こんな方におすすめ
- 板書を書き写すのが苦手な子はどうすればいいのか教えてほしい
- 板書が書き写せない原因は何か知りたい
今回は、板書をノートに書き写すのが苦手な小学生についてまとめました。
板書とは黒板もしくはホワイトボードに書かれた先生の字のことです。
基本的に小学校では、先生の板書を書き写してノートを取るという授業が展開されています。
そんな中で板書を書き写すのが苦手だとなぜ困るのか、板書を書き写せない理由、その場合の対処法などについて知りましょう。
板書の書き写しがうまくできないのは、子どもの努力不足や不真面目さが原因ではありません。
板書の書き写しでつまずいて自信を無くしたり勉強を嫌いになったりしないようにしてあげましょう。
板書を書き写すためのノートや文房具からアプローチすることも効果的です。
おすすめのノートやアイテムについてはこちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【中学受験】勉強がはかどるおすすめノートやアイテムの選び方とは
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板書をノートに書き写すのが苦手であることのデメリット
年齢が上がれば「自分なりのノートにまとめる」ことも求められますが、小学生は板書をそのままノートに書き写すのが授業の受け方の基本です。
そのため、この「基本」ができないと様々なデメリットが生じます。
ノートを取るのに精一杯になってしまう
書き写しが苦手だと、授業中にノートを取るので精一杯になってしまいます。
本来板書を書き写すという作業は復習に役立てるためのものであって、板書がメインではありません。
つまり、板書に書かれている内容の説明を理解したり、考えたりすることが重要なのです。
しかし、板書を書き写すことが苦手だと、「先生の話を聞く」「書いてある内容を理解する」「自分の頭で考える」といったことまでする余裕がありません。
そのような授業の受け方では単元や問題の理解が遅れ、「頑張っているけれど成績は低迷している」「発言などをせず、授業に消極的である」といった評価になってしまいかねます。
授業中に一切ノートを取らなくなる
続いて考えられるデメリットは、「授業中に一切ノートを取らなくなる」ということです。
書き写しが間に合わず、ノートがきちんと取れない、または「ノートを取っているにもかかわらず成績が上がらない」ということが続くと子どもは「どうせやっても無駄」「大切なことは教科書に書いてあるし」と考えてしまいがちです。
ノートを取らずに授業を受けていると、授業内容自体にも興味を持てなくなったり、勉強嫌いに繋がります。
低学年ならばノートを取らなくてもある程度授業についていくことは可能ですが、学年が上がっていけばそうはいきません。
特に小学校3年生くらいからは理科や社会が本格化し、内容も発展的なものになるため、ノートを取らずに授業についていくことは難しいです。
理科や社会でおすすめの暗記カードの使い方についてはこちらの記事で解説しています。
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担任の先生からの評価が下がる
ノートを取らなかったり積極的に授業に参加しなかったりすると、担任の先生からの評価が下がります。
面倒見の良い先生や察しの良い先生ならば「この子はノートをとるのが苦手なんだな」と理解してくれたり、授業後にフォローしてくれたりしますが、そのような先生ばかりではありません。
先生からの評価が下がり、成績表などに影響すると、子どもはますます授業や勉強を頑張らなくなってしまいます。
自己評価や自己肯定感が下がる
- みんなが当たり前にやっていることができない
- 先生から評価されない
- 成績が自分だけ上がらない
こういった状態が続いていると子どもは自信を失い、「自分はダメな子」と自己評価を下げてしまいます。
それに伴って自己肯定感も低くなります。
自己肯定感が低い状態だと「どうせ頑張っても無駄」と判断してしまい、板書きの書き写し以外の部分でもチャレンジ精神が持てません。
成績が伸び悩んでいる時に親がしてあげられることについてはこちらの記事で解説しています。
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小学生が板書の書き写しがうまくできない理由
板書の書き写しが苦手なのは、本人の努力不足や不真面目と決めつけて叱ると悪化する一方です。
当たり前にできている人には分からないことで子どもがつまずいている可能性があります。
理由はさまざま
書き写しがうまくできない理由は1つとは限りません。
- 近視・遠視・乱視
- 先生の板書が下手
- 集中力不足
- 不器用
- 鉛筆の持ち方や力加減、姿勢が悪い
- 読み書きが苦手、経験不足
- 文字が認識できない・形を覚えていない
- ワーキングメモリ(短期記憶、視写力)が弱い
- 視線を素早く動かせない(跳躍性眼球運動。今回の場合は黒板からノートへの焦点の移動や改行がスムーズにできない)
小学校に入学するまで、多くの子は「板書をノートに書き写す」という行為をしたことがないので始めはみんな上手にはできません。
日々の繰り返しの中でコツを掴んだり慣れたりしていきます。
しかし、人一倍苦手としている子には特別なサポートや練習が必要です。
特に目の機能や認識機能が低いことは子ども自身が自覚しにくいので大人が見つけてあげましょう。
また、小学校には様々な先生がいます。
字が小さく雑な先生や行間を詰めて書いてしまうクセのある先生にあたると書き写しが大変です。
さらに、ノートを書き写している間に先生がしゃべってしまうとマルチタスクが苦手な子は集中しにくくなってしまいます。
発達障害やグレーゾーンの傾向がある場合も
- 板書の書き写し以外にも困りごとが多い
- 他の子と比べて発達の偏りが目立つ
- 極端に苦手な分野がある
このようなことに心当たりがあるのならば単純な「板書の書き写しが苦手な子」ではなく、発達障害やグレーゾーンの疑いがあります。
書き写しの訓練以外にもその子に合ったサポートが必要です。
小学生の板書の書き写し苦手の克服法
板書の書き写しがスムーズにできるようになり、それに付随する学力低下や自己評価の低下を克服するための方法についてまとめました。
先生に対応をしてもらう
- 前の席に変えてもらう
- 板書と同じ内容をプリントしてもらう
席を前にしてもらえば近視の子は黒板が見えやすくなります。
集中力が散漫になりやすい子も視界が先生と黒板だけならば気が散りにくいでしょう。
また、先生からプリントをもらうことができれば子どもの負担は大きく減らせます。
休み時間や帰宅後に改めてノートに書き取る練習をするのがおすすめです。
ワーキングメモリ(短期記憶、視写力)を鍛える
ワーキングメモリが弱いと板書の文字を1字読んではノートに1字書き、また板書の文字を1字読んではノートに1字書くというような効率の悪い作業になり、書き写しが遅くなります。
板書の中から文節や言葉のまとまり、意味のまとまりなどをまとめて覚え、ノートに書き写せるようになれば視線を移動する回数が大幅に節約でき、書き写しのスピードアップが可能です。
ワーキングメモリはトレーニングで伸ばせます。
ワーキングメモリを鍛える塾や講座、アプリなどは多数ありますが、小学生が手軽に自宅で行いたい場合は「書くトレーニングうつしまる」などのドリルがおすすめです。
文章の中から「まとまり」を見つける力を養い、書き写しのコツを身に着けていける仕様になっています。
また、ワーキングメモリを鍛える大前提として
- 漢字などの「文字の形」を覚える
- 基本的な語彙や文法への理解
この2つが重要です。
文字や言葉自体が身についていないと板書を見た時に「まとまり」として頭に入れることができません。
視線の移動(跳躍眼球運動)をスムーズに行う練習
書き写しは遠方の板書と手元のノートへの視線の移動の繰り返しです。
この視線の移動が苦手な子がいます。
子どもの目の前に人差し指を出し、「頭を動かさずに目で追う」ようにと指示してから指をゆっくり左右に動かした時、子どもの眼球が指の動きについていけるかを観察してください。
また、視線の移動が苦手な子は本を音読させたときに行が変わるタイミングでつっかえやすい傾向があります。
跳躍眼球運動を鍛えるドリルやアプリなども多数ありますが、小学生が自宅で手軽に行うのならば『1日5分の眼の運動 [日めくり]子どもの「ビジョントレーニング」』がおすすめです。
子どもが1人で視線を動かす練習ができるようになっています。
跳躍眼球運動が優れていると書き写しが得意になるだけでなく
- 速読
- 暗記
- 整理整頓
- 集中力
- 球技
- イメージ力
などでも有利です。
ビジョントレーニングは大人向けバージョンもあるので家族で取り組んでみるのも良いでしょう。
褒めて伸ばす
「みんなができている板書の書き写しが自分にはできない」という時点で子どもはかなり困っています。
「ちゃんとやりなさい」と叱るのではなく頑張っていること、できたことなどを褒めてあげてください。
「ノートの取り方、段々上手くなっているね」と細かな変化でも親が気が付いてあげることでトレーニングを続けていくモチベーションになります。
まとめ|小学生の板書の書き写しが苦手問題は地道に解決を!
板書の書き写しにはコツがあります。
苦手としている小学生はコツを知らなかったり目や認識機能が弱かったりする傾向があるので、サポートをしてあげましょう。
書き写しが不得意であることを放置してしまうと学力だけでなく、自己評価まで下がってしまいます。
地道なトレーニング、そして何よりも親が褒めて伸ばすことが克服するための最善の道です。
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