こんな方におすすめ
- そろばんが中学受験に役立つのは本当か知りたい
- そろばんを習うメリットとデメリットが知りたい
中学受験を目指す家庭の中には、勉強時間確保のために高学年になると習い事をセーブしたり辞めたりする家庭が多いです。
サッカーや水泳などの運動系や一定の技術が習得できたピアノや習字などは比較的辞めやすいですが、「そろばんは習い事の中では受験勉強に役に立ちそうなのでそのまま続けた方がいいのか迷う」という保護者は一定数います。
また、低学年の子どもの保護者の方では、「子どもの習い事にそろばんを選ぶと中学受験で有利になるの?」と疑問に感じている方もいるでしょう。
そこで今回は、そろばんを習うと中学受験に役に立つのか?いつ辞めるかの判断について解説します。
中学受験においてそろばんが効果的なのか知りたい方はぜひ参考にして下さい。
小学生のうちから身につけておきたい学習習慣についてはこちらの記事で解説しています。
【中学受験対策】小学生のうちに身に付けたい8つの学習習慣|まなびWeb
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そろばんは中学受験に役立つのか
結論から言うと、そろばんを低学年のうちに習うのなら受験勉強の役に立ちます。
しかし、高学年になってから受験勉強のために習い始めても大きな効果は期待できません。
理由はそろばんの持つメリットとデメリットにあります。
メリットとデメリットを解説しながら、なぜ低学年のうちなら役に立ち、高学年から習い始めるのはおすすめできないかを詳しく解説します。
中学受験におけるそろばんのメリット
そろばんには、次のようなメリットがあります。
計算が速く正確にできるようになる
そろばんを習う一番のメリットは、計算が速く、正確にできるようになることです。
中学受験の算数の問題には、計算問題や問題を解く過程で計算が必要な問題ばかりです。
計算を速くかつ正確に解くことができると、単純な計算問題では確実に点を取れ、しかも人より早く終わるため残りの問題を解く時間が増えます。
入試の算数の問題では時間が足りなくなることもよくあるので、計算速度が速くて考える時間を増やせることは大きなメリットになります。
数に対する抵抗感や苦手意識がなくなる
そろばんを習っていると、計算問題や数に対する抵抗感や苦手意識がなくなります。
算数が苦手な子どもは、数に対する苦手意識があることが多く、苦手だから上達しない、上達しないからさらに苦手になるといった負の連鎖に陥ることがよくあります。
集中力や忍耐力が養われる
そろばんは問題を集中して聞き取り即座に計算し続けるため、集中力が身につきます。
また、地道に問題を次々と解いていくので、忍耐力も身につきます。
どちらの能力も長期的に行う受験勉強や受験当日に役立つものです。
右脳が鍛えられる
右脳はひらめきや創造力、記憶力、イメージ力などをつかさどっていると言われています。
対して、左脳は情報を処理したり計算力を司ったりするので「そろばんは左脳を鍛えるのでは?」と思われがちです。
しかし、近年の研究でそろばんは右脳を使っていることが判明しています。
これは、指先を使うことも右脳の活性化に役立っていると考えられています。
一瞬のひらめきや解き方の発想力が鍛えられるので、非常に効果的です。
情報処理能力が高くなる
そろばんを使う時には数字をミスなく読み取ってから秒単位で処理を行い、正確な数字の情報に置き換えるという作業が脳内で行われています。
そのため、数字に対する情報を素早く正確に処理する力が高くなります。
この能力は中学受験の算数の問題を解くうえで非常に重要なものです。
また、社会などのグラフやデータを正しく把握し、処理することもできるようになります。
中学受験におけるそろばんのデメリット
では、そろばんにはどのようなデメリットがあるのでしょうか?
読解力や思考力向上には対応していない
中学受験に一番大切なのは、計算能力ではなく読解力や応用力です。
中学受験の入試の問題は、ただ知識に対する解答をするのではなく、問題を読み取り、問われていることを正確につかみ、自分の頭で考えて答える必要があります。
そろばんでは計算能力は早くなりますが、最も大切な読解力や応用力、思考力はあまり鍛えられません。
計算力を基礎としながらも、それを活用する能力が求められるので、直接的には作用しない可能性があります。
図形問題にも対応していない
中学受験では、算数だけでなく理科や社会でも図形問題が出ることが増えています。
図形問題は、平面図形と空間図形があり、どちらも練習をしないとなかなか難しい問題ばかりです。
しかし、そろばんは計算力が主に鍛えられるだけで、図形問題には全く対応していません。
図形問題を素早く解けるようにするには、また別の習い事やトレーニングが必要となってきます。
そろばんは何級まで取ればいい?
そろばんは、中学受験に役立てるためには「この級まで取れば大丈夫!」という明確な基準はありませんが、一般的には頭の中にそろばんを思い浮かべて計算ができるようになる中学受験に役立つと言われています。
また、受験でそろばんを使用することはできないので、珠算検定よりも暗算検定に合格することを目指した方が、中学受験には役に立ちます。
そろばんや暗算は3級以上の実力になると、簡単な計算なら頭の中ですいすいとできるようになります。
しかし中学受験では、もっと難しい計算が頭の中でできるようになる必要があるので、特に難関校を目指す場合には1~2級を目指しましょう。
受験時には速く、かつ正確に計算できることが肝心です。
まとめ
- 暗算検定の方が直接役に立つ
- 中堅校などの場合は3級程度が目安
- 難関校を目指すなら2級以上が好ましい
そろばんを習う際に注意しておきたいこと
中学受験に役立てるためにそろばんを習う場合は、上記で述べたように珠算や暗算検定1~2級を目指します。
目標を達成できる場合は問題ありませんが、小学校3年生の頃に「5年生で習い事を辞めるまでに1~2級を取れるみこみがない」と判断した場合は、親がその時点で次の3つから子どもに最適な選択をする必要があります。
- そろばん教室を辞める
- そろばん教室で暗算の勉強は辞めるようお願いする
- 家庭で、計算はそろばん暗算を使わずに筆算でできるように訓練する
辞めるまでに1~2級が取れないと、受験レベルで頭の中で暗算はできません。
そろばんでは、筆算と違う計算方法で暗算するため、習得できれば正確に速く計算できるので受験時にも多いに役立ちます。
しかし、マスターできない場合は、計算ミスを本番で連発してしまう危険性が高くなってしまいます。
かといって何年も続けている計算方法を筆算に変えてすぐにスムーズに計算はできません。
受験勉強が本格化する前に筆算がスムーズにできるようになるためには、ある程度の時間が必要です。
小学校3年生以降になると、受験勉強に間に合わなくなる可能性があるので、判断を下す時期を間違えないよう注意してください。
5年生で珠算・暗算検定の1~2級が取れるように目指しましょう。
検定に合格したらそろばん教室を辞めて、塾に専念することが一般的です。
5年生になっても目ぼしい結果が得られないことが想定される場合には、3年生の2,3月の段階で辞める判断を下してもいいでしょう。
その子に合ったほかの習い事をすることも検討しましょう。
まとめ
そろばんは中学受験に必須の能力ではなく、習わなくても受験を乗り切ることは可能です。
しかし、素早く正確に計算したり集中力や忍耐力を高めたりすることは、受験の際に役に立つ能力ではあります。
高学年になって辞めても身についた計算能力や集中力はなくならないので、そろばんを習わせたい場合は低学年のうちに習わせ、勉強が大変になる高学年では辞めるというのが一般的なパターンです。
計算の基礎を身につけたい方にはいおすすめの習い事と言えます。
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