こんな方におすすめ
- 中学受験で、男女共学か?同性の学校か?で迷っている
- 共学と別学のメリットとデメリットや特徴を知りたい
私立中学には「共学」と「別学(男子校や女子校)」があります。
共学校と別学校には、それぞれどんなメリット・デメリットがあるのかを見てみましょう。
思春期という大切な時期を「男女一緒に過ごすのか?」「あるいは同性のみで過ごすのか?」は、今後の人生に少なくない影響を与えます。
それぞれの特徴を知り、「我が子に合っているのはどちらか?」を判断してください。
男子校・女子校のメリット
男子校や女子校のような、同性のみの中学のメリットについて紹介します。
格式高い伝統校・進学校が多い
人気のある男子校・女子校は、格式高い伝統校や進学校が多いようです。
かつて、私立女子校は「良妻賢母を生み出すお嬢様校」というイメージが強かったのですが、現在人気が集中している女子校の多くは進学に力を入れています。
中学受験では、特に大学進学の実績が優れた「男子御三家」(東京都の場合は開成、麻生、武蔵)「女子御三家」(東京都の場合は桜蔭、女子学院、雙葉)などという称号もあるほどです。
男女交際の機会が少なく、性別に合った指導ができるので、進学実績が高いとされています。
男女の違いに合った環境
今の時代、「男らしさ」「女らしさ」という考え方はナンセンスですが、男子と女子の発達は同じではありません。
体の発達だけの話ではなく、男子は空間認識能力が優れていて、女子は言語能力や共感能力が優れているというデータがあります。
さらに、情緒の発達は女子の方が早い傾向があり、十代の男女を一緒のクラスにすると、女子がリーダーや主導権を握りやすいようです。
そこで男女別学にすると、それぞれの性別の特性に合った授業や環境を整えやすくなります。男女別学だからこそ、体や精神面に合った教育や指導が可能になるのです。
異性の目を気にせずにのびのびと過ごせる
男女別学で同性のみの空間であれば、異性の目を気にせずに伸び伸びと過ごしやすいです。
「男子ならばこうするべき」「これは女子の役割」などと、それぞれで役割を決めつけてしまうジェンダーバイアスの影響もあまりありません。
性別に囚われ「男子(女子)でこんなことしていたらおかしいかな?」などと諦めてしまうことなく、個性を伸ばしていくことが可能です。
男子校・女子高のデメリット
同性しかいない環境だからこそのデメリットについても見てみましょう。
異性の目を気にしなさ過ぎる
異性の目がないからこそのびのびと過ごせる一方で、マナーや羞恥心が欠けた振舞をしてしまう子どももいます。
「教室で生理用品やシモネタが飛び交っていたよ」などと語る女子校出身者や、「今思い返すと、男所帯で衛生観念が崩壊していた」と話す男子校出身者は少なくありません。
子どもにとっては楽しいかもしれませんが、家庭の教育方針と学校の雰囲気が乖離していないか、学校見学や口コミなどで確認しましょう。
社会に出た時に戸惑い・異性慣れしない
社会に出れば、全体の半分は異性で構成されています。
十代のころにあまり異性と接する機会がなく異性に対しての免疫がないと、社会に出た時にうまくコミュニケーションが取れなくなってしまうかもしれません。
必要以上に身構えたり緊張したりして、いい良い関係が築けないリスクがあります。
男女別学を選択するのなら、習い事などで異性ともある程度接する機会を作ってあげることもおすすめです。
共学のメリット
男女が一緒に学ぶ共学のメリットについて紹介します。
男女の違いを理解できる
一緒に学校生活を送ることで男女の違いを理解できます。
「異性に言ってはならないことは何か」「自分と何が違ってどこが同じなのか」……、それらを自然に学ぶ機会があるのが共学という環境です。
男性と女性が違うからこそ、それぞれに合った対応ができるのが男女別学の魅力ですが、違いを理解し、すり合わせたり認め合ったりする機会が多いことが共学の魅力になります。
男女のコミュニケーション能力が身に付きやすい
共学は常に異性が一緒にいる環境なので、休み時間はもちろんのこと理科の実験や調理実習、イベントの立ち上げなど、共同作業を通して会話する機会が多いです。
そのため、社会に出ても異性に対して身構えすぎずに話せるようになります。
共学のデメリット
共学のデメリットについても知っておきましょう。
男女の役割が固定化してしまいがち
男子と女子が一緒にいる状態だとジェンダーバイアスが発生しやすく、「男子の役割」「女子の役割」が固定化してしまいやすい傾向があります。
また、女子の方が精神面での成熟が早いのでクラスの主導権を握るケースが多いため、気が弱く女子に圧倒されやすい男子は、男子校の方がのびのびと過ごせるかもしれません。
運動会や学園祭の分担でも「力仕事は男子」「細かい装飾は女子」などとなりやすいでしょう。
お互いの得意分野を尊重し、協力し合っているとも言えますが、「異性に頼らないで自力でやる」機会の損失でもあります。
異性の目を気にし過ぎてしまう
多感な年ごろに共学で過ごすことで異性の目を過剰に気にしてしまう子もいます。
そのせいで勉学に身が入らなくなるかもしれません。
また、部活において「料理部に入りたいけれど女子部員しかいない中に男子1人で入って行く勇気がない」「登山部に入ったけれど、男子の体力についていけない。料理当番ばかり任されるのも不満。本当は火起こしをしてみたいのに」などというケースもあり、自分がしたいことを諦めたり不満を募らせたりしてしまう子もいます。
併学という新しい形
近年、男子校・女子高などの男女別学でもなく、共学でもない「併学」という新しい形態の学校も増えてきました。元男子校や元女子校に多いようです。
併学は男女別学と共学のいいところを取り入れています。
普段の授業は別の教室や別の校舎ですが、食堂は共有していたり、学園祭や部活などは一緒に行ったりするなど、適度に異性との交流が持てるように工夫されているのが併学の特徴です。
異性から適度に刺激を受けつつ、同性同士で伸び伸びとした学園生活を送れるでしょう。
併学はまだあまり多くなく、男女間の交流の度合いも様々で、ほとんど男女別学のような形態をとっている中学校もあれば、ほぼ共学と言ってもいいような中学校もあります。
大切なのは校風と尊重し合う意識
「男女別学の中学にするか?「共学にするか?」は、子どもの考え方や性格などを踏まえて決めましょう。
そして、男女別学か共学かよりも重視するべきは「校風」です。最初から「うちの子は男子校(女子校・共学)!」と決めつけず、見学や説明会に出向いてみましょう。
また、異性への興味や男尊女卑(女尊男卑)の考えは、通う学校の種類のみで左右されるものではありません。本人の興味や発達、家庭環境なども大きく影響をします。
特に家庭で「片方の性別を下に見たり、馬鹿にしたり」するような発言や振る舞いが日常になっていると、子どもも影響されて歪んだ認知を抱きやす。
どの中学に進学しても自分を大切にし、相手を尊重する気持ちを養い育てていかなければなりません。
男子校・女子高と共学の特徴を知り、子どもにあった中学を選ぼう
男子校や女子高など男女別学は名門学校が多いです。また、同性しかいないからこそ、性別に囚われずに個性を育みやすくなります。
共学は男子と女子の違いを学び、うまく関わっていく術を学ぶ機会に恵まれています。
また、最近では男女別学と共学の中間である「併学」への関心も高まってきました。
男女別学か共学かにこだわり過ぎず、校風などを見て子どもと相性の良い学校を選びましょう。
どの中学を受けるとしても、自分を大切にし、異性を尊重する価値観は養っていけます。
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