こんな方におすすめ
- ラーニングピラミッドとは何か知りたい
- 効率の良い勉強方法を教えてほしい
ラーニングピラミッドという言葉を聞いたことがありますか?
ラーニングピラミッドとは、学習方法ごとにどれくらい記憶として定着するかを表したピラミッド型の図です。
学習ピラミッドとも呼ばれますが、知っているだけで効率的な勉強方法について理解できます。
今回は、ラーニングピラミッドの基本的な内容を図を用いて説明したうえで、ラーニングピラミッドからわかる効率的な学習方法について具体的に解説します。
復習に関する研究「エビングハウスの忘却曲線」についてはこちらの記事で解説しています。
【最適な復習のタイミング】エビングハウスの忘却曲線とは?受験や暗記に使える知識
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ラーニングピラミッドとは
ラーニングピラミッドとは、アメリカ国立訓練研究所(National Training Laboratories)によって発表された、さまざまな学習方法と知識の定着率の関係をピラミッド型の図で表したものです。
この研究で検証された学習方法は、以下の通りです。
- 講義
- 読書
- 視聴覚
- デモンストレーション
- グループ討論
- 自ら体験する
- 人に教える
講義(定着率5%)
ピラミッドの1番上は、「講義」です。
講義は、教師や講師1人が他人数の生徒に向かって授業を行う形のものです。
学校や集団指導の塾で一番多く使われている方法ですが、講義は受動的に知識を得るのみなので、知識が脳に定着するためには「効率的な学習方法ではない」とされています。
ただ聞くだけの講義で学習したことの定着率は5%ほどと言われいます。
読書(定着率10%)
この研究における読書は、「教科書や参考書を読む」ことです。
ただ聞くだけの講義よりも、能動的に知識を得るため、講義よりは定着率が高いです。
定着率は10%ほどと言われいます。
視聴覚(定着率20%)
ビデオや写真、音声などで学習する方法です。
視覚だけでなく聴覚からも情報を得るため、講義や読書よりも知識が長く定着しやすいです。
定着率は20%ほどと言われています。
デモンストレーション(定着率30%)
実験や実技を見て学ぶ方法です。
教科書で読んだり、映像を見るよりも、実際に目の前で見ると印象に残り知識が定着しやすくなります。
定着率は30%ほどと言われています。
グループ討論(定着率50%)
他人と意見を交換し、問題を解決するにはどうしたらいいのかを討論する学習方法です。
他人の意見を聞き、そのうえで自分の意見を相手に伝えなくてはならないので、主体的に学習する必要があります。
そのため、これまでの講義や視聴覚などの学習方法よりも、知識が定着しやすくなります。
定着率は50%ほどと言われています。
学校教育の指針となる「学習指導要領」においても「主体的な学び(アクティブラーニング)」は非常に重要視されています。
理解の質を高め、より能力を育む学習方法として現在取り入れられています。
自ら経験する(定着率75%)
学習者自身が、自ら体験する学習方法のことです。
体験学習などで実際に体験すると、集中力が高まるだけでなく印象にも残りやすいため、定着率が高くなります。
例えば田植え体験をすることで、教科書を使って学ぶよりも実際の稲の様子やそこに住む昆虫などをより記憶しやすくなります。
定着率は75%ほどと言われています。
他人に教える(定着率90%)
ピラミッドの一番下、つまり最も定着率が高い勉強方法は、「他人に教える」ことです。
他人に教えるためには、自分が教える内容についてきちんと理解する必要があります。
そのため、「人に教えるためには、教えられる側の10倍の時間や知識が必要」と言われています。
これまでの知識をインプットするだけの方法と違い、アウトプットする必要があるため、難易度も高くなりますが定着率も高くなります。
定着率は90%ほどと言われています。
ラーニングピラミッドを生かした効率的な勉強方法とは
ラーニングピラミッドを意識した勉強方法には、具体的に以下のようなものがあります。
どれも難しいことではないので、積極的に普段の勉強に取り入れるといいでしょう。
学校や塾で学んだ内容を説明させる
親が生徒、子どもが先生になり、学校で学んだ内容を説明してもらいます。
学校から帰ってきたら、まず復習の時間を与えます。
子どもは復習をする時に、親にわかるように説明するにはどうやったらいいかを考えて復習します。
人にわかるように説明するためには、まずは自分がしっかりと理解することが必要です。
そのうえで人にわかるように教えようと考え、実行することで復習した内容がしっかりと脳に定着します。
同時に、プレゼン能力や説明能力、コミュニケーション能力の向上も期待できます。
「書く」という行為も記憶を定着させるのに効果があるので、小さなホワイトボードを用意して黒板代わりに使うと、一層効果的です。
テストで間違ったところを説明させる
テストをした後に、間違えたところを見直します。
その後に、子どもに「なぜ間違えたか」と「正しい問題の解き方、正解の解説」を親にわかるように解説してもらいます。
間違った問題を復習する時に、なぜ間違えたかと正解にはどのようなプロセスでたどり着くかを考えることは重要なポイントです。
親にわかるように説明しようと考えることで、間違った箇所の正しい解き方がしっかりと脳に定着し、次は間違えないようになります。
友だちとテストを出し合う
中学受験で同じ学校や同じようなレベルの学校を目指している友だちがいる場合は、子ども同士でテストを作り、お互いに相手が作ったテストを受けるのも効果があります。
問題を作るという行為は、知識をアウトプットすることです。
さらにテストで相手が間違えたところを指摘し、正解を解説することで、記憶の定着率が高くなります。
テストを受ける側になった場合には、「友だちが作ったテストで間違えたくない」と思って集中力が増したり、友だちの解説を聞いて「なるほど。こう教えるとわかりやすいな」と思ったりすることで、記憶に残りやすくなります。
問題を紙にするだけでなく、口頭で問題を出し合うことでも効果は見込めます。
短い文字数でまとめる練習をする
知識をアウトプットする訓練として、短い文字数でまとめる練習をすることも効果があります。
「〇〇について140文字以内でまとめる」など、少ない文字数でまとめる練習をすると、学習したところのポイントを押さえ、わかりやすい解説をする能力がアップします。
その結果、自然にアウトプット能力も鍛えられ、脳への定着率も高くなります。
新聞の天声人語やコラム、一面記事を要約する練習も非常に効果的です。
子どもにおすすめの新聞記事に関してはこちらの記事で解説しています。
中学受験に役立つ新聞記事とはどんな記事?おすすめの子ども新聞も紹介!
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まとめ
ラーニングピラミッドは、学習方法と定着率の関係をわかりやすくピラミッド型の図にしたものです。
ラーニングピラミッドによると、知識はインプットするだけでなくアウトプットすると、より脳への定着率が高くなり、効率の良い勉強ができることがわかります。
普段の勉強でも、できるだけ親や友だちなどに勉強内容を説明する機会を増やすと、効率良く頭に入ります。
この記事で紹介した勉強方法で効率良く知識を学ぶと勉強がさらに楽しくなるので、日常的に行われる学習対策だけでなく、入試対策としても有効です。