こんな方におすすめ
- 中学受験に向けて暗記のコツを知りたい
- エビングハウスの忘却曲線について知りたい
中学受験では、膨大な量の知識を覚える必要があり、いかに効率良く暗記できるかが重要です。
しかし、なかには中々暗記ができないというお子さんもいると思います。
暗記にはコツがあり、それを覚えれば苦手な子でも暗記のスピードが上がるはずです。
そこで今回は、中学受験で役に立つ「暗記」に焦点を当てて、暗記するコツやエビングハウスの忘却曲線について詳しく解説します。
どうやって暗記をしたら良いのか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
中学受験に役立つ暗記のコツ
入試や模試の際は手元に教科書や参考書などを置けないため、受験生は暗記をして挑まなければなりません。
しかし、暗記は得意な子がいれば、苦手な子もいるでしょう。
まずは受験勉強に役立つ暗記のコツを紹介します。
背景や流れを理解する
1つ目のコツは「背景や流れを理解する」です。
暗記が苦手な子の共通点としては、項目ごとや場面だけで暗記をしようとする点が挙げられます。
中学受験に向けた勉強で代表的なものが社会の「歴史」です。
たとえば、歴史における時代の名前を覚える際に「江戸時代は〇年間続いた」「明治時代は〇年間続いた」「大正時代は〇年間続いた」のように一つ一つの時代名だけを区切って覚えていては、なかなか暗記できません。
それよりも「江戸時代は〇年続いてどういう流れで終わって明治時代が始まったのか」というように、全体の流れや背景を理解することで、より知識が深まり、暗記もしやすくなるでしょう。
書いて覚える
2つ目のコツは「書いて覚える」です。
じっと暗記物を見て覚えようとしている方はとても多いのではないでしょうか。
人は文字を読んだり目にしたりするだけではなかなか覚えられません。
実際に自分の手を動かして書き写すことで、視覚のみに頼る覚え方よりも効果が出ます。
ただし、書き写すことを作業にしてはいけません。
覚えようとする意識を持ちながら書くことで、神経が刺激され記憶に定着しやすくなります。
声に出して覚える
3つ目のコツは「声に出して覚える」です。
前述した通り、目で文字を追うだけではなかなか記憶できません。
声に出して読むことで視覚だけでなく、聴覚も刺激され記憶に残りやすくなるのです。
暗記ペンやチェックシートを活用する
4つ目のコツは「暗記ペンやチェックシートの活用」です。
昨今では、多くの教材で使用されている暗記ペンやチェックシートの大きなメリットとしては、重要な単語や文章の前後も学べるという点でしょう。
暗記ペンやチェックシートで隠す範囲は、基本的に単語や一文のみであり、特定の部分しか目に入らないと思われがちです。
しかし、隠している単語や文章を推測するためには、その前後の情報も理解していなければ正確な回答は導き出せません。
そのため、単語や文章のみを暗記するよりは少しばかり広い範囲の暗記が可能となります。
人に伝えることで覚える
5つ目のコツは「人に伝える」です。
暗記をする際には、物事を見たり聞いたりしてインプットすることが大切だと思われがちですが、実は他人に説明をしたりとアウトプットをする方が記憶に残りやすいです。
自身が知り得た情報を相手に正確に伝えるためには、頭の中で情報の整理が必要です。
上手に説明ができなければ、ご自身の理解がまだ曖昧ということになるので、再度覚え直しましょう。
家族や友達とクイズ形式にして反復するなど工夫しましょう。
暗記の際に知っておきたいエビングハウスの忘却曲線とは
中学受験に向けた暗記の際には、「エビングハウスの忘却曲線」を意識することをおすすめします。
忘却曲線の概要とそれを踏まえた暗記方法は以下の通りです。
忘却曲線の意味とは
エビングハウスの忘却曲線とは、ドイツの心理学者である「ヘルマン・エビングハウス」が、人がモノを忘れる際のメカニズムを表したグラフのことです。
エビングハウスが唱えた忘却曲線は以下の図のように表されています。
(参照:研修担当者が知っておきたい「エビングハウスの忘却曲線」)
グラフの縦軸は節約率、横軸は経過時間を表しています。
節約率と聞いてピンとこない方がほとんどでしょう。
例えば意味のない文字の羅列を10分間で暗記したとします。
20分後に再度同じ文字の羅列を記憶する時は4分かかりました。
その場合初めに暗記した時より6分時間を節約できているので、節約率は60%(6分 ÷ 10分 = 0.6)となります。
これが節約率の意味です。
節約率はどれだけ忘れたかの割合を表しているのではなく、思い出すのにどれだけ節約したかを表していることに注意してください。
また、エビングハウスの忘却曲線は意味のない単語を覚えようとした時の実験結果だということにも注意が必要です。
そのため実際に暗記をする時は意味のある事柄を暗記するはずなので、節約率はもう少し良くなると思います。
忘却曲線を考慮した暗記方法
上述したエビングハウスの忘却曲線を参考に、おすすめの暗記方法は以下の通りです。
関連付けをして覚える
忘却曲線のグラフは意味のない単語を記憶した際の結果と説明しました。
当たり前ですが、人間は意味のない物事より、意味のある物事の方が記憶に残りやすいのです。
そのため、暗記をする際も意味などを理解せず、丸暗記したことは復習に時間がかかります。
しっかりと意味や背景を理解しながら暗記するのは時間がかかるかもしれませんが、結果的に近道になります。
歴史の年号などを語呂合わせで覚えるのも、ある意味関連付けをして暗記していると言えます。
最適なタイミングで復習する
一度覚えたことを20分後に復習しても、流石に早いかもしれません。
そのため、暗記した後に1時間程度別の教科を勉強し、再度暗記をすると効率的に暗記できるでしょう。
さらに1日後、1週間後に復習をするとより記憶に定着しやすいです。
丸暗記は禁物
エビングハウスの忘却曲線を踏まえた結論として、丸暗記は禁物です。
受験勉強の際は、試験に合格するためだけに勉強をするのはNGといえます。
丸暗記をしてしまうと、ただ単語や文法だけの断片的にしか理解できていないことが多いです。
そのため、試験当日に少しひねった問題が出題がされると答えられなくなってしまい、結果として点数を落としてしまいます。
より受験の合格率を上げるには、何度も反復して意味まで含めて復習をし、身体に染み込ませる意識を持ちましょう。
自分に合った暗記の仕方を見つけよう
今回は、「暗記」に焦点を当てて解説しました。
「人は物事を忘れる生き物」と呼ばれるほど、特定の情報を記憶し続けることは困難です。
ましては中学受験のように、これまでに学んできたことの復習や受験に向けたテクニックなど様々なことを覚えなければいけません。
そのため、なかなか暗記できずにてこずってしまうケースも多いのです。
暗記をただの作業とせず、自分にとって効果的な暗記の方法を身に付けて、試験で点数が取れるような勉強をしましょう。