こんな方におすすめ
- 中学受験に役立つ本が知りたい
- どんな小説が入試で出るのか知りたい
今回は、中学受験の国語の試験で出題された本や出題される可能性が高い本を紹介します。
読んだことのある本が出題されれば、初めて読む場合よりも有利です。
内容をある程度把握しておけばスムーズに回答に取り掛かれますし、何よりも心理的に安心感を持てます。
「どんな本が出題の可能性が高いのか」「どんな点に注目して読むのか」について知りましょう。
あわせて、読書があまり得意でない子も無理なく親しめる方法も紹介します。
読書の効果についてはこちらの記事で解説しています。
小学生が読書から得られる効果は何?本好きの子どもに育てるには?|まなびWeb
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中学受験対策として読んだ方が良い本
中学受験の国語に出題されやすい小説を紹介します。
記載しているページ数は、文庫バージョンのページ数ですので参考にしてみてください。
「長編を読むのが苦手という子」は、短編集やページ数の少ない本からチャレンジしていきましょう。
ハッピーノート|草野たき
作者:草野たき
出版社:福音書店
256ページ
6年生の女の子、聡子が主人公で、友達関係の悩み、親との確執などを抱えている彼女は初恋をします。
もっと彼と仲良くしたいという思いがやがて彼女と彼女の周囲を変えていく物語です。
思春期の少女の心情に多くの同年代の共感が集まりました。
女の子が主人公ですが、男子中学の試験にも出題されたことがあります。
この本の作者、草野たきさんの本はこの作品以外にもよく受験で扱われています。
しずかな日々|梛月美智子
作者:梛月美智子、またよし
出版社:講談社
288ページ
小学五年生のお父さんのいない男の子が主人公。
いままでお母さんとくらしていましたが、夏からおじいさんと暮らすことになりました。
テレビもゲームもない少年たちの夏休みは今の子どもにとってはある意味「憧れ」を感じるかもしれません。
ストーリーや描写が淡々としているからこそ、繊細な心の機微が際立ち、染みる物語です。
「試験問題」として抜粋された部分だけで出会うのはもったいない!
クラスメイツ<前期><後期>|森絵都
作者:森絵都
出版社:KADOKAWA
前編:244ページ、後編:256ページ
中学1年生の1クラス24名それぞれの物語です。
生徒1人1人が1人称で語る短編集なので全体としての量は多いですが、読みやすくなっています。
人気者になりたい子、恋に悩む子、駆け引きをする子、学校行事やトラブルを乗り越えながら笑ったり共感したりが楽しめます。
「この子、私に似ている」「こんな風に考えられたらいいのに」などという生徒に出会えるでしょう。
一足早い中学生活に思いを馳せながら読むのにピッタリです。
西の魔女が死んだ|梨木香歩
作者:梨木香歩
出版社:新潮社
226ページ
学校に行けなくなった中学生の女の子が主人公です。
おばあちゃんと暮らすことになり、様々なことを学んでいきます。
「自分で決める」とはどういうことなのか、季節の移り変わり、「魔女」の修行などを温かく書いてあります。
舞台は現代日本ですが、西洋ファンタジーのような雰囲気が溢れているので「日常と陸続き過ぎる物語は退屈」という子はこの本から始めてみましょう。
リマ・トゥジュ・リマ・トウジュ・トウジュ|こまつあやこ
作者:こまつあやこ
出版社:講談社
194ページ
中学二年生の二学期にマレーシアからの帰国子女となった少女が主人公。
日本の中学になかなか馴染めないなか、先輩から短歌に誘われる。
ヤケクソでマレーシア語交じりの短歌を詠むと…。
異文化を受け入れていく過程がとても丁寧書かれています。
2019年度の中学入試で最多出題作です。
ボリュームが少なく、主人公の一人称で物語が進むのであっという間に読めます。
そしてバトンは渡された|瀬尾まいこ
作者:瀬尾まいこ
出版社:文芸春秋
363ページ
「父親が3人、母親が2人、家族の形態は17年間で7回も変わった」けれど、不幸ではない少女が主人公。
さまざまな「親」の間をリレーされて成長していきます。
軽やかながらも的を射た心理描写と人と人とのつながり、妙に説得力のある気がするセリフの数々が秀逸です。
血のつながりや家族の形態に執着しない少しサバサバした主人公は親離れしつつある受験生の子の心を掴むでしょう。
本屋大賞受賞作でもあります。
大きくなる日|佐川光晴
作者:佐川光晴
出版社:集英社
296ページ
四人家族の横山家を中心に心の成長を描く9編のオムニバスです。
共働き、父子家庭、国際結婚など現代的なテーマも取り扱っていますが、根底にあるのは思春期の悩みや人との関係の作り方、愛情など普遍的なモノばかり。
登場人物の心情や変化の描写が卓越しているのでよく出題されます。
長編シリーズものを読もう
中学受験の試験に出題される可能性の有無とは関係なしに、受験に向けて読んだ方がいいジャンルがあります。
それは「ハマれる長編シリーズもの」です。
長編シリーズに「ハマる」と次から次へと本を読みたくなり、読書量が一気に増えます。
読書量が増えれば読解力が付いたり語彙が豊富になったりし、得点アップへの近道です。
- 低学年ならば「かいけつゾロリ」や「まじょ子」
- 中学年ならば「ハリー・ポッター」や「魔女の宅急便」
- 高学年ならば「ずっこけ三人組」や「精霊の守り人」
などが代表例です。
長編作品は基本的に「人気があるから続いている」ので、多くの子どもたちが「面白い」と感じやすい内容になっています。
中学年以降ならばラノベ(ライトノベル)系もおすすめです。
ラノベ自体が試験問題として扱われることはほぼありませんが、児童書から文庫本に移るのは子どもの「少し背伸びをしたい気持ち」を満たしてくれます。
中学受験のためのおすすめの読書方法
中学受験対策のために読む本とはいえ、読むのならば楽しく読むべきです。
義務感で読んでいても理解は深まりませんし、何よりも楽しくないので続きません。
より楽しく読んで理解を深めて得点につなげる方法と積極的に読書ができるようになる方法を紹介します。
早いうちから読書習慣をつける
読書習慣はなるべく早いうちからつけるのがおすすめです。
受験が近くなってから「点を取るために本を読もう!」と言われても受験勉強で忙しい中、好きでもない本を読むために時間を割きたいとは思えません。
子どもに読書習慣をつけて欲しいのならば
- 子どもに本を選ばせる(様子をみながら「おすすめ」もしてみる)
- 完読を強要しない(「確実に面白い本」やお気に入りの作者、ボリュームの薄い本しか読まなくなるため)
- 家族で「読書の時間」を設ける
- 親が読書を楽しむ姿を見せる
などを意識しましょう。
「〇〇を読みなさい」「最後まで読みなさい」などを強要しなければ子どもは「本の選び方」や「好きな読み方」を身に着けていき、「読書は楽しいもの」と認識します。
本を読むのに慣れていけば、勧められた本を好意的に受け取りやすいです。
読書後は内容を整理する
より理解を深め、点数獲得につなげるためには読み終わった後に「どんな本だったのか」を考える習慣を付けましょう。
日記のようにまとめたり、親子で感想を話し合ったりするのがおすすめです。
この時
- どんな人物が登場したか(名前、境遇、性格、目的など)
- どんな内容だったのか、どんな変化があったのか(困りごとが解決した、絆が深まった、野望を叶えたなど)
- どう感じたか(ワクワクした、〇〇に共感した、自分も〇〇してみたいなど)
をまとめましょう。
簡単であっても、子どもが自分の言葉で表現することに意味があります。
慣れてきたら物語の主題(一番の見せ場、盛り上がる箇所)と個人的に好きな箇所、登場人物の気持ちと自分の感じたことなどを分けられるようにしましょう。
国語の試験で問われるのは「物語の主題」や「登場人物の気持ち」、「作者の意図」ですが、そればかりを求めると子どもは読書を楽しめません。
子ども独自の着眼点も褒めるとより深い読み込みをしようとします。
中学受験に向けて本を読もう!
中学受験の国語の試験で良く取り扱われる小説はあらかじめ読んでおくと、本番で点が取りやすくなります。
高学年の子が共感しやすい本が多いので、楽しみながら読んでみましょう。
読んだあとは「どんな本だったのか」を記録するクセを付けるとより理解が深まります。
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