中学受験は「親子の受験」と言われるほど、親子の関係が重要な受験です。
まだ若く、メンタル面が未熟な受験生にとって、保護者のフォローはなくてはならないものです。
そして、受験生を支えるためには保護者のメンタルケアもおろそかにしてはいけません。
今回は中学受験を控えるお子さんをお持ちの保護者必見の「メンタルマネジメント」について解説します。」
受験生のメンタルマネジメント|【行動・環境・言葉】が大切
受験生のメンタルマネジメントを行う上で重要なのは行動・環境・言葉の3つのポイントです。
中学受験は数年にわたる長期プロジェクトになります。速効性を求め過ぎず、じっくりと取り組んでください。
行動
「子どもは親の言うように育つのではなく、親のするように育つ」と古くから言われています。
子どもに受験に前向きになって欲しい、勉強して欲しい、と思うのならばまずは親が行動で示しましょう。
子どもと一緒に勉強するのがおすすめです。
「教える」のではなく、「一緒に勉強する」のを心がけてください。
むしろ、無理に教えるのは塾のやり方と違って子どもが混乱したりギスギスしたりするのでおすすめできません。
一緒に勉強して「こんな難しいのを解いているんだね。すごいね」「この単元面白いね」など子どものやっていることを理解してください。
解き方が分からなければ子どもに教えてもらいましょう。
教えることは理解を深めることになりますし、何よりも「分からないことはその場で質問をすればいい」「分からないのを質問するのは恥ずかしくない」というお手本を子どもに示せます。
受験生の親は塾の送り迎えに進路相談、子どものケアなど普段の家事や仕事に加えてやることがたくさんあります。
それでも、たまにであっても子どもと「一緒にやる」という行動は子どものメンタルに良い影響を与えます。
「口先だけではない」ことを見せてあげてください。
環境
整理整頓をして勉強に集中できる環境を与えるのも保護者の大切な役割です。
子どもと相性の良い塾を選ぶ、スケジュールを管理する体調に応じた食事や衣類を提供するなどを心がけましょう。
家庭不和などがあると子どものメンタルは大ダメージを受けます。
スケジュールの管理の際には子どもの希望を必ず聞いてください。
保護者は子どものことを何でも知っていると思いがちですが、子どもの成長は目覚ましいです。
好きなものも嫌いなものもすぐに変わります。
余暇を設定するときには「何をしている時が楽しい?」「今は何が好き?」など、「今」の子どもを把握しましょう。
また、塾などでは「苦手」を克服することに重点を置いたスケジュールを提案されますが、家庭では「得意」を伸ばすことも忘れないでください。
言うまでもなく苦手の克服は大切です。
しかし、得意な勉強は楽しく、自信を付けます。
勉強スタート時はまずは得意分野の勉強をさせて褒め、勉強への波にのせましょう。
図書館、博物館、動物園、プラネタリウム、工場見学などに連れていき、子どもの好奇心を刺激するのもおすすめです。
言葉
口先だけの言葉は子どもに届きませんが、言葉をおろそかにすると子どもの心は離れていきます。
やり過ぎかなと思うくらいやると良いのが「褒める」です。
スケジュール通りに勉強ができた、間違えたところを自分で気が付けた、成績が上がったなどなど、「すごいね」「頑張ったね」「えらかったね」などとねぎらってあげましょう。
褒める時には純粋に過程や結果を褒めることに徹しましょう。
また、子どもに暗示をかけるのも有効です。
「あなたはお父さんに似て本番に強いから大丈夫」「お母さん、あなたならば受かると思うよ」「あなたは本当に頑張り屋さんね」など、子どもを「調子」にのせましょう。
受験生のメンタルマネジメントをするためには保護者のメンタルも大切
子どものメンタルマネジメントと同じくらい大切なのが保護者自身のメンタルです。
中学受験は長期戦になるので、保護者もメンタルを安定させるのを心がけてください。
そうでないと「親子で手を取り合い、同じ目標を目指す」など、夢のまた夢。
「親子のバトルでヘトヘト」な日々になってしまいます。
相談相手を作る
塾の先生や友人など、相談相手を作りましょう。
相談相手がいないと不安が全て自分と子どもへ向かってしまいます。
特に中学受験に精通している塾は心強いパートナーです。
不安に思っていることや分からないこと、迷っていることを相談しましょう。
1人で考えていると視野が狭くなったり思い込みに囚われたりしてしまいがちです。
相談相手がいると「我が家だけじゃない」「こんな方法もあるんだ」など気持ちが落ち着きます。
保護者も自分の生活を楽しむ
受験生に余暇が必要なように、保護者も余暇が必要です。
子どもを合格させるためならばなんでもしてあげたいと思うものですが、自分自身の生活も大切にしてあげてください。
趣味、美味しいものを食べる、友達と遊ぶなどを楽しみましょう。
子どもに「私は何もかも我慢してこんなに頑張っているのに!」と苛立っても伝わりません。
保護者も楽しみを持つことで子どもに余裕をもって接せます。
保護者心と子ども心は分けて考える
志望校に合格という共通の目標を持っていると親子一心同体な気持ちになってしまいますが、心も体も別々です。
保護者は子どもの代わりに勉強をしてあげられませんし、子どもは全て親の望むようには動けません。
だからこそ、保護者は「自分の気持ち」と「子ども」を分けて考えるのを忘れないでください。
親のイライラや不安は親のものです。
親自身が消化すべきで、子どもにぶつけるものではありません。
逆も同じで、子どもが不安に思う気持ちに寄り添うことと子どもと一緒に不安になることは違います。
イライラしたとき「私をこんな気持ちにさせる勉強をサボった子どもが悪い!」と考えるのはやめましょう。
子どもは親の気持ちを穏やかにさせるために勉強するのではありません。
子どもに勉強を促す際には2人が違う人間であることを念頭に置いてください。それだけで言葉使いや口調が適切なものになり、子どもの心にも伝わりやすくなります。
メンタルマネジメントの鍵を握るのは信頼関係
最後に、メンタルマネジメントで一番大切なのは信頼関係です。
親子の間に信頼関係がなければ、どんな言葉も思いやりも届きません。
信頼関係を築くために、子どもの話を聞いて受け止めてあげてください。
「どうせ〇〇だろう」という決めつけは積もり積もって深い溝を作ります。
子どもは様々なことに不安や悩みを持っています。
「落ちたらどうしよう」「塾代を無駄にしてしまっている」「仲良しの子と離れてしまう」「成績が落ちたら恥ずかしい」など1つ1つ聞いてあげてください。
受験に対して、保護者も子どもも完全に不安やストレスをなくすことはできません。
あって当たり前です。だからこそ、分かってくれる相手がいるというのは大きな支えになります。
保護者はメンタルマネジメントで受験生を支えよう
中学受験は保護者が適切にメンタルマネジメントをできるかどうかで結果が変わってきます。
行動、環境、言葉で受験生を支えましょう。
そのためには保護者自身のメンタルの安定も大切にしてください。