力を高め、早く正確に計算できるようになっておくことです。
限られた試験時間の中で考えたり、表現したりするためには、計算を速く正確に終了させて時間を確保する必要があります。
早いうちから100マス計算やそろばんなどで計算力を高めておくことで、一生ものの計算力がつく可能性は高いのでおすすめです。
まとめ
適性検査は、公立の中高一貫校独得の入試方法です。
種類は以下の3種類あり、その組み合わせは学校によって異なります。
一般的な知識問題対策では対応できないため、適性検査に対応している対策を取る必要があります。
求められている以下の3つの力を事前に鍛えておく必要があります。
- 読解力(出題された問題のテーマや設定、背景などをつかみ、文章にどのようなことが書かれているのかを的確に読み取る力)
- 思考力(問題に対する答えを論理的に考える力)
- 表現力(思考力によって導き出した答えを、総合的にまとめ、読み取り手にわかるように書いたり伝えたりする力)
この記事で紹介している8つの対策方法を参考にして、適性検査を乗り切ってください。