こんな方におすすめ
- 辞書引き学習とは何か知りたい
- 辞書引き学習のやり方を教えてほしい
スマホやインターネット、電子辞書が普及し、紙の辞書を使う機会が少なってきました。
しかし、語彙を習得するうえで辞書は非常に効果的と言えます。
その中でも、「辞書引き学習」という言葉を聞いたことはありますか?
辞書引き学習とは、辞書の中から自由に子どもが知っている単語を探し、付箋を貼っていく学習方法です。
インターネットなどで「辞書引き学習」と言う言葉を見かけ、どんなものなのか気になっている保護者の方も多いかも知れません。
そこで今回は、辞書引き学習の意義や方法、コツについて詳しく解説します。
参考
付箋を使った辞書引き学習とは
辞書引き学習とは、深谷圭助氏が提唱した学習方法で、辞書の中から知っている言葉を見つけ出し、付箋に書いて辞書に貼っていく学習方法です。
深谷圭助氏は、中部大学教授でベネッセコーポレーション辞典企画アドバイザー、小学館国語辞典編集委員、非営利活動法人こども・ことば研究所理事長などを務める方です。
一般的に、辞書はわからない言葉を調べる時に使います。
しかし、辞書引き学習ではまず辞書を広げて知っている言葉を探すことから始めます。
知っている言葉を見つけたら、言葉の意味や用例を読み、後はその言葉を付箋に書いて貼るだけです。
これまで、通例では国語辞典の活用は小学3~4年生からとなっていましたが、この辞書引き学習では幼稚園~小学校1年生から始めることができます。
なぜなら、知っている言葉を探すだけの簡単な学習方法だからです。
スポンジのような吸収力がある低学年のうちにこの学習を始めることで、自発的に勉強する習慣を身に付けることができる学習方法として、全国の小学校や塾、家庭で取り入れられるようになりました。
辞書引き学習の意義
辞書引き学習には、以下のような意義や効果があります。
- 知的好奇心が刺激される
- 自分で調べる習慣が身につく
- 正しい言葉が自然と身につく
知的好奇心が刺激される
辞書引き学習は、有効的な学習方法でありながらも、子どもにとっては知っている言葉に付箋を貼るという楽しいゲームです。
どんどん付箋を貼っていくうちに、例文や周辺にある単語が目に入り「これはどういう意味だろう?」という好奇心を刺激してくれます。
「知っている言葉を増やしたい」という学習意欲が、語彙の習得を促進させてくれるのです。
「この言葉はどういう意味だろう」という欲求が満たされると、どんどん知識が増え、さらに次の知的好奇心に繋がっていきます。
自分で調べる習慣が身につく
辞書引き学習はあくまでも「知っている言葉」を探す学習方法ですが、知らない言葉にも自然と触れます。
知らない言葉に触れると、自然と湧き上がる知的好奇心から、意味や用法を調べたくなってくるのです。
このような学習を続けることで、「知らない言葉」が「知ってる言葉」に変わっていくのです。
つまり、言葉を習得するのです。
知らない言葉に出会った時に自分で調べる習慣がつくと、わからないことがあった時には自ら調べて解決する力を身につけることができます。
この力は、子どもがこれから長い人生を歩いていく上で大変大事で役に立つ力です。
正しい言葉が自然と身につく
自分では知ってると思っている言葉でも、辞書で調べると違った意味を持っていたり、違う使われ方があることを知ったりできます。
辞書引き学習をすると、正しい言葉が自然と身に付き、語彙もどんどん増えていきます。
言葉の意味や用法を正しく理解すると、文章を正しく書けたり、文章の読解もより正確にできるようになります。
参考
作文の基本ルールや書き方については、以下の記事で解説しています。
作文の書き方や基本ルールとは?記述問題で減点されないための必要知識
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辞書引き学習のやり方
それでは、具体的な辞書引き学習のやり方を解説します。
辞書引き学習のやり方は、難しいものではないので、子どもはゲーム感覚で取り組めます。
0.道具の準備をする
準備するものは、付箋と使いやすい紙の辞書、そして筆記用具の3つだけです。
辞書は、ルビや図が付いていて、文字が大きめの子どもが読みやすいものを選びましょう。
いきなり中学生が使うような辞書を買ってしまうと、難しい印象を与えかねないので、対象年齢はよく確認しましょう。
まだ最適な辞書を持っていない場合は、以下の辞書がおすすめです。
付箋は文房具店やホームセンター、100均、インターネット通販で購入できます。
全面にのりが付いているものや大きすぎる付箋は使いづらいのでやめておきましょう。
やり方はとても簡単で、たったの2ステップです。
1.付箋に数字を書き込む
付箋の上部に番号を記入します。
この番号は、何枚付箋を貼ったか確認するためのもので、数を可視化することで子どものモチベーションを上げる効果が期待できます。
番号を書き込むことで、1日の目安も立てやすいので、おすすめです。
2.言葉を調べる
子どもが知っている言葉や調べたい言葉を自由に探します。
言葉を見つけたら付箋にその言葉を書き込んで、辞書の上部に貼り付けます。
この時に辞書から少しだけ付箋がはみ出すようにすると管理が楽です。
辞書引き学習をスムーズに行うコツ
とても簡単にできる辞書引き学習ですが、しっかりと身に付けるためには次のコツを押さえましょう。
はじめは親がしっかりサポート
辞書引き学習は、字が読めるようになり言葉に興味を持った時が始め時なので、幼稚園~小学1年生くらいから始めることが推奨されています。
まだ勉強をすることはもちろん、字を書くことも習慣化していないため、はじめはやり方を教えたら上手くできるように順次声かけをしてあげてください。
手順を子どもが飲み込んだら、自由にさせてあげましょう。
はじめは意味があまりわかってなくても大丈夫です。
続けていくうちに、意味がわかるまで自分で調べるようになります。
「本当にこの言葉知っているの?」「字が汚いからきれいに書きなさい」などのクレームは付けないように気を付けてください。
モチベーションがなくなって、辞めてしまうこともあります。
身近な言葉から取り組んでみる
「知っている言葉を調べなさい」といきなり辞書を渡されても、すぐに調べることはできません。
その場合は、まずは身の周りにある言葉で知っているものを考えるように指導しましょう。
食べもの、家の中にあるもの、動物の名前などなんでもかまいません。
辞書は身近な存在にする
辞書を箱に入れて本棚にしまっていては、使いたい時に手軽に手に取ることができません。
辞書は箱から出して、いつでも手に取ることができる場所に置きましょう。
また、一緒に付箋と鉛筆、消しゴムもセットにして、気がついたらすぐに書き込んで貼ることができるようにしておきます。
付箋がぐちゃぐちゃにならないようにするなど、子どものモチベーションを下げない工夫も必要です。
付箋に番号を必ず振る
面倒に感じるかも知れませんが、付箋に番号があると「今どれくらい調べた」とはっきりわかるので、モチベーションの維持や達成感に繋がります。
辞書引き学習を長く続ける大切なポイントですので、面倒がらずにあらかじめ付箋には余裕を持って番号を振っておいてください。
慣れてきたら子ども自身で番号を振るように指導しましょう。
決まった時間に毎日取り組む
1日5分でも10分でもいいので決まった時間に毎日取り組むと、辞書引き学習が当たり前のこととなり、進んで取り組むようになります。
その際は、親も一緒に取り組み、習慣化の手助けをしましょう。
向いていない子どももいる
良いことづくめの辞書引き学習ですが、向いていない子どももいます。
字を書くことが苦手で苦痛と感じている場合は、辞書引き学習を楽しく取り組むことはできません。
その場合は、国語辞典ではなく図鑑やDVDなどの動画を見て調べたいことを学習するようにする、など別のアプローチが望ましいです。
子どもはどのような形でも興味があることをどんどん学習することで、知識欲が増し知的好奇心が満たされます。
辞書引き学習を強要して字を書くことや勉強することが苦手になっては、意味がないので注意してください。
まとめ
辞書引き学習は、幼稚園年長や小学校1年生のころから取り組むことができる学習方法です。
楽しみながら新しい知識がどんどん増え、正しい言葉が身に付き語彙力もアップします。
また、わからない言葉や出来事は、自分で調べる習慣も付きます。
小さいころから始めるのではじめは親のサポートが必要ですが、要領を飲み込めばすぐに自分でできるようになります。
辞書引き学習で子どもの語彙の習得を目指しましょう!