こんな方におすすめ
- もし子どもの受験が不合格になってしまったらどうしたらいい?
- 中学受験に上手くいかなかったときの子どもへの正しい声かけってあるの?
- 受験に落ちてしまったときに、かけてはいけない声かけはあるの?
うまくいかなかった時のことを考えたくはないものですが、もしもの場合に親としてどのような言葉をかければ良いか悩む方もいるでしょう。
この記事では、子どもが中学受験に不合格になってしまった際の声かけのポイントについて解説していきます。
子どもの気持ちを最優先に考え、最悪のことも想定して適切な対応ができるよう心の準備をしておくことも大切ですので、ぜひ参考にしてみてください。
中学受験で不合格だった場合に親はどうすべき?
近年、中学受験をする子どもの数は増えており、合格率にも影響しています。
我が子が中学受験をする場合、もしもの時に親としてどのような対応をすれば良いか、ここでは詳しくご紹介していきます。
動揺しすぎずいつも通りに過ごす
親は、できる限りいつも通りの振る舞いをすることが大切です。
実際には酷くショックを受けている場合でも、子どもの前ではできるだけ動揺せず、いつも通りに過ごすことを心がけましょう。
親が沈んでいる姿を見て、子どもは「自分のせいだ」「親を悲しませてしまった」と、自分を責めたり否定的に捉えてしまいます。
過度に子どもが気を遣ってしまわないためにも、普段と変わらない姿でいましょう。
親がいつも通りに接すれば、子どもも落ち着いた気持ちを徐々に取り戻し、冷静になることでいずれ日常を取り戻せるのです。
まさに「時間が解決してくれる」でしょう。
たとえ受験が不合格であったとしても、その後の未来に希望を持てることが重要です。
新たな目標に向かって進もうとする我が子を応援し、サポートする気持ちで対応していきましょう。
そっとしておく
親が色々と声をかけて気を遣うよりも、子どもの様子をうかがいながらそっとしておくのも親としての優しさです。
子ども自身はもちろんショックを受けていますが、子どもなりにその事実を受け止めようとしています。
多少時間がかかるかもしれませんが、そのうち自ら気持ちを切り替えて次の受験に向けて進み出すでしょう。
子どもと同じように親としても色々思うことはありますが、当事者である子どもより親がヒートアップしてしまうのは避けたいところです。
親ができることとしては、多くを語ろうとせず、過度な励ましは控え、とにかくそっと見守ることを心がけると良いでしょう。
子どもが話しかけてきた時がチャンス
しばらくは部屋にこもったり、自分の殻に閉じこもってしまうかもしれませんが、子どもなりのタイミングを優先して待ってあげましょう。
下手に親が話しかけるよりも、子ども自身が気持ちに整理がついたり切り替えができたら、自然と話しかけてきてくれます。
声をかけてほしそうなタイミングを待ったうえで、本人の気持ちにしっかりと寄り添い、共感してあげることが大切です。
自ら悔しがる気持ちや本音を話してきたときには、素直な気持ちを吐き出せる環境を作ってあげるのも良いですね。
反対に、親の気持ちとは裏腹に、子どもはすっかり次に向けて前を向いている場合もあるかもしれません。
臨機応変に、子どもの気持ちに合わせた対応がベストでしょう。
リフレッシュさせる
子どもの気持ちが落ち着いてきたら、子どもにしっかりとリフレッシュさせてあげるのもポイントです。
中学受験のために、これまでさまざまなものごとを我慢してきたことでしょう。
たくさん制限する中で味わってきた気持ちを発散させ、気持ちが切り替えられるようサポートするのも親としてできることの一つです。
少しでもストレスを無くした状態で次のステップへ進めるようにするためにも、新たな目標を設定して前を向けるよう促すのも大切です。
しっかりとメリハリのある関わり方をしていきましょう。
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不合格の場合に親はなんて声かけする?
我が子が中学受験で不合格だった場合に、どのような声かけをすれば良いのか悩みますよね。
ここでは、実際に使える声かけを交えながら、子どもにどのような声かけをするのが適切なのかご紹介していきます。
では、一つずつ確認していきましょう。
努力を認めて褒める
まずは、これまで頑張ってきた努力は本物であることを伝え、子どもの頑張りを認めてたくさん褒めてあげましょう。
- 「こんなに頑張れる我が子を誇りに思う」
- 「自慢の子どもだよ」
頑張ってきたからこそ、悔しい気持ちを吐き出すかもしれません。
そんな時は一緒に悔しがり、それでもここまで頑張ってくれたことに感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
子ども自身が劣等感を抱くことがないよう、しっかりと伝えることが重要です。
中学受験で不合格になってしまったことは決して失敗ではなく、高いレベルを志したということだと、本人にも理解させるようにしましょう。
何が助けになるか聞いてみる
直接本人に、今何を望んでいるのかを聞いてみるのも良いでしょう。
- 「何がしたい?」
- 「何をやってほしい?」
- 「何をしてほしくない?」
- 「何が食べたい?」
直接子どもに、今何を望んでいるのかを確認し、できる限り子どもの要望に応えてあげてください。
中には、親には気まずかったり、本音を話しにくいという場合もあります。
そんな時には、塾の講師や祖父母など信頼できる人が他にいるのであれば、話してみるよう促すのも良いでしょう。
中学受験から得られた体験を共有する
志望校に合格できなかったとしても、受験の振り返りを必ずするようにしましょう。
- 「最後まで諦めずに頑張れた」
- 「途中で嫌になってしまうこともあったけど、乗り越える強さ・忍耐力を持っていた」
- 「苦手な〇〇をたくさん解いて克服できた」
失敗に関してのみスポットを当てるのではなく、不合格ではあったけれどこの受験期間で得たものや学んだことも必ずあるはずです。
その経験自体に目を向けてみると、あらためて受験をしたこと自体すごいことなんだと子ども自身が感じることができるでしょう。
これからの人生にも役立つということを一緒に理解して共有していけると良いですね。
場面ごとの声かけをチェック!
第一志望に不合格だった場合や受験校すべてに不合格だった場合など、状況によっても我が子にかける声かけの内容は異なります。
ここからは、さまざまな場面や状況に適した声かけについて、具体例を交えながら解説していきますので、ポイントをおさえていきましょう。
第一志望不合格、まだ受験が残っている場合
第一志望校に不合格となれば、本人にとってもショックはかなり大きいですが、親はできるだけ落ち着いた態度を心がけましょう。
- 「(本人が悔しいと泣いていたら)わかるよ、お母さんも悔しい…」
- 「残念だったね、次もがんばろう!」
- 「出来なかったところ、復習しておこう!」
- 「結果は残念だったけど、まだ受験は残ってるから気持ちを切り替えて頑張ろう」
- 「順番は違ってもあなたが行きたいと思って目指した学校だから、最後まで気を抜かずにやりきろう」
親の落ち着いた姿を見れば、徐々に子どもも落ち着きを取り戻して混乱も和らぎます。
一方で、下手に「まだ第二志望が残っている」などと伝えると、余計に傷ついてしまう可能性もあります。
たくさんの声掛けは不要ですが、これまでの頑張りをしっかりと労う声かけができると良いでしょう。
親としてつらい気持ちを汲み取り、共感していくことは大切ですが、最終的には子どもが自分自身で乗り越えていくしかありません。
親は余計なことは言わず、見守ることが一番です。
まだ受験が残っていることを考えると、気持ちを切り替えていかにスムーズに次へ進めるかが重要でしょう。
第一志望不合格、滑り止めが合格している場合
第一志望校に不合格で落ち込んでいるかもしれませんが、まずは最後までやりきったことが素晴らしい事だと伝えてあげましょう。
- 「悔しいよね」
- 「自分はダメなんて思わないで」
- 「不合格になってしまたけど、決して失敗したわけではないよ」
- 「こんなに頑張ってくれてお父さんお母さんは幸せだから」
- 「◯◯中学校に行っても将来の可能性は広がるよ。」
- 「そういうこともあるよね」
- 「たかが中学受験」
- 「人生が決まるわけじゃないから」
自分の頑張りが結果に出なかったことで、子どもはショックを受けているので劣等感を感じやすい時期でもあります。
これまでの努力を認めて褒めてあげ、中学受験をして良かったと思えるような言葉を選ぶようにすることがポイントです。
また、押し付けてしまわない程度に、前向きになれるような声かけも子ども自身が這い上がる力となることもあります。
挫折から自ら這い上がって踏ん張れる経験は、次の目標へと進みやすく今後の人生にも必ずプラスになるため、とても重要な経験と言えるでしょう。
第一志望も含めて全落ちの場合
第一志望校も含めたすべての学校が不合格であった場合も、まずは子どものこれまでの頑張りをしっかりと認め、褒めてあげましょう。
受験に向けた数年間、受験に合格することをイメージして最優先に考えてきた子どもにとって、ショックはとても大きく、親としてもとても胸が痛みますよね。
沈んだ気持ちから這い上がれるのに1〜2週間はかかるかもしれませんが、子どもが落ち着いた時期を狙って、進路や将来のことなど次に目を向けさせると良いでしょう。
- 「長かったね…よくやったよ… お疲れ様」
- 「よく頑張ってきたよ、塾の先生もほめてた」
- 「しばらくはのんびりしようか?」
- 「(相当落ち込んでいる子に)いつでも相談にのるよ」
- 「私も昔試験で不合格になってしまった経験があるから気持ちはわかるよ」
- 「でも、ここまで頑張った経験は絶対に無駄にならないから」
- 「こんなに頑張れる子の親で私は誇りに思っているよ」
- 「結果がすべてではない」
- 「受験勉強での苦労はきっとどこかで役に立つよ」
- 「お母さん、お父さんはいつでも君の味方だから」
一方で、親としてもこれまで尽くしてきた分、残念に思う気持ちは大きいかもしれません。
しかし、その姿を決して子どもの前では見せてはいけません。親がそのような姿では、かえって子どもが親に気を遣ってしまうので、気を付けましょう。
中には、受験日前日や当日朝まで出願を受け付けているところもあるようです。
全落ちを避けたいのであれば、親としてできることを最後まで試してみるなり、調べてみるのも良いかもしれません。
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不合格の場合にNGな声かけとは
長い受験勉強を頑張ってきた我が子が不合格となってしまったらと考えただけで、親としても胸が苦しくなりますよね。
これまで二人三脚で頑張ってきた親子関係に支障をきたしてしまったなんてことにならないためにも、もしもの時に子どもにかける声かけや対応には十分気を付ける必要があります。
わだかまりなく次のステップへと進むためにも、ぜひ参考にしてみてください。
親の不安や怒りをぶつける
親として色々と思うこともあるかもしれませんが、決してネガティブな親の感情をぶつけることがないようにしましょう。
- 「落ち込んでる場合じゃない」
- 「こんなんでは他の学校も難しい」
- 「お母さんがもっと…」
子どもにとっても、これまで色々なことを我慢して、頑張ってきた日々を親に否定されたら悲しいはずです。
不合格だと知って間もない期間は、自己肯定感が下がっているタイミングでもあるので、さらに気持ちが下がってしまうような声かけはしないよう心がけましょう。
特に、次に別の学校の受験を控えている場合には、逆効果となる可能性もあります。
自信を無くしてしまえば、実力を発揮できないことにも繋がります。
子どもを応援するからこそ、親も同じように落胆してしまいがちですが、親も自身の感情を上手くコントロールして気持ちを整えることが必要です。
趣味やお出かけするなど自分なりの方法で切り替えるなど工夫して過ごしてみるのも良いでしょう。
子どもの気持ちを分かったような声掛けをする
親からすれば、子どもの気持ちに寄り添うつもりでしょうが、子どもにとっては「経験してないのに、私の気持ちが分かるわけがない」と反感を買ってしまい逆効果と言えます。
- 「分かるよ、その気持ち」
- 「お母さんの時は…」
- 「お父さんだって…」
受験経験者として話す場合にも、親の経験談ばかりを聞かされては、子どもにとっては自慢話と捉えてしまいがちです。
その時の子どもの気持ち次第なところもあり難しい状況ですが、気をつけたい言葉ではあります。
親の経験談も、子どもからしたら「いつの話?」となってしまうため、むやみに親の経験談を語らない方が無難と言えます。
お金の話を出す
我が子の不合格はショックとともに不満を抱くこともあるでしょうが、子どもにはお金の話をしないように注意しましょう。
- 「こんなに時間もお金も受験に費やしたのに」
- 「塾代にいくらかかったか…」
親としては、受験に向けて数年間塾に通わせたり、そのためにお弁当作りや学習計画などのサポートを徹底してきたと思います。
実際に金銭面での負担も大きいかもしれませんが、いざお金のことで責められると子どもは単純に傷ついてしまいます。
たとえ、受験間近でなくても、基本的にはお金の話を子どもの前でしないようにしましょう。
つい他のママさんやお父さんと話す場面があるかもしれませんが、子どもの気持ちを考えた言動を心がけてください。
突き放す
子どもがさらに落ち込まないように掛けるのかもしれませんが、子どもの気持ちを無視した突き放す言い方はよくありません。
- 「さっさと気持ちを切り替えよう」
- 「男の子なんだから、いつまでもくよくよしないの」
ただでさえ、不合格で気持ちが沈んでいるのに、親に突き放されるような言い方をされては、深く傷つきます。
子どもが不快に感じてしまう可能性もあるということを考えながら、発言には十分気をつけましょう。
子どもの頑張りを否定する
子どもの言動に対して、批判的な言い方はするのは避けましょう。
- 「受験なんてしなければ良かった」
- 「なんで落ちてしまったんだ」
- 「勉強が足りなかったんだよ」
- 「遊んでばっかりいるから落ちたんだよ」
- 「部活ばかりせずにもっと勉強すればよかったのに」
親の気持ちとしてはアドバイスのつもりかもしれませんが、子どもにとってはただ責められているだけに過ぎません。
小さな体でまだまだ幼い考えの中で、懸命に頑張った中学受験がどれほど大変なことだったかは言うまでもないでしょう。
「不合格」という結果だけを見るのではなく、それまでの過程に焦点を当てて努力を労う声掛けを意識してみてください。
これまでの頑張りが無駄だったと思わせるような言動は、絶対にやめましょう。
反対に、貴重な経験ができたこと、挑戦できたことが素晴らしいことだと伝え、認めてあげると子どもも安心できるかもしれません。
中学受験の経験や人格すべてを否定する
不合格であっても、これまでの頑張りや受験自体を否定することはやめましょう。
- 「せっかく頑張ったのに」
- 「やっぱりダメだったか」
- 「まっ、しょうがないね」
- 「だから言ったじゃん」
- 「次は大丈夫だよね?」
否定的な声かけは、「失敗すること自体がだめなことである」と認識させてしまいがちです。
今後のその子の人生においても悪い影響を与えかねません。
たとえ本人が否定したとしても、親は決して否定しないようにしましょう。
中学受験は不合格でも決して「失敗」ではない
今回は、中学受験に不合格だった時に、我が子にかける声かけのポイントについてご紹介しました。
受験をする以上、できる限り避けたいシチュエーションではあります。
しかし、いざというときのためにも、子どもにどう言葉をかけて接すればよいのかを事前に知っておくだけでも心構えができますよね。
親としては、「不合格」という結果そのものよりも、こんなに頑張ってきたのに不合格だったときの我が子の気持ちを考えると、辛くて苦しくなる方がほとんどでしょう。
結果的に中学受験で不合格になってしまったとしても、「受験に合格できなかったこと=失敗」ではなく、「受験をしたことで得られたもの」に目を向けて子どもに声をかけることがとても重要です。
子どもの気持ちにしっかりと寄り添い、愛情ある言葉をかけてあげることで、親の想いは子どもにもしっかりと伝わるはずです。
そもそも中学受験は、人生の通過点であり、決して最終着地点ではないことをあらためて伝え、まずはこれまでの子どもの頑張りを精一杯褒めて認めてあげましょう。
そのうえで、今後の進路や過ごし方の最終的な判断を子ども自身でおこない、納得できる形で前に進んでいけると良いですね。